16/06/30 08:10:57.61 ghSGnJ0c0.net BE:323988998-PLT(44074) ポイント特典
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作家の故山口瞳さんは、折り畳みの傘を持たなかった。突然の雨で周りの人が濡(ぬ
)れているとき、鞄(かばん)から折り畳み傘を出して、思わず得意顔になる。「その
ときの品のない自慢げな顔がみっともない」というのだ。息子の正介さんが、山口さんの
コラム集の解説に書いていた。
▼愛用の折り畳み傘を取り出すたびに、この文章を思い出して、後ろめたい気持ちに
なっていた。ただ最近、使わないときはしまっておける「効用」の大きさに気づいた。
電車のなかで、腕や鞄に傘をぶら下げ、スマートフォンに夢中になっている人をよく
見かける。傘の先の滴が他人にかかっても気づかない。
▼まして、地下街の通路で傘を横向きに持って闊歩(かっぽ)するなど、論外である。
折り畳み傘なら、少なくともこんな迷惑をかけることがない。傘をめぐるトラブルが、
目立つ時期である。先月末も東京都新宿区で、帰宅途中の会社員男性が男に刃物で刺され、
重傷を負う事件があった。傘がぶつかり、口論になった末の凶行である。
▼ギスギスした世相ゆえか、江戸商人のマナーとされる「江戸しぐさ」が注目されて
いる。傘をさした者同士がすれ違う