フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 3日目at SKATE
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 3日目 - 暇つぶし2ch240:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 21:53:12 SDokRZt2O
イリーナ(黒猫)は研究所かな?

241:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 21:57:08 5GaleqiX0
ライサ(黒電柱)は?
彼はスケート場でせっぼん練習してるのでいいんだよね?

242:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 21:58:18 26RexdELO
>>231
ありが㌧
>>234
まとめ乙です
【阿蘇組】→【熊本組】
阿蘇にはスケートリンクが無いので熊本市内にしたら閉鎖されていましたorz

243:234
10/04/15 22:05:55 8ccwlOzv0
ごめんなさいsageわすれました。
>>237>>238>>239>>240>>241>>242

御意見ありがとうございます。


244:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 22:10:51 NmVvypy90
>234
まとめ乙。
で、ジェレミーは女子部屋でいいのかしら・・・

245:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 22:28:35 26RexdELO
老紳士(長老)
「タカヒコがいつ呼ばれてもいいように、先にタカヒコの質問に答えよう。
まずこの本。
これは中身ではなく誰が持っているかが大事だと言ったね。
この本は、渡された者に特別なビジョンが与えられるというしるしのようなものでもある。
ミライ・ナガスは、その名前通り未来のビジョンを流される者としての使命を与えられて生まれて来た。
しかし、その時期が来ないと我々は知る事が出来ない。
私はどのスケート選手が選ばれたのかを調べていて、ミライの世界選手権の後のインタビューを観た。
そこでピンと来たので調べてみた結果、この本がミライに渡ったと確信したのだ。
もっとも、ミライ本人はインタビューで
『ナガスミライだから未来を流しちゃったのかな』
と言って、おやじギャグと書かれていたけどね。」

大輔と崇彦は顔を見合せた。
(てっきりあれはミライのいつものおやじギャグだと思っていたのに、そんな意味があったとは…!)

246:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 22:34:35 KMY1SzR7O
女子部屋ではサンドイッチや温泉饅頭をつまみながらおしゃべりを楽しんでいた。
未来はまだ奥で眠ったままだ。
アボットも成り行きでサンドイッチを食べていたが女子の話についていけないのと
「ジェレミー、あなたいつまで女子部屋にいる気かしら^^」とのユカさんからの言葉に部屋を出る事にした。


何となく他の部屋に行くがひとつは留守でもうひとつは何やら真剣な話をしている。
…入りづらい。
残りの部屋を開けると、そこには何やら考え込むべるるんと眠るADSLがいた。

「えぇと、ここで休んでもいいかな?
何だか他の部屋は居づらくてさ…。」
カナダから飛んだのと女子部屋でのユカさんからの言葉責めでかなりアボットは疲れていた。

「…あぁジェレミーか。いいと思うよ、どこでも使えば。」
どことなくアボットの事なんてうわの空でべるるんは答えた。
「あ、じゃあ奥で眠る事にするよ。考え中に悪かったね…」
べるるん達に気を使いつつ、アボットは奥のベッドでしばし眠りについた。

247:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 22:35:34 NmVvypy90
酒を飲み、MJ祭で盛り上がったプルシェン子はふとバトルに目を留めた。
もちろんバトルは相変わらず金ぴか防護服を着ている。

「その衣装・・・私のものです。よこしなさい」
驚いた事に口ではなく直接心に語りかけて来る。

「くっ・・・お前はジェーニャじゃないな?何者だ!」
返事はなく、ブリザードが吹き荒れる。

「化け物め!!!」
ヤグディンが後頭部に蹴りを食らわせると
プルシェン子は崩れ落ちた。

バトルはクレジットカードでお会計を済ませて領収書を貰い、
一同はプルシェン子を性別不明部屋に運び込んだ。

やがて、プルシェン子は目を醒ました。相変わらず女性のままだが
瞳は青くなり、冷たく邪悪な雰囲気は消え失せている。
そして>222に続く。

248:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 22:38:50 26RexdELO
老紳士
「しかし、まだ経験の浅いミライには負荷がかかりすぎ、ビジョンが与えられると、耐えきれずにヒューズがとぶように気を失ってしまうのだ。
しかしそれもしだいになくなる。」

249:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 22:38:57 cA04zVQw0
>>247
>「化け物め!!!」
>ヤグディンが後頭部に蹴りを食らわせると
>プルシェン子は崩れ落ちた。

ヤグ、容赦なさすぎワロタwwww

250:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 22:53:03 26RexdELO
>>234
またまたごめん。
老紳士はクリプトン星最後の老子ではなく長老です。たぶん。
もしかしたら孔子とか毛子もいるかもしれないけど。

251:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 23:15:20 mcVBLI060
べるるんの後輩心配ぶりが微笑ましいです……いいお兄ちゃんだなあ
ランビ宅チーム動かしたいけど、カオスすぎてどうすればいいのかわかんねw


252:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 23:21:28 8ccwlOzv0
老紳士は一息つくと話を再開した。

「さて、ではその本の中身について説明をしようか。」

一同は固唾をのんで見守る。

「その本の中身は『過去』じゃ。」
「過去?」
「でも・・・医学書だって・・・」
驚く大輔と崇彦。しかし、光彦じいちゃんは黙ってうなずいた。

「・・・・要するに、そこに書いてあるのは病気を治す方法ではない。病気の症例を記したもの。
カルテといったほうが分りやすいか?」
「ま、そのほうが理解しやすいわな。」

光彦・老紳士の言葉に若い二人は落胆を隠せない。

「せっかく・・・みんなが助かると思ったのに・・・」
「何挫けとるんじゃ!!!」

光彦じいちゃんに一喝されて顔を上げる二人。

「さっきも言った様に、この本は中身ではなく、持つもの方が大事。大切なのは『未来』ということだ。」
「ミツヒコの言うとおり。そしてお主らは二人は彼女を全力で守ること。その為に3つのアイテムを託すことに決めた。」
「3つ!!!」
耳を疑う大輔。崇彦は不思議顔。
「俺は確か、夢のなかで二つのアイテムを持ったものを守れって・・・」
「そうじゃ、そのための3つめのアイテムを今から渡す。」

老紳士は一度部屋に戻り3つ目のアイテムを手にして戻ってきた。それは・・・

「あれ?これは・・・・」
「さっき俺が着てた・・・スケータースーツ」
「崇彦のものと同じと思うなよ。アレはレプリカ、こっちは本家本元じゃ。」

そういってにやりと笑った。

「さて、そのスーツについてちょっと説明するかの!」




253:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 23:27:23 8ccwlOzv0
>>252
連投すみません。
本について、根本的な治療法ではなく患者単位の治療方法を記したものという意味で
カルテのようなものと表記しました。
言葉が足りなくてすみません。


254:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 23:29:01 26RexdELO
スケートリンクのせっぼん組は、踊り疲れて一休みしていた。
他のメンバーはホテルに行ったきり戻って来ない。
ユヅルが買って来た食料と飲み物も底をついたので、ホテルのレストランに行こうという話になり、全員でぞろぞろ移動した。

信成「おっ、焼肉レストランがあるじゃん!ここにしよう!」

一同はぞろぞろとレストランに入って行った。

255:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 23:33:42 NmVvypy90
ヤグディンはプルシェン子を抱きかかえ、ソファに座らせた。

「落ち着け、俺様がちゃんと起こしといてやるから。怖い顔の女って何だ?
さっきのお前も相当怖かったぞ。で、お前は誰だ?」
「アタシはエフゲーニヤ。アタシの事もジェーニャでいいわ」

「そっか、『も』って事は、エフゲニー・プルシェンコの事は知ってるんだな?」
「ええ、知ってるわ。彼はアタシの分身みたいなものよ」

「そうか、それじゃお前は俺の事、知ってるんだな?」
「もちろんよ。ミーシン先生のところで一緒だったもの。その後も何度か試合で会ってるわよね」

「ミーシン先生の所に来る前はどうしてた?」
「その前はアタシはヴォルゴグラードに住んでたわ、パパとママとお姉ちゃんと。
でも生まれたのはハバロフスクだって。全然覚えてないけどママが言ってた」

「その前は?何か覚えてないか?」
「やだぁ、生まれる前の事を覚えている人なんていないわよw」
「それもそうだな。あ、ちょっとお茶でも持ってくるよ」

ヤグディンはバトルに目配せをして、一緒に部屋の中にある簡易キッチンに向かった。
入れ替わりに、プルシェン子の左右にジョニ子とミハルが陣取った。
眠らないように刺激的な話をする為だった。
ってかあんたらはいるだけで刺激だ。


「参ったな、あれじゃまるっきり女の子だ。本人の人格はどこに行ったんだろ」
「さっきの怖い女はウィルスの影響だろうな。
そういえば後頭部を蹴られる度に人格が変わってる気がするな。
前もユカリに蹴られて変わってたし・・・しかも2回」
「おお、そうか。じゃあ本人が出てくるまで蹴るか」
「・・・やめろよ、死んじゃうよ」

256:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/15 23:59:11 yhKO/gdOO
ランビエール宅

ランビはベッドルームで黄色い汁を流していた。
ベッドの上に広げられていたのは裸のおねーさんの本…ではなく赤ぬこの衣装である。
クッションのてんとう虫+KVDPの左胸のハートアップリケの為に切り抜かれてしまった布地。
もう着られない…悲しみのあまり汁を出しすぎてグッタリしているランビ。

