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《一部抜粋》
■ "リア充"のアイコンがルサンチマンの標的となった
では、「嫌韓ムード」&「マスコミ不信」が高まる中、なぜ、他局ではなくフジテレビがデモの標的になったのだろうか? 2011年から2012年当時の社会状況とフジテレビの関係を振り返ってみよう。
2011年3月、東日本大震災が発生し、原発事故が日本社会に暗い影を落とした後、前述のように領土問題が絡んで次第に「嫌韓ムード」&「マスコミ不信」は強まっており、12年にかけて日本人が抱える社会不安はより深刻なものへと変化していた。
一方、フジテレビはこの時、わが世の春を謳歌していた。
2004年から2010年まで7年間、視聴率三冠王を獲得し続け、フジ・メディア・ホールディングスが国を代表するメディア・コングロマリットを目指す中、フジテレビはその中核企業として、さらなる活躍を期待されていた。
“お台場カジノ構想”が練られていたのもこの時代である。就職したい企業の上位に名前が挙がり、平均年収も1500万円程度と、誰もがうらやむようなステータスと人気を兼ね備えた企業だったのだ。
そして2011年から2012年にかけて、日本社会は変化したが、フジテレビは変化しなかった。
相変わらず韓流コンテンツや内輪ウケ満載のバラエティを放送し続けるフジテレビは、ネット住民にとって、能天気な“リア充”のアイコンであるとともに、“マスゴミ”の象徴のように見えたのであろう。
彼らが、チャラチャラした“エリート社員”たちに、憎しみや怨嗟、羨望などのルサンチマンを抱いていたことは想像に難くない。
彼らにとってフジテレビは、特権階級の左翼(誤解だが)=「反日」で、自分たちの主張を歯牙にもかけない憎き存在なのだ。
これに加えて、日本がアジアのトップランナーだと思っていたのに、コンテンツ産業の面では韓国勢の活躍がめざましいことへの焦りや嫉妬もあったと考えられる。
若い世代が中心のデモ参加者たちは、自分たちが抱えたモヤモヤやルサンチマンを、共通の敵であるフジテレビにぶつけることで溜飲を下げていたのだろう。
フジテレビが凋落すればするほど、彼らの全能感や爽快感は高まるため、奈落の底まで突き落としていこうとするが、そこに罪悪感はない。
これらの言動は当然の社会的制裁であるという「正義感」に支えられているためである。
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