17/05/24 06:42:06.11 APPQDuh1M●?2BP(2001)
「赤ちゃんができた」―。その言葉は常に喜びを伴っているわけではない。
日本では今、1年間で約18万件の人工妊娠中絶が行われている。
出生数から弾くと、6回に1回の妊娠が中絶されている計算だ。
経済的な問題や母体の健康、意図しない妊娠など理由は千差万別で、「倫理」「権利」「法」といった問題も絡み合う。「中絶」の現場にスポットを当て、この問題を考えたい。(Yahoo!ニュース 特集編集部)
まずは、中絶の実態を取材した動画(約7分)を見てほしい。
冒頭には1984年にアメリカで制作された「沈黙の叫び」(原題『The Silent Scream』)を配した。
中絶に反対する米国の団体による啓蒙映画で、オリジナルは28分。
今回は団体側の承諾を得た上で、主要部分を約2分に短縮している。
年間18万件 中絶の現場―「望まれない妊娠」をどうするか
「沈黙の叫び」は大きな反響と論争を巻き起こした。
胎児が中絶用の器具から逃げ、大きく口を開いて叫び声を上げている、とする映像もあったからだ。
医学界などからは「叫び声には根拠がない」といった批判が起き、論争は今も続いている。
ただ、内容の適否がどうであれ、この短い映画が「中絶」を問う大きな契機だったことは間違いない。
「本当にごめんなさい」と男性
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仙台市の「村口きよ女性クリニック」を訪ねると、待合室に1冊のバインダーがあった。
綴じ込まれたノートにはボールペンの文字。女性が中絶手術を受ける間、付き添った男性たちが記したものだという。
「産んでほしいと言えたらどんなに楽だったかと思います。出産に踏み切れない私の精神的な弱さが今回のことで身にしみました」
「子供は誰の子であっても産ませてあげたかったです。私は今まで人生は金だと思って生きてきました。でも違いました」
「悔やみきれません」
筆跡の違う、何人分もの文字が並ぶ。
横線で消したり黒く塗りつぶしたり。書き直しの箇所も目立つ。
悔いだけでなく、ある学生は「バイトしても給料も良くない。それでも彼女は産みたいと言っていた。だが現実を見たら産まれてくる子供は幸せなんだろうか?」と書き込んでいた。
3000件以上を手掛けた村口医師
同クリニック院長の村口喜代医師(73)は1999年の開業後、3000件以上の人工中絶を手掛けたという。最も多かった2005年は年間350件ほど。1日で2件、3件の施術も珍しくない。
女性たちが中絶を望む理由は何だろうか。村口医師は自らの経験を元にこう語る。
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「10代はまだすごく純粋です。妊娠した時に4割くらいは『産みたい』と答える。
男性でも『産んでほしい』は4割弱いるんですよ。10代は『中絶は罪悪だ』と思っていますから。
経済力が全く無くても『産みたい』となって、それ以上思考が進まない。人によっては1カ月も妊娠したまま意思決定できないケースもあります」
妊娠したら大変だから、きちんと避妊しようとの合意が2人にできておらず、「好きだ」という気持ちだけで性交渉し、妊娠してしまう。それが10代に目立つパターンだという。
2人とも学生で、最終的には親や周囲の反対で中絶を決めるケースが多い、と村口医師は話す。
「最近は男性が悩みません」
では、20代以上の中絶理由はどうか。村口医師によると、最近目立つのが「経済的な理由」。
男性が非正規雇用で収入が安定しないため、諦めて中絶するパターンだという。
「赤ちゃんがお腹にいると分かり、うれしくて彼に言うと、『経済的にだめ』とか、『今は無理』とか、バシッと言われるケースが増えています。
男性は『なんとか頑張って産めるように』と悩んでくれません。『だめ』と簡単に意思表示してしまう。
そうすると、女性は1人で産めないから、どうしよう、やっぱり中絶しかない、と」
村口医師のクリニックは、メール相談や中絶後のメンタル・ケアに看護スタッフを置いている。
「日本では、男性が『だめ』と言えば、女性はほとんどの場合、中絶するしかなくなってしまう」、と村口医師は言う。
「自分の力だけで産もうという勇気が女性にはありません。
それは彼に対しての不満として残るうえ、自分へのいら立ちとしても引きずっている。それを聞くことも医療の中で必要だと思っていますから」
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