しかしアルバンがあることに気付いた。
切り抜かれた所は丁寧にまつり縫いされ、スパンコールで飾られている。しかもハートは鎖骨のすぐ下の部分…ということは

「ランビ、この衣装キューティーハニーにそっくりやで!」

喜びの汁を撒き散らしながら狂喜乱舞するランビ
ありがとうリンディ!
早く人間に戻ってこの衣装を着るんや!
そして新たなるセクシーランビで世界中のおにゃのこを虜にしてアハアハグヘヘ~♪


しかし2匹は気付いていない。クッションの為の丸い切り抜きはお尻の割れ目付近の布地を使っていたことを…。

257:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 00:07:31 QXltD/goO
バトルにトイプーを抱かせてあげたいww

258:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 00:12:55 g6qir3O80
>>257
同意ww
べるるんも膝抱っこしたし、ぜひバトルにも……
82年組の妙な縁w

259:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 00:13:22 CcKW5u7i0
「もし、僕の仮説が正しければ、の話なんだけど」
バトルは前置きして話し始めた。

「あのブリザード女は新型ウィルスに感染したジェーニャだ。
そして今現れている人格は、双子の片割れがウィルスの力でジェーニャの中に宿ったもので、
新型に体が乗っ取られそうになったんでジェーニャを守る為に出て来たんだろう」

「なるほど。でもウィルスが意志を持つなんて事はあるのか?」
「意志を持つかどうかは別として、結果として行動に影響を及ぼす事はあるだろうね。
狂犬病ウィルスに感染した人が水や風や光を怖れるように」

「それにしても、あのブリザード・・・。ものすごい憎悪だったな。
ウィルスによる変化に潜在意識が影響するんだとしたら、
もしかして星でのあの記憶が関わっているのかもしれない。
そういや、変な年寄りが来てるらしいが・・・なんかやばい気がするんだ」
「やばいって?どうやばいの?」
「俺は感応性が低いからよくわからん。でも今のジェーニャなら何か感じてるんじゃないか?」
「お湯が沸いたよ。紅茶でいいよね」

260:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 00:16:14 qnGeM/vJO
打ち合わせを終え、そろそろ日本へ向かおうとしたゲデ子・KVDP一行。
ランビも黄色い汁を出すのを止め、出発する準備をしていた。
しかしそんなランビ宅に訪れる者がいた。

コンコンッ

「ランビエールさん居ますか?警察のものです!
近所の方から通報が有りましたもので…ランビエールさ~ん!」

KVDP「け、警察だと?」
アルバン(またキーラとラウラ…やったらえぇけど違うみたいやな)
ランビ(わいのうち、変な噂立ちまくってんのか?いややわほんま…)
ポンちゃん「俺が出るわ!KVDPの骨スーツじゃ余計疑われそうやし。
…はーい、今開けまっせー!」

その時ゲデ子やヴォロ、リンデマンにチャッキーは何だか嫌な気配を感じていたが
ポンちゃんはドアを開けてしまった。

「…ハハハ、簡単に騙されるもんだな!!!!」
「スケーターども、怪我したくなかったらおとなしくしろ!
…何、ちょっと移動して体を調べるだけだ、安心しな…。」

(!!!!…アイツら、早稲田の研究所に襲ってきた奴らと同じ奴らや!)
直接襲撃者達を見たランビは思い出した。
(な、なんやて!まさかスイスのこんなとこまで…!)

ポンちゃん「な、何やこいつら!わいらは何も悪いことしてへんで!」
KVDP「…くっ、油断していた!」
チャッキー「安心しろったって無理だろ!」
ゲデ子(ヴォロは隠れて!あの人達は危ないわ…!)
ヴォロ(でも…俺も…。)
リスデマン(いいから下がってなさい!)


ほのぼのとしたランビ宅は一転、緊迫したものになってしまった。
…ほのぼの待ちだった方々、ごめんね。

261:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 00:21:28 s9mcDaWLO
信成、Pちゃん、リード姉弟、ライサ、ジュベ、フェルナンデスは焼肉レストランで乾杯していた。

ユヅルだけは寝不足がたたり「ちょっと部屋で寝て来ます」と言って焼肉を食べずに最上階に移動。

女子部屋から食料を分けてもらい、とりあえずジェレミーの隣のベッド(注・ツイン)で仲良くスヤスヤ眠るのだった。

なお、起きてから、ユヅルは部屋に備え付けのPCでジェレミーからツイッターを教えてもらい、お互いにフォローしあうようになった。

262:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 00:40:57 S2G6VSX50
「まずはお前からだ、もう一度言うが、怪我したくなかったら大人しく言う事を聞くんだな」

ランビ宅に押し入った男たちの一人がチャッキーの腕をグイっと掴んだ。
その時、窓ガラスが割れる音とともに家に何かが飛び込んできた。

「一体何が…ぐはっ!!!」

飛び込んできたものはチャッキーを捕えた男の額に直撃、男は気絶してばったり倒れた。
すかさずチャッキーは逃げ出してゲデ子やポンちゃんたちの側に駆け込む。
傍らではテントウ虫が胸を熱くして黄色い汁をだらだら流していた。

(あれは…ワイの一番のお気に入り『人妻乱れ宿』…よう戻ってきたなァ・・・!)

ランビが吹き飛ばしたコレクションの数々の内、一番のお気に入りDVDが地球一周をして戻ってきたのである。

263:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 00:48:51 s9mcDaWLO
>>262

DVDかわいいよDVD

264:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 00:56:11 /r4JsFA60
ほのぼの展開復活!職人様乙です。

265:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 01:00:07 qe5Ku+JHO
>>262
地球一周w

266:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 01:04:27 78iRSCHv0
>>262
ちょw熟女www
職人様すごいっすw

267:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 01:15:06 g6qir3O80
ランビのお気に入り『人妻乱れ宿』のおかげで、怪しい男たちの虚をつくことが出来た。
しかし、有利になったわけではない。向こうは屈強な男たち5~6人。
こちらはてんと虫に蜂、リスに牝牛に狼、そしてクワドエルフ。
立ち向かえそうなのは人型のポンちゃんとKVDPくらいしかいない。
じりじりと近づいてくる男たち。
後ずさる一行だが、逃げ場は既にない。
(ケヴィン、あなた、クワドコンボは跳べる?)
男たちに聞こえないよう、ゲデ子がチャッキーに囁く。クワドエルフは妖精であるため、ゲデ子の言葉を理解できるのだ。
(跳べると思うけど……僕じゃみんなを支えて跳ぶのは無理かもしれない……)
(大丈夫よ、あなたなら跳べるわ。……ポンちゃんとケビンさんもいるもの。三人で力を合わせるの)
(でも、外に出ないと……)
(隙は私が作るわ。……ヴォロをお願いね)
たん……と、ゲデ子は片足を踏みならす。二人の思考がスケパシーとなってスケーターたちに伝わったのか、みなが緊張した面持ちになった。
(エレーネ無茶や。一人で隙作るとかできるわけないやろ!せやろアルバンもそう思うやろ)
(無茶しちゃあかん。ワシらいま人間じゃないんやから!)
(あなたたちは虫だけど……わたしは、牛なのよ?)
にこり、と、ゲデ子が微笑む。もう一度、深く、ランビ宅の床を蹴ったかと思うと、勢いよく走りだした。
まさしく怒涛という勢いのステップ。情熱的なゲデ子のステップが、屈強な男たちを弾き飛ばしていく。
「みんな行くで!庭に走れ!」
狼ヴォロを抱き上げ、ポンちゃんが男たちを踏み越え走りだす。てんと虫と蜂はチャッキーの髪にしがみついた。

「このっ……牛がッ!---ギャッ!」

男の一人がなんとか衝撃をこらえ、立ち上がろうとする。しかし次の瞬間、男は仰向けに倒れた。

(リンディ! あなたは行って!みんなは私を抱えて跳ぶのは無理だけど、あなただったら大丈夫よ)

男の額に命中したのは、固いドングリ……

(女性を一人、残して行くわけにはいかないだろう)

リスデマンは、リスの顔に、ほんのりニヒルな笑みを浮かべてみせた。


ほのぼのしつつ、緊張しつつ……

268:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 01:24:28 X2uiNBSa0
欧州組のゆるさとなごみっぷりは神www

ヤグがバトルに厳しいのは真央に不意打ちキスかましたせいなのか?
よりによって保護者のいるとこでやっちゃったもんなw
ストーリー的にはジェーニャにメロメロが面白いけど、焚きつけるヤグの思惑にも注目したい

269:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 01:28:52 6kyQzEGT0
ここのヤグとプルは仲良さそうでいいな
職人様ありがとう

270:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 01:30:58 qe5Ku+JHO
ゲデ子かっけえ…

271:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 02:00:46 8V/bI+6y0
「ラウラさん助けてー、腰が痛くて動けないんだ」階段の上の方から経営者が叫ぶ
でもその前に踊り場で悲惨な倒れ方をしているマネキンのほうが気になる。
下手に手足や首がもげてなくてよかった、とラウラは言おうとして
りっぽんの存在を思い出し、言葉をぐっと飲み込んだ。
「アダム、誰か体が自由に使えて体力のある人を呼んできて」
おそるおそるマネキンを起こしてみると、顔の右半分に蜘蛛の巣状の大きなひびが入っていた
こわい。これ真夜中に廊下に置いておけば泥棒避けになりそうだわ。

272:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 02:09:52 2AsHPDtU0
襲撃者達はそれでもなお倒れなかった。
(くっそーどうすればええねん。エレーネが立ち向かってるのに
なんでワイは見てるだけしかできんのやっ)
いらだちのあまり、大量の黄色い汁を吹き出すてんとう虫。
「これだっ」
KVDPにひらめくものがあった。
チャッキーの頭からてんとう虫をはぎ取り、敵に向かっていく。
「みんなー目をつぶれーっ」
そう言うが早いかスピンで敵の懐に飛び込んだ。
屈強な男達の目に、身体に、てんとう虫の黄色い汁が飛び散る。
「うわああああっ目がっ目がー!」
お馴染みムスカ反応を示しながら男達がのたうち回る。
KVDPはなおも回り続ける。

普通のてんとう虫と違い、ランビてんとう虫の放つアルカロイド汁は強烈だった。
襲撃者達の神経を麻痺させてたちまち彼らは動けなくなった。
スケーターではない分、ウイルスに耐性がある代わりに
ウイルスに冒された者から出る分泌物の効果はてきめんのようである。
同様に黄色い汁が身体に飛び散ったKVDPは
男達とは違い、特に異変はあらわれなかった。
ウイルスに罹っているおかげだろうか。

ゲデ子が上からのしかかり押さえつけている間に
ポンちゃんとKVDPが、2人がかりで敵達を縛りあげる。
チャッキーが部屋に落ちている布きれで猿ぐつわをかませる。
よく見るとそれはリスデマンが、次のアップリケをつけるために
製作途中だったシマウマの衣装の切れ端だった。

273:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 02:10:09 2AsHPDtU0
(なんや、てんとう虫。すごいやないか)
(わしは何もしてへん。ケヴィンの機転のおかげや)
(なに言うてんねん。わしは汁は飛ばせへん。やけど
その小さい身体からあれだけの量をずっと出し続けるのが
どれだけ大変か。よお頑張ったなあ。疲れたやろ)
てんとう虫を称えるかのように、蜂が羽でてんとう虫の身体をさする。
蜂の優しさを感じながら、てんとう虫は力を出し切った疲れのあまりに
その場で気を失った。

飛ぶ力を失って地面に落ちそうになるてんとう虫を
そっとチャッキーの手が包みこむ。
敵を倒した栄誉を称えるべく、お気に入りDVDのパッケージの上に
てんとう虫をそっと寝かせるチャッキー。
『人妻乱れ宿』の上で眠るてんとう虫の顔はほんのり微笑んでいるように見えた。

274:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 02:38:23 8V/bI+6y0
もう一度掃除が必要そうだ、とぽんちゃんは思った
しかしKVDP…未だにええ匂いがして困るんやけど。なんか恥ずかしいわ

275:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 02:39:48 E+CMhoedO
チャッキーやめてあげてwww

276:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 02:46:48 x8NQ11ly0
チャッキー色々と可愛いなww
そう言えば妖精チャッキーの大きさってどのくらいなんだろう、手のひらサイズ?

277:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 02:54:58 CcKW5u7i0
性別不明部屋では2人の天使とプルシェン子が
MJ祭の続きで遊んでいた。
床には飲み過ぎたベルネルが倒れている。

飼育員さんが何気なくテレビをつけると、なにかドラマを放送しているようだ。
なぜか髪を黒く染めたトマシュ・ベルネルが出ている。
あれ?と思ってよく見たら、別人だった(どうやら要潤だったらしい)。

「お茶いれたよ、どーぞ」
「はーい」

バトルがプルシェン子に尋ねた。
「ところでジェーニャ、熊本に来てからなにか妙な気配を感じたりとか・・・
そういう事はないかい?」
「えー、わかんな~い。なんかもわ~んって感じる事は感じるんだけど、
フィルターがかかってるみたいになってよくわかんない」
「そうか、あ、お菓子あるけど食べる?」
「きゃー、食べる食べる(はあと)」
・・・別人格だったとはいえ、さっきあんなに寿司を食ったのに、と呆れるヤグディンだった。

278:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 05:48:17 qe5Ku+JHO
>>276
人間より少し小さいくらいじゃね?

279:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 07:47:35 s9mcDaWLO
女子部屋のユカの携帯が鳴った。

父信夫から、ランビエール宅に襲撃があったという連絡だった。

ユカ「やっぱり、あのままでは終わらないと思っていたけど
…そんなところまで…
わかった。こっちは大丈夫よ。うん。ジェレミーは寝てるわ。また連絡する。じゃあね。」
美姫「信夫先生から?」
ユカ「そう。ステファンの家に襲撃があったみたいなの。皆に知らせなきゃ。」美姫「手分けして行く?」ユカ「そうね、ありがとう。とりあえず今分かる人だけでもいいかな。」

真央とタラソワは未来についている事になった。


280:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 07:56:38 uzSwN6OyO
>>278
自分はもそんくらいで想像してたかも。手の平サイズでも可愛いと思うけど、
なんか描写見てるとわりと普通に人間っぽいサイズかと思ってた。
まあでも自分はその辺は職人さんにおまかせでいいやw
個人的にはチャッキーにジャンプコンボネタが来てたので
ダブルケヴィンの4-3-3に期待


281:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 08:26:19 F45NcmR8O
新スレになってから出て来てない銀盤の(ryネタも気になる

282:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 09:16:07 i+drGjLPO
第〇話 「はんぺん」
とかまでやるのか

つかヤグ先輩はいまだに腰ミノなの?もう着替えたの?

283:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 09:31:00 qnGeM/vJO
>>282
老紳士から衣装もらった時に着替えてたらNOT腰ミノだろうけど…
恐らく未だ腰ミノだと思うw
ジュベは白鰤かられんこんになった

284:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 09:49:05 CcKW5u7i0
テレビを見ていた飼育員が小声でヤグディンと話していた。
「そういえば、ジェーニャの背中に文字が浮かび上がったんだってね」
「ああ、ミツヒコじいさんが読んでくれたんだ
・・・あの秘術を使えるのはクリプトン星人でもごくわずかな層だけだろ?
高僧とか、あとは長老院のメンバーとか。
という事は僕ら以外のクリプトン星人が近くにいるんだよな。
それも肉体派じゃない方の・・・」
「ジェーニャは巫女として見込まれていた子の素養を受け継いでいるから
反応して文字が現れたんでしょう。
それにしても・・・背中に文字が浮かんでも本人には読めないよねぇ」
「ああ、本当にアホな技だw」

VIP部屋では老紳士がくしゃみをしていた。


「ところでジェーニャ。君の本体・・・いや、エフゲニーは今どこにいるの?」
バトルの問いかけにジェーニャの顔が曇った。
「彼は・・・凍り付いていて動けないみたいなの。意識もないわ。
助けてあげたいんだけど、私が助けに行ったらまたあいつに体を乗っ取られる」
「あいつって?」
「あたしにそっくりな顔の女よ。でもなんていうのかな。
恨みとか憎悪が凝り固まって出来てるみたいな・・・心の痛みとか。
ううん、リョーシャに虐められたとかオリンピックで転んだとかそういうレベルじゃないわ。
子どもの頃からよく知ってるけど、彼にこんな感情があったなんて」

285:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 10:25:23 Wnu+fMB+0
>>222です

流れをぶった切ってしまったのにうまく繋げてもらって、ありがとうございます。
ちゃんとリロードしてから書き込みますねorz

286:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 11:07:14 5KbETqCE0
エフゲニーは寒かった。なんで寒いのかもよく思い出せないくらい寒かった。
(ここはどこ・・・・・・? 僕どうなるの?)
寒い。寒い。エフゲニーは体を丸めて赤ん坊のように凍りついた。

「ジェーニャ?」
ハンガリーの自宅で、マートンは振り向いた。背中に誰かの視線を感じたのだ。
TVでは世界的なパンデミックについての続報が流れている。どうやら感染するのは一部の人らしいが・・・・・・情報が制限されているのか、詳しいことが分からない。
言いようのない胸騒ぎを感じる。あの甘えん坊は大丈夫なのだろうか・・・・・・?
しばし考えた末、マートンはストラディバリウスを構えた。キング・オブ・ザ・フォレスト。マジック・ストラディバリウス。アート・オン・アイス。
流麗な音色が空気に捧げられる。ニジンスキーの音だ。

(マートンが弾いてる・・・・・・誰か踊ってる)
凍りつくプルのまぶたの裏に、優雅な舞が映る。
――お前はいつも誰かに助けられてきた。
(・・・・・・ニジンスキー?)
――たった今もだ。私は私に捧げられた音色によってここに来た。ソルトレイクのときも、お前は助けられたのだよ。
(あれ、やっぱり金パンツの力?)
――あれは私ではない。もう一人のお前の助けだ。私のパンツは阿蘇山で力を解放され、世界に溶け込んだ。その結果私は今世界のどこにでもいる。阿蘇山に来なくとも、私は呼べばお前の元に来るのだよ。
(そっか、あのこに僕、助けてもらってたんだ。お礼を言わなきゃ。だってあのこは僕の・・・・・・あれ? あの子は僕の何?)
――お前はそれを思い出さなくてはならない。誰の助けもなしに。一人で。それがお前を助ける道であり、このパンデミックを解決するひとつの方法となるだろう。
(一人で?)
――そうだ。
(ニジンスキー、僕は誰よりも知ってるよ。皆の力がなければ、僕は何にも持ってないって事を。ミーシンもヤナもマートンも、くやしいけどリョーシャもいなきゃ、僕はここにはいなかった。だから僕は皆のために滑りたい。何をすればいいのかな?)
――氷の奥で眠れ。そして新たなお前に合うがいい。その凍てつく思いに触れてみれば、きっとお前は思い出す。
(そっか。ありがとうニジンスキー。僕を助けてくれて)
プルはニジンスキーに感謝すると、心の中のまぶたを閉じた。あの時あった凍てつく女に会うために。
それはプルの心の奥深く、深層心理と過去の世界へ旅たつことだった。

287:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 11:38:01 Wnu+fMB+0
ついさっきまでおしゃべりをしていたプルシェン子がことんと眠りについてしまい、
バトルはおおいにあせった。
あせったが千載一遇のチャンスとばかりにカメラを構える。
横ではジョニ子が「やーらしーー。セクハラよ~~」
とヤジを飛ばしているが、そんなことは気にしない。

「なんか変ったことでもあったか?」

バターン!!とドアを開けて大声を出しながら入ってきたのは
やっぱりヤグディンだった。

(確信犯だ・・・。絶対そうだ・・・・・)

こめかみがひきつりそうになったが、脳裏に真央の愛らしい笑顔が浮かんで
(そうだねマイ・プリンセス。僕には君がいるんだよね)
と額の青筋をひっこめることに成功した。


「おい・・・、こいつ寝ちまって大丈夫なのかよ。
まー、うなされてねぇから平気だと思うけどな」
ソファで昏々と眠るプルシェン子の髪をヤグディンはぐしゃっとかきまぜた。
プルの金髪がぐしゃぐしゃになるのが面白く、ヤグディンはプルの髪をいじくり続けた。


もしプルシェンコ(♂)の意識があれば
(やめてお願いそれだけは!!)
と泣いただろう。
やっぱりこれ以上髪を劣化させたくないのだ。

288:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 12:13:29 CcKW5u7i0
ジョニ子はふと、寿司屋に行く前に見た夢を思い出していた。

あの時、スケート靴が光ってなにか言われたような・・・
そうだ、あの声は確かに言っていた。

「お前の眠れる友を助けよ、心を解き放て」

ジョニ子は決心した。
「リョーシャ!やめなさい、毛根に悪いわ!」
ジョニ子の目に涙が浮かんでいた。他人事とは思えなかった。

その頃、なぜか小塚がくしゃみをしていた。

289:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 12:22:16 Quls+15lO
まさかのニジンスキー!
感動した!

290:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 12:26:32 QXltD/goO
>マイ・プリンセスwww
バトルが可愛く思えてきたwww

291:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 12:35:41 d0GArYBn0
>273
最後フイタ

292:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 12:50:16 i+drGjLPO
ヤグのいたずらをやめさせると、ジョニ子は宣言した。
「アタシ行くわ!ジェーニャを助けに!!今こそDIVAの出番なのよ!」
(あぁ…長かったわ。アタシが主役のはずなのにすっかり影が薄くなってたんですもの。
でもここからはアタシのターンよ!主役とその他大勢の格の違い、見せつけてあげるわ!
てゆーか、このままジェーニャ主役、みたいな流れにはさせないわ!)
…という心の声はもちろん飲み込んだ。

「助けに行くってどこ行くのさジョニー?ジェーニャはここで寝てるし…」
慌てるバトル。
「だまらっしゃい。どこへ、ってジェーニャの夢の中に決まってるでしょう。
ジェーニャの意識の中に入って目を覚ます手伝いをするのよ。アタシ天使なのよ!」
「えっえっ、そんなことどうやって…」と慌てるバトルを尻目に、
「ちょっとリョーシャ!アタシやジェーニャが寝てる隙に悪戯すんじゃないわよ!
ジェフ、ちゃんと見張ってなさいよ!なんかあったらマオに言いつけるわよ!」
とヤグディン&バトルに物申し、ベッドに身を横たえると、吸い込まれるように眠りに落ちた。

293:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 13:32:08 CcKW5u7i0
「なんか2人とも寝ちまったな」
「可愛い寝顔だよな・・・どっちも」
「このくるんとしたまつげは本物なのか?ちょっと引っ張ってみよう。
おっ、本物だ、すげー」
「アレクセイ・・・やめろよ」
イタズラ大好きヤグ先輩だった。


ジョニ子はジェーニャの心の中にうまく入り込めたようだ。
季節は春か夏らしく、周囲は花畑だった。
高山や高緯度地帯のように高い木がない世界だった。
草むらから雲雀に似た鳥が顔を出している。

「ここは早いところ、ジェーニャを探さなくちゃ」

翼を使って飛んでみようとするがうまくコツがつかめない。
何度か試してようやく飛べた。重力が大きいせいだ。

見渡すとひとりの少女が鼻歌まじりに花を摘んでいた。
口ずさむカリンカの歌唱力は・・・まぁご想像にお任せする。

294:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 13:56:58 /mD+Q1F40
熊本のホテル、男子部屋。

アボットはぐっすり眠っていた。その姿が豚になっているかどうかはわからない。
ADSLも寝具に潜り込んでいる、さっきべるるんに、ベッドに蹴り入れられた。
「自分の体調管理くらいしろ!貴様もアスリートだろがー!」
べるるんがついカッとなったのにも訳がある、ADSLが、
“MJ祭りに行く!俺もムーンウォークやる!”などと言い出したからだ。
(まったく、ふざけるな、僕の気にもなってみろ…コーチが見たら何て言うか…)
いっそ、コーチが昏睡中だと告げてしまおうかとも思ったが…
ルトコフコーチのこととなると、べるるんの胸は痛んだ。
(本当は、真っ先にアドリアンに報せなきゃならないけど…
 きっとショックを受けるし、心痛でまた異変が起こったらどうする?)
ルトコワに、自分が後輩についている、と約束した。責任がある。
(一応“鼻ピー”は、「変身」制御に効果があるようだ、
 副作用としては…眠気に襲われることかな?見ている限り。
 コーチも危険な状態ではないし、やはりアドリアンには黙っておこう)
ええと、それから………

295:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 13:58:01 /mD+Q1F40
…ADSLは、寝具からちらっと目だけ出した。
べるるんは椅子に座ったまま、居眠りしている。
さっきは、普段優しい先輩に蹴り飛ばされて、おとなしく従ったが、
実は、今は眠くはなかった。寝たフリをしていたのだ。
(おっかなかったなあ…先輩も、徹夜で疲れてるんだよ、しょうがない。
 心配ばかりかけて、すまないな…)
ADSLはADSLで、べるるんを気遣っていた。
(俺たちがさっき、変身の実験をしていたと知ったら、無茶するなって怒るだろうな…
 そしたら身体に障るよ。そうでなくても、俺がさっき蹴っ飛ばされたくらいだから…)
…トマシュがADSLをけしかけた、と知ったら、トマシュはぶん殴られるかもしれない。
(やっぱり、黙っておこう。
 でも、「変身」のコツがわかったと思ったのに、何で意識を失っちゃったんだ?
 鼻ピーも使いこなせそうだと思ってたのに)
この時ADSLは忘れていた、
“遊びや自分のためだけに「変身」を使わない” と誓ったことを。

296:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 14:47:54 /mD+Q1F40
ADSLはそっとベッドを抜け出した。
そして音を立てずにべるるんに近寄ると、何やら寝言をつぶやいている。
(なんだろ…「ジョニーの血」…「輸血」…?それから?)
途切れ途切れのつぶやきを、しゃがんだままふんふんと聞きながら、
後輩はなんとなく、先輩の考えている事がわかったようだ。
(なるほどね。どうかなあ?でもみんなに言っとくべきか)
後輩は立ち上がると、先輩にそーっと毛布をかけて、部屋を出た。

コンコンコン。
「はーい、どなた?入って^^」ユカがノックに応える。
ドアからぬっと顔を出したADSLに、女子部屋はざわざわした。
…ADSLはまず、「ジョニーの血」という言葉からジョニーのいる部屋に行き、
ダイスケっていい人そうだから、と思って彼のいる部屋に行ってみたのだが、
どちらも取り込み中なのか、ノックしても気付いてもらえず、女子部屋に来たのだ。
(早稲田の取り調べ思い出しちゃって、なんだかなって気分だけど…しょうがない)
「あら、アドリアンね?ここは男子禁制よ?いえ冗談、どうしたの?^^」
「ユカ、みんなも、聞いてください。俺の先輩の、クリストファーのことなんです…」

「…吸血鬼に変身した先輩は、日光だけでなく、蛍光灯の光でも火傷を負いました。
 そしてよりによって、後輩の俺の首に咬み付こうとするほど、重症でした。
 その後先輩は、ジョニーの血液で輸血を受けて、『変身』に伴う症状が軽くなったんです。
 光に当たっても、ある程度大丈夫みたいだし。鉄分は摂らなきゃダメみたいだけど。
 先輩は、それで、『ジョニーの血液に、治療法があるのでは?』と考えてるみたいで…
 …でも…
 どうなんですかね、それって便宜的なもので、根本的な治療とはちがうんじゃないかな?
 俺の鼻ピーと似たようなもんで…って俺は思ったんです、どうですかね。
 以上、俺の話は終わりです。
 なんだったら、後で先輩に聞いてください、今は疲れて寝てるんで」

ユカの微笑みが、心なし真剣になったように見えた。
「…興味深いわね…ところでその、鼻ピーって何なのかしら?^^」
「えぇー?言えないっすよお…SWEスケ連最高機密だし!(ニヤニヤ)」<最高機密はむろんウソである。

297:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 15:14:44 TXTkOmaF0
「こいつら、どうしようか」
縛り上げて木にくくりつけている襲撃者達を見ながらKVDPが問う。
黄色い汁のおかげで身動きはとれないが敵であることには違いない。油断大敵。
(敵やしトドメをさすこともできる…でもわしは
殺生は嫌いやねん。同じ人間や。せめて食いもんくらいはあげようや)
ハチがぶんぶん飛びながらみんなに提案する。
当然ハチの言葉は通じていないが、みんなが同じ気持ちなのは伝わった。
日本に向かう予定だったが、ここは予定変更。

ゲデ子の牛乳や冷蔵庫にまだ残っている飴ジュース、
リスデマンお手製のどんぐりクッキーにどんぐり団子。
それらを木にくくられている男達に振る舞う。
「あ…どうもすみません」
「おいしいっすね、このクッキー」
「このジュース、初めて飲んだけど不思議な味っすね」
はじめは戸惑った屈強な男達も和やかな空気にちょっと馴染んできた。

298:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 15:27:08 TXTkOmaF0
暖かい日の光に包まれてヴォロは眠りについている。
てんとう虫もいまだ人妻乱れ宿の上で眠ったままだ。
「ヴォロノフの調子も悪くなる一方だし、ずっとここにいるわけには…」
日本に行く方法を模索するが厳しい状況だ。

コンコンッ

再びランビ家のドアをノックする者が現れた。一同に緊張が走る。
「ランビエールさーん、赤ぬこ宅急便スイス支店のものでーす。
日本のジェフリー・バトルさんからお届けものでーす。ハンコお願いしまーす」
(なんや?本物の宅急便みたいやで)
ハチが応対しようとするがそれは無理だ。
ポンちゃんが荷物を受け取った。
それはランビ家襲撃の一報をうけた信夫が赤ぬこ宅急便の
「どんな場所でも世界中にその日のうちにお届けしますサービス」を使って送った
由布院温泉のお湯だった。
このサービスは大変割高である。しかし経費で落ちるだろう、と
信夫がバトルの名で送ったのだ。請求書はもちろんバトル行きだ。

299:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 15:42:07 8EyyrQ8U0
一方、原因究明担当の布袋部屋。(ただし、部屋主はヴォロギターで練習中)

高橋の与えられた3つ目のアイテム・スケータースーツ
「まあ、崇彦に与えたスーツと機能は同じじゃ。念じたものに変化が出来る。
・・・・但し、変化できる物がちがう。姿形自体を別のものに変えることが出来る!」
「姿かたち?」
それを聞いて崇彦は疑問に思う。
「それは・・・今回のウィルスの変身と同じ様に?」
「う~ん・・・・難しい質問じゃな。」
老紳士はため息をついた。

「このスーツは元々あるクリプトン星のアイテム・本とスケート靴を守るため技術者が開発したもの。
開発過程でウィルスの特徴に目を向けたかどうかは彼らに聴かんと分らんな。」
「そうですか・・・・・」
今度は崇彦がため息をついた。
「あの、このスーツについて質問してもいい?」
大輔が手を上げた。
「このスーツを着て念じれば姿形を変化させられるらしいけど、どんなものでも言い訳?」
「無論、何でもというわけではない。主の想像できる範囲のもの。主のスケート力を越えないもの。
そして、過去にこれを使用して変身したもの、の3通りじゃ。」
「へええ・・」
「かなり、話が長くなってしまったか。少し休憩するか?」
それまで黙って話を聞いていた光彦じいちゃんが大きく伸びをした。

しばし、お茶お飲みながらくつろぐ4人。

「(・・・・未来ちゃん、大丈夫かな・・・)」
崇彦の心配が募る。そして
「おれ、ちょっと未来ちゃんの様子見てきます。」
「あ、そうだ。俺も行く。」
二人は連れ立って未来のいる女子部屋に向かった。

「・・・なかなか際どかったな。長老殿」
「ああ、かなり緊張したよ。」

二人の老師は大きくため息をついた。

「若い二人にはまだすべてを話せん。なぜなら、自分の決める道は自分で決めなければならない。」
「今のわしらに出来ることは、あいつらの選ぶ未来を見守ること。決して邪魔をしてはいけないということだ。」





300:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 16:23:29 ryM8fLojO
ランビ宅のほのぼの展開に油断してたら、ニヒルなリスデマンにときめいてしまったw

301:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 16:59:59 Wnu+fMB+0
夢の中に入り込んだジョニ子は、よれよれの音符が飛び交うカリンカの主をようやく見つけていた。
ご機嫌でカリンカ(黒ミサver)を歌うプルシェン子はお花畑でひらりひらりと踊っている。
こころなしかげっそりした面持ちのジョニ子は、「ジェーニャ~~!!見つけ・・・」
と言いかけて声を呑みこんだ。
舞い続けるプルシェンコの前にもう一人の女が現れたのだ。
凶悪な顔をしたもう一人のジェーニャが。

カリンカの歌声は止んだ。
小鳥のさえずりも、木々のざわめきも、全ての音がなくなった。

にらみ合う二人のジェーニャにジョニ子の背中を冷や汗が伝う。
(どうしたらいいのアタシ?あーん、せっかく夢の中に来たのに~~)

302:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 17:31:02 CcKW5u7i0
ふたりのプルシェン子の間にブリザードが吹き荒れる。

「消えなさい。ちょろちょろ邪魔ばかりして」
「おあいにく様。あんたの好きなようにはさせないわよ」
「うるさいわね、いつまでもガキみたいな顔してかわいこぶって」
「なんですって?アタシはね、可愛くて抱きしめたくなるタイプなのよ!
あんたみたいな不感症ババアとは違うわよっ」
「言ったわねムキー」
「やるかこのアマ!」

ふたりが同時に氷の固まりを放つ。
砕け散る氷に埋もれ、周囲の花畑はみるみる凍り付いていった。
ビジュアル的にはFFの召喚獣、シヴァが2人で闘ってるのを想像していただきたい。

「もうちょっとちょっと、あなたたちいい加減にしなさいよ!」
「うるさいわね、あっち行って!」

ふたりのプルシェン子から同時に突き飛ばされて
ジョニ子はプルシェン子の心の中からはじき出されてしまった。

「あーっ、怖かったぁ。寒かったからダウン着ていくわ。
リョーシャ、アタシにイタズラしなかったでしょうね?」
がばっと起き上がりダウンジャケットを着込んで、
もう一度眠りにつくジョニ子だった。

303:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 18:43:04 HKypYcqVO
防寒対策を整えて再度ジェーニャの夢の中へ入り込んだジョニ子。
二人の戦いはまだ続いていたが、冷たい目のジェーニャの勢いがやや強いようだ。
青い瞳のジェーニャはそれでも必死に踏みとどまっていたが、遂に耐えきれなくなり、氷つぶてを受けて吹っ飛ばされる。
倒れているジェーニャに近づく、冷たい目のジェーニャ。
「散々手間をかけさせてくれたわね・・・これで終わりよ。」
思わず身をすくめる青い瞳のジェーニャ。
伸ばされた手が触れようとしてその寸前。


不意にその動きが止まった。
身体が小刻みに震えだし、やがてうめき声をあげながらその場にうずくまった。



304:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 20:04:33 s9mcDaWLO
布袋部屋のリビングにいた光彦は、奥の部屋でギターを弾いている布袋に声をかけた。

光彦「布袋さん、いろいろしていただいてありがとう。
実は車に湯布院の温泉水が積んであるんです。
このスイートルームのお風呂は追い焚きも出来るようだから、お礼にこちらのバスルームに温泉水を沸かしますので、ゆっくり温泉に浸かっていただきたい。いかがでしょう?
なあに、すぐ下の階にいるうちの役員に持って来させますからすぐ沸きますよ。」
布袋「へぇ~それは嬉しいなあ。いいんですか?そんな貴重なものを…」
光彦「なあに、また汲みに行きゃあいい。」

そんな訳で、布袋部屋のバスルームには湯布院温泉と同じ成分のお風呂が沸き、早速布袋はお風呂に入らせてもらう事にした。

老紳士「温泉水を大量に車に積んで来たのか。」
光彦「そうだよ。なにせ最近は滅多に遠出はしないからね。」

バスルームから布袋の鼻歌が聞こえてきた。

305:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 20:23:47 g6qir3O80
(俺はいったいなにをしているんだろう。ここは寒いよ。寒くて、こわい。悲しい。つらい。苦しい。
 俺のからだを包むのは、ふだんの俺が持っていない毛皮で、毛皮と云っても、猫とかうさぎとかリスとか、
 そんなやわらかいものじゃない。つやつやして、さわり心地がいいものなんかじゃない。俺の毛皮はごわごわしてて、
 硬くて、強くて、防寒にはなるけれど、あたたかさなんて感じない。瞼の裏はすこし赤くて、どうしてかっていうと、
 俺があたたかい陽だまりにいるからだ。濡れた鼻を、ほんのり花の香りがする風が撫でていく。ランビエールさんの家には、
 きれいなきれいな花壇があるんだろう。ここにきて俺は、満足にものを見ていないし、聞いていないし、感じていない。
 
 立ちあがろうって思ったんだ。けれど、すぐに心はくじけてしまう。立ちあがっても意味がないんじゃないかとか、
 無駄なんじゃないかとか、そういう、このぬくもりに似つかわしくない、闇のような影のような、仄暗い渦に巻き込まれて、
 抜け出せなくなってしまうんだ。
 何かしなきゃって思ったのに、俺は結局、なんにもできなかった。
 いつもいつも守られてばかり。この姿になってから、ずっとずっと。
 
 ここは寒いよ。故郷の夜みたいだ。空気が凍っている。まるで刺が針のように、突き刺さるみたいだ。
 でも故郷と違うのは、空気はちっとも澄みきってなんていないし、星のささやきも聞こえない)

 仕方がなかったんだよ。
 と、周囲はみんなそう言った。あの状況じゃ仕方がなかったんだ。君はピンチヒッターで、君の相棒は思わぬ棄権となってしまった。
 それなのに君は、プレッシャーに負けずに頑張ったじゃないか。落ち込むことはないんだ。
 けれどそんな声をかき消すように、聞こえてくるのは、責め立てる声。

『     』

 聞きなれた声。見慣れた背中。それから笑顔。
 いつも傍にいてくれたあの人は、あの時も、俺を庇ってくれた。

(ヴォロは隠れて!あの人達は危ないわ…!)
 でも、俺も、……俺は……
(いいから下がってなさい!)
 いつまで守られてれば気が済むんだ? 



(ヴォロ、起きて、日本から素敵なものが届いたわ!)
 こつん、と、エレーネの鼻先が、額にぶつかる。
 素敵なもの?
 それはなんだろう。ゆっくりと瞳を開けると、庭先はまばゆかった。

306:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 20:26:43 CcKW5u7i0
>304
もちろんそれは由布院市内のT温泉の湯である。

鼻歌はやがて
「目が、目がぁぁぁぁー!」という絶叫に変わった。
うっかり顔を洗ってしまい目に入ったらしい。

忘れてはいけない、この温泉はpH1.4である。
(※実在する温泉を参考に設定してあります)
ちなみに一般家庭で温泉水を追い焚きすると
風呂釜が傷むのでよい子は決してマネをしないでください。

307:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 20:42:18 kl4oleLY0
深夜。ADSLは一人、手洗い場の鏡の前に立っていた。
「変身」のコツをより深く掴むために…というよりは、もはや好奇心の方が強かった。
「大体トマシュさんの言い方分かりにくいんだよ…ああとかこうとか…もっと具体的に…」
と、目を瞑って開けた瞬間。

「あ」

数秒、時が止まった。男子トイレに女性がいる!…じゃなくて、自分が女性の姿をしているのだ。
それも、キーラそっくりの姿に。ADSLの言葉を借りて言えば、ADSLはキーラに「なった」のだ。
「…やっちまった」
体が震えたが、それはついになすべきことを成し遂げたから、というわけではなく、
何か自分がいけないことをしてしまったような気がしたからだった。
しかしADSLはもはや自分を止められなかった。それじゃあ人種も、と思った矢先に、
彼は高橋大輔に「なって」いた。

―先述の誓いのことは忘れてしまっているADSLだが、
先輩に見つかったら叱られるどころではすまないことは分かっていた。
(トマシュさんにだけ見せたら、すぐやめよう。
多分ウイルスの変身の延長線上のことだ、誰かに言わなくたって大したことない)
そう思いながらもADSLの顔からは冷たい汗が流れ続け、
その心臓は奇妙なリズムで鼓動を打ち続けていた…

308:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 20:55:56 s9mcDaWLO
大輔と崇彦は本とスケート靴、スケータースーツを持って女子部屋を訪れた。

未来はまだ奥の部屋で休んでいたが、リビングではADSL、真央、美姫、ユカ、タラソワがなにやら真剣に話していた。
大輔と崇彦もそれに加わる。
相談の結果、真央が未来を起こしに行く事になった。

真央「ミライちゃん?」
未来「う~ん…まおちゃん…ここはどこ?」
真央「熊本のホテルだよ。気分はどう?」
未来「う~ん。変な夢見たけど…よく寝た~ふあ~ぁ…みんなは?」
真央「リビングにいるよ。起きられる?」
未来「…ん…大丈夫。」

真央が先にドアを開けて、皆に合図をした。

ハッピーバースデートゥーユー♪×2
ハッピーバースデーディアミライ♪
ハッピーバースデートゥーユー♪
女子部屋にいるメンバー全員で手拍子をしながら歌った。

歌が終わると、大輔がろうそくのついたケーキを持って未来の前に差し出した。「未来、17歳の誕生日おめでとう!」

(キャーキャー夢みたい(。≧∇≦。)ダイスケさんがプレゼンテーターなんてっ)

ろうそくをふーっと消した瞬間、ミライが闇に隠れて鼻血を拭いたのはヒミツだ。

309:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 21:04:49 s9mcDaWLO
>>308

>>307
の前の出来事です。

310:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 21:13:05 hdlrhYs+0
うずくまった冷たい目のジェーニャは、粗い呼吸をつづけたまま動かない。青い目のジェーニャも、受けたダメージが回復しないのか体を起こそうともしない。
ジョニーは青い目のジェーニャを助け起こした。
「しっかりして、ジェーニャ」
「ああ、ジョニー、なんでここに?」
「私がDIVAだからよ。それより何が起こったの? あの冷たい方、動かないわよ」
「わからない……あ?」
会話の途中で、ジェーニャが上体を起こすそぶりを見せた。ジョニーは背中に手を当てて起きるのを手助けしてやる。ジェーニャは凍りついた花々の彼方、地平線を見つめた。
「エフゲニー」
かすかな声で呟く。ジョニーも同じ方向をみると、エッジが氷を削る音がした。
最初は雪の結晶ほどの大きさだった。それはどんどん大きくなりジョニーとジェーニャの前で止まった。
プルシェンコだった。だが、様子がおかしい。氷上に立つ時と同じ、威厳に満ちた表情の底から、今にも吹雪きそうな悲しみの色が見て取れた。
まるで涙で作った氷の結晶だ。
「ジョニー、どうしてここにいるんだい?」
「あ、貴方が急に寝てしまったから心配で、助けに来たのよ」
声にも、悲しみのブリザードが吹き荒れている。
「気持ちはうれしいけど、帰ってくれジョニー。これは僕の問題なんだ」
プルシェンコはジョニーの腕の中からそっと、もう一人の自分を取り上げた。ジェーニャはプルシェンコを見上げ、その両頬に手を当て
「どうしたの、エフゲニー」
と、母か姉のように聞いた。
「思い出したんだよ。ずうっとずうっと昔のことを。忘れなさいと言われたことを」
プルシェンコは答えた。そして振りかえる。冷たい目のジェーニャが、燃え上がらんばかりの憎悪で、プルシェンコをにらみつけている。
「彼女は、僕の忘れていた記憶と感情だ」
雪がすべての音を吸い取ったように、静かな告白だった。

311:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 21:13:35 g6qir3O80
>>308
ダイスケさんがプレデターなんてっ
に見えてびびったwそんなデーはいやだw

312:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 21:29:10 qnGeM/vJO
トマシュは性別不明部屋で目を開けた。
時計を見るとすでに夜の12時を過ぎていた。
奥から聞こえる声からまだヤグディン達は起きているのがわかる。
天使のミハルは時たま「…ホゥッ!」といいながら居眠りしていた。

ドアを開ける音がした。
音のした方を見るとそこには大輔が立っている。
「ダイスケ、どうかしたのか?」

質問には答えず、彼はトラを廊下に手招きした。
「…廊下に誰かいるのか?」
それともヤグ達に聞かれちゃマズイ話なのだろうか?
不思議に思いつつ、部屋から出ると大輔はニヤリと笑った。

次の瞬間、彼は彼では無くなった。
そこには大輔ではなく、ここにはいないはずのキーラが立っていたのだ。

「は…?な…何だこれは!?」

「…しっ!トマシュさん、声が大きいです…。
俺です、アドリアンですよ。」

次に変わった人物は青ジャージ姿のADSLだった。
いつも通りニヤニヤ笑っているが、どことなくおかしい。
トマシュは寒気がした。

「アドリアン…やっぱり変身は止めた方がいいんじゃないのか?
これは本当に…危険だ!」
「何言ってるんですか?
あなたも進めてたでしょ、酔っ払って忘れたんですか?」
辛そうに笑いながらそういうADSLを見て、トマシュはものすごく後悔した。

313:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 21:42:32 xy0GIQJD0
心配性で割となんでも一人でかかえ込みがちなべるるんがかわいくてしゃーないw
トラも前半に比べてずいぶん活躍してきたし

いつかべるべるコンビの恐怖の合体技を繰り出してくれることをほんのり期待しつつ…ww
トラ!がんばれトラー!


314:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 22:21:44 i+drGjLPO
プルシェンコに帰れと言われてぷうっと脹れるジョニ子。
「ちょっとジェーニャあ。せっかくDIVAのアタシがこんなとこまで来てあげたのにそれはないんじゃない?」
「君の気持ちはありがたいけど、これは僕の問題なんだよ」
しかしジョニ子は引き下がらない。
「そもそもアタシがここに来たのは、ジェーニャを助けてあげなさいって夢でお告げがあったからなんだから!
最近影が薄いし、ここらでいっちょドカーンと活躍して、
皆にアタシが主人公!ってことをしらしめてやろうだなんて、
決してそんな魂胆で来たわけじゃないんだから!!」
(どう考えてもそれが目的だろ…)
仕方がないのでプルシェンコがキャメルスピンでジョニ子を吹っ飛ばそうとしたそのとき、エフゲーニヤがそれを制した。
「待ってエフゲニー。ジョニーを追い返しちゃだめ。彼はきっとあなたを助けてくれるわ」

一方現実のホテルの部屋。
眠ったまま口を尖らせているジョニ子を見て、
「なんかあっちでも揉めてるっぽいね…」
と心配するバトル。
「ああ。でも心配したところで俺たちには手出しできないしな。
せっかくだから今のうちに遊ぼうぜー」
ヤグディンは油性マジックを取り出してジェーニャのまぶたに目を描きはじめた。
「あっあっ、そんなことしたらだめだってばリョーシャー!!」

315:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 22:28:39 CcKW5u7i0
もちろん次に「俺最近、日本語の勉強をしているんだ」と言いつつ
ジョニ子の頬に「ーニョジ」と書くのも忘れない、
ナイスガイなヤグ先輩であった。

316:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 22:34:24 s9mcDaWLO
>>315

しかしヤグ先輩の落書きは日本人が見ると

ーニヨヅ

にしか見えないのだった。

317:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 22:41:02 g6qir3O80
 ひどく喉が渇いていた。
 いくら吸血鬼状態だったと言えど、昨晩から一睡もしていなかった体は、貪欲に眠りを求める。
 意識は睡魔に誘惑されて、引きずられるように体の力も抜けていく。
 体の上から重しを乗せられているようだった。そうでなければ、重力に弾かれ、底なし沼に落ちていく感覚。
 重しを乗せられたことがなければ、底なし沼に引きずりこともない。思考は靄か霞か――故郷の街を埋め尽くす吹雪に閉ざされたように、はっきりしない。
 アドリアンが目を覚まし、聞き耳を立て、そっと毛布をかけていったことも気づけなかった。
 にも関わらず、喉元を這いまわる不快な感覚だけは、やたらと明瞭だった。
 
 どくん

 心臓が大きく、ひとつ、暴れる。無意識に、鈍った腕を動かし、おかしな鼓動を確認するかのように右手を添える。

 それは渇きというよりも、飢えだった。
 どくん、と、不規則に鼓動が胸を叩くたび、その渇望は増していく。

 ジョニ子の輸血で、症状は軽くなったはずだった。馬刺しも食べた。鉄分は充分に足りているはずだった。
 
 どくん、どくん、どくん

 心臓の音が、大きくなるのに比例して、速度が遅くなっていく。

「……喉が乾いたんだ。僕は……血が……」

 髪をかきあげ、べるるんは立ち上がる。かきあげた髪は、金から、美しい赤毛に変わっていた。

 血が欲しい。どうせなら、美しい女性の血が。どうしてあの時、あの美しい女性の首筋に、この牙をつきたてられなかったんだろう。

 アドリアンが掛けた毛布がはらりと床に落ちる。それを胡乱な瞳で見下ろして、べるるんは部屋を出た。
 美しい女性は何処にいるのだろう。足は欲求にこたえるように、進んでいく。

318:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 22:55:50 xG5xvdIRO
赤毛べるるんktkr!
でもこのままだと心臓停s…(((゚Д゚;)))

319:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 22:58:14 78iRSCHv0
スレチっぽいが投下


中年の男性が頭を抱える
銀盤の(ry の監督である
視聴者の声で続編が決まったものの、全く何も進んでないからだ

1クールでトリノ五輪までだとしたら、確実に中だるみする。
かといって、バンクーバーまでやってしまうとファンが消化不良を起こしそうだ。

あーもう、どうしよう…
いっそジェーニャが女の子だったらもっとアイデアが沸くのに。
一部の原画マンはジェーニャより、時々出てくる
りんごほっぺのイーラを描くのに異常なこだわりを見せていた。

あ、ニジンスキー~トリノ五輪までなら、2時間位でまとめれば一番いいんじゃ…?
これって劇場版いけるんじゃね?
TV放映で新規カットを入れた総集編を流して…
その後続きの煽りでドーンとこう
【銀盤のプリンシバル ジェーニャ A New Translation~クワドを継ぐ者】
と予告流して
勿論主題歌はマートンさんに依頼だ!

銀盤の(ry の監督の表情が晴れてきた
問題はクライアントが納得するかである。


余談だがこのアニメ、敏腕アニメーターが集結して原画を描いていたので、
ハイレベルな技量が要求される演技のシーンでも作画崩壊がなかったのだ。
しかし、ミーシン先生の指摘があった所は、DVD収録の際に修正されている。
TV放映版とDVD版で作画の微妙な違いを楽しむのが通である。

320:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 22:59:04 PSNFjaF8O
心停止プロw

321:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 23:09:42 qnGeM/vJO
見せたら止めようと思っていたのに。
トマシュに見せたら喜ぶかと思っていたのに逆に止められたADSLは苛立った。
そして変身を続けた。

「じゃあ、今度はあなたの彼女にでもなりますか?」ADSLは青ジャージからペシャラに変身した。
心臓はさらに鼓動を速めて爆発しそうだ。

「…っ、もう止めろ!」
自分の彼女の姿を遊びに使われたような気もして、つかみかかろうとしたトマシュ。
しかし向こうのドアから見慣れた人物が出てきたのに気がつく。
「クリストファー!良かった、アドリアンが…。」

しかし見慣れたべるるんとは違う部分があった。
髪が赤い、いつも染めている金髪ではない。
声に気づき顔をこちらに向けた彼は目の色まで変わっている。
まさか…吸血鬼状態?
ちくしょう、こんな時に…!
ADSLはやっと後ろのべるるんに気づいた。

べるるん、いや吸血鬼は部屋から出て一組の男女を見つけた。
男性の方に興味はない、美しい女性に視線を奪われる。
血…喉が渇いて…心臓が…痛い!
…あぁ、ちょうどいい時に。

べるるんはペシャラに変身しているADSLに襲いかかった。

322:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 23:22:31 CcKW5u7i0
「ねぇ、一体なにがあったのかアタシにわかるように説明して。
3人のうち誰でもいいから!」
ジョニ子が尋ねた。

プルシェンコがジョニ子を見据えて言った。

「僕とこの子は二卵性双生児として生まれた。
僕たちはいつも一緒だったよ。
双子は別々に育てなくてはならないという掟があるのに、両親は僕らを一緒に育てた。
だから長老たちは僕を殺してこの子を巫女に祀り上げようとしてたんだ。
この子のの能力は群を抜いていたからね。
ふたりで必死に逃げた。だけど大人たちに囲まれて・・・
その時、この子が僕を庇ったんだ。
僕達は性別が決まる時に名前をもらう。だからこの子には名前さえない。
僕が物心ついた時には既にこの子は僕の中にいた。
双子だなんて思ってもみなかった。僕の中の女性的な部分がそう見えてるんだと思ってたよ。

すっかり忘れていたんだ。
僕は、僕の心の奥の奥にある小さな泉を見つけて・・・そこに顔を映してみた。
するとそこには、絶望にうちひしがれて灰色の瞳をした・・・僕が・・・いたんだ」

プルシェンコの言葉がとぎれると
灰色の目をした女が続けた。

「絶望が憎悪に変わっただけ。長老を殺す。
あいつは今、地球に、しかもすぐ近くにいる」

323:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 23:29:51 end73iQw0
その頃、ADSLのコーチであるルトコフは、やはり昏睡中だった。
特に危険ではないという容態に、変わりはない。
…ただ、その寝顔は、恐ろしく厳しいものになっていた。
付き添っていた妻ルトコワは、夫ルトコフの手を握りしめて、語りかけた。
「あなた、どうしたの、何があったの、私がついてるわ」
夫は悪夢でも見ているのだろうか?
ふと、ルトコワは胸騒ぎがした。
もしや、アドリアンに何かあったのでは…?
「クリストファーにかけてみるわね」
彼女は夫の手をそっと離し、夫の携帯を手に取った。

…熊本のホテルの男子部屋、
アボットらしきものと、ユヅルが眠りこける中、
サイドテーブルの上の携帯が震えた。
誰も起きなかった。

「…クリストファーは出なかったわ…」
ルトコワは再び、ルトコフの手をそっと握る。
「日本は今、何時かしらね。きっとみんな眠ってるのよ。
 …あの子もきっと、大丈夫、先輩がついているもの」
そう言いながらも、しかし、ルトコワの胸騒ぎは止まなかった。

 …もしも、アドリアンの様子がおかしいならば、クリストファー、
 あの子の鼻ピーをむしり取ってやって!…

知らぬうちに妻は、夫の手をぎゅっと握って、祈っていた…

324:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 23:42:58 end73iQw0
自分も書いといてなんですが、ADSL変身編の展開にドキドキしっぱなし!
リスデマン組、こんな時でもアレなリョーシャ先輩もナイス。
サンデュ先輩は…きっと裸足のままなんだろな。

早稲田の村主vs静香も、続きがすんごい気になります!

325:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 23:43:24 g6qir3O80
 冬場のおなじみ、水色の灯油缶に入ったそれを、
 全員で取り囲むようにして、じっと見つめる。
 妙なもてなしを受けた襲撃者たちは、
 心地よい日差しとあたたかな陽気に、うとうと船をこいでいた。
 灯油缶にはユカさん^^からのメッセージが添えられていて、
 代表してポンちゃんがそれを読み上げた。
 温泉水は、灯油缶一本分。
(これに浸かればええねんな)
 熟女とょぅじょとおねいさんと幼なじみとクラス委員長が
 キャッキャウフフしている夢を見ていたところを、
 蜂に叩き起こされたてんと虫は、どこかしら不満げだった。
 せっかくええところやったんに、蜂のボケ……
 つい先刻、活躍したばかりとは思えないやさぐれぶりだ。
 気を効かせたチャッキーが、
 キッチンから蜂やてんと虫、リスデマンが
 ちょうどおさまるようなボウルを持ってくる。
 そして、そそっと三匹まとめて、ボウルの中に押しこんだ。

(いでっ、ちょ、クワドエルフもうちょい手加減せえや……
 ちゅうか何が悲しゅうて男三人で風呂に入らにゃならん……)

(アルバン、文句を言うんじゃない。少しでも温泉水を節約しないと……)

 リスデマンの視線が、牝牛を見上げる。ゲデ子はその視線に、小さく首をかしげてみせた。
 そう。
 この量では、温泉水が足りないのが目に見えている。
 連絡が上手くいかなかったのか、
 ゲデ子がもう少々ミニマムサイズだと思ったのかはわからない。
 とにかく、足りない。
 KVDPとポンちゃんが灯油缶を傾けて、
 三匹がひたひたになるくらいに、ボウルに温泉水を張る。
 リスデマンは瞳を閉じ、
 てんと虫は未だ終わりを告げた夢にぶつくさ言っている。
 乗り気ではなかった蜂は、なぜかプール開き直後の男子のように
 潜ったりドザエモンごっこをはじめていた。

326:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 23:48:16 CcKW5u7i0
「だめよ、ジェーニャ! 憎悪に身を任せてはだめ!
私はこうしてあなたの中でちゃんと生きてる。
だからそんな女の声に耳を傾けてはだめ!」

青い目のエフゲーニヤが叫んだ。
その目には涙が浮かんでいた。
さっきの女同士のケンカの時とは大違いだ。

「男性が見てないと女の子ってああなのね・・・」
ひとつ勉強になったジョニ子だった。あとでジェフにも教えてあげなくちゃ。

327:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/16 23:51:30 g6qir3O80

(ヴォロ、次はあなたよ)

 心頭滅却すれば火もまた涼しと言わんばかりに黙りこくるリスデマン。
 てんと虫は蜂のはしゃぎっぷりに感化され、
 びちゃびちゃばたばたとリビングのテーブルに水しぶきをあげる。
 リスデマンもいることだし、
 蜂とてんと虫は放っておいてもいいと、KVDPは判断した。
 ヴォロとゲデ子を連れ、まだ薔薇のかほりが残るバスルームへ向かう。
 狼ヴォロをバスタブへ入れると、ゆっくりと灯油缶を傾けた。
 ほどよく温泉水が浸かったところで、ポンちゃんとKVDPは大きく溜息をつく。

(そりゃー水かけたるわあああああ)
(ぐわあああ目があああ、目があああ……
 とか言うとでも思うたんか!反撃やそりゃー!)
(………)

「うっさいわいてこますぞボケエエエエエエエエエ!」

 リビングの虫二匹の騒ぎっぷりに、ポンちゃんが声を荒げる。

 果たしててんと虫と蜂、狼とリスはどうなるのか。
 ゲデ子の運命やいかに?


328:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 00:07:55 dmtItts70
銀盤の(ry も楽しみにしてます!

329:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 00:11:40 3m9XbjK4O
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙メン!


ルトコワの祈りとリンクするようにペシャラたんになったADSLが叫んだ。

「ぐわあっ!」
ADSLの首筋に牙をたてようとしていたべるるんが叫んだ。思わず後ずさりをするべるるん。

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙メン!


じりじりとべるるんを追い詰めるADSL。

「ぎゃああああああ」
突然べるるんの身体から何かが出ていき、うつ伏せに倒れた。

と同時に

「きゃああああああ」
ペシャラたんだったADSLも座り込むようにへなへなと倒れた。


330:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 00:33:26 V/S3ZoSXO
友とその後輩をどうにか止めようとしたが、その前に二人とも倒れてしまった。
「二人とも、返事出来るか!おい!」
意識を確かめるトラ。
べるるんは赤髪から金髪に戻っていく、微かに声も聞こえた。

「鼻…鼻ピアスをむしり取って…くれ…!」
鼻ピアス?むしり取る…。
よく分からないが必死に頼むべるるんに答えよう。

倒れるADSLは今ここにいない恋人、ペシャラたんそのものだ。
しかしピアスはADSLのままのようである。
鼻にもちゃんとピアスがあるままだ。
(むしり取る…って何だかなぁ…とりあえず引っ張ってみよう。)
すると実にあっさり鼻ピーは取れた。
煙のようなものがピアスの穴から出ていき、拘束服のADSLに戻っていく。

「先輩どうかしたのですか、ポゥッ!」
ムーンウォークでこちらに向かってくるミハル。
二人で男子部屋に気を失ったSWE先輩後輩を運び込んだ。

331:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 00:49:14 CxxHJYEL0
 チェコ先輩後輩がSWE先輩後輩を男部屋に運び入れても、
 アボらしき何かとユヅルは目を覚まさなかった。
 ポーゥポーゥとご機嫌なミハルをよそに、トラは混乱していた。
 とりあえずミハルを黙らすにはどうすればいいだろう。
 鼻ピーが抜かれ、ペシャラたんから戻ったADSLは、すっかり意識を失っていた。
「ポーゥ!」
 簡易キッチンでおしぼりを濡らしてきたミハルが、先輩にそれを渡す。
 MJ化していてもそれなりに気が効くが、うるさい。
「クリス、大丈夫か……?」
「僕は平気だ……誰かが、僕を、呼び戻してくれた。
 僕を支配していた何かも、今は何処かに行ってしまったみたい」
「……どういうことだ?」
「僕の中から生まれた何かが、僕を支配していた。あれはウィルスなのかな……。
 わからない。ジョニーの血液で、症状は治まったはずなのに。
 でも、あれが完全に僕を支配してしまえば……心臓が止まってしまえば……」

 囁くように息も絶え絶えに言って、べるるんは、すっと眠りについた。


 シリアス展開の連続でトラが困り果てそうだ!
 誰か、トラの手助けをしてあげてくれ!

332:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 00:53:30 V/S3ZoSXO
>>331
書き方で半コテ状態だよ
文頭にスペース入ってるから目立つ

333:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 00:59:03 3m9XbjK4O
昏睡中の夫ルトコフの手を握りながら祈り終わったルトコワは、ベッドの横でつぶやいた。
「アドリアンの事は、もう神様にゆだねるしかないわね…。
なんだかさっきより心が平安だわ。祈りがきかれたのかもしれない。
ああ神様、どうかルトコフの命もお守り下さい…」

334:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 01:00:41 CxxHJYEL0
>>332
ごめん自分で読みやすくしようとしてたらこうなってたorz
気をつける

335:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 01:01:11 CD/PCVeE0
深夜・布袋部屋
崇彦は一人ノートパソコンの前に座り、これまでの情報を整理していた。
(荷物は光彦じいちゃんが実家に連絡してくれて、そこのあった未来の荷物と共に夕方に届けられた。)
未来のサプライズ・バースデーパーティーで騒ぎ疲れ、みなよく眠っている。

「・・・・完全に煮詰まったかな・・・・」

パソコンの画面を見ながら呟いた。
自分では核心に迫っていたつもりだったのに、
新しい事実を知るたびに突き放されていく、
まるであの時に似ている。
バンクーバー・・・トリノ・・・

「あ~も~!!止めた!!」
パソコンをさっさと閉じて、寝る準備をする。

コンコン・・

「(・・・誰だろ)」
深夜1時を過ぎている。とりあえず外を確かめる。立っていたのは・・・
「真央?」

とりあえずドアを開ける。

「どうしたの?こんな遅く」
「・・・・眠れないから付き合って。」
「はっ?」

彼女は何もいわずに部屋の中に入っていく。そして
「はい!」
手渡されたのは缶ビール。
「あの・・・・どういう意味。」
「・・・・きのう、未来ちゃんに何か言ったでしょ。」
「はい?」

・・・・もしかして、『危険』発言のことか?
しかし、それほど深い意味はなかったはずだが・・・・

そんなことを考えいるうちに、真央はリビングに陣取り炭酸飲料を飲みだす。
その飲みっぷりはまさにヤケ酒を浴びてるようである。

「あ~~もう!!」

なんだかよく分らんが、機嫌がよろしくないことだけは分ったので仕方なく付き合うことにした崇彦であった・・・・・









336:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 01:30:54 3m9XbjK4O
大輔は崇彦と同じ布袋部屋の奥の部屋のツインだったが、真央が来た事には気づかずに爆睡していた。
チェックイン時に売店で見かけて気になっていた「くまもん」のぬいぐるみを抱きしめながら…。

337:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 01:56:21 AlONPWpB0
「わかっているよ、エフゲーニヤ」
プルシェンコの声は優しい。
「絶望が、憎悪に変わったのは新型ウイルスのせいだ。僕の眠っていた心と、ウイルスがひとつになったのが彼女だ」
プルシェンコは抱えていたエフゲーニヤを降ろす。
「確かに、憎い。長老達が憎い。掟が憎い。でも本当に憎いのは・・・・・・何の力もなかった僕自身だ」
「ならば自分を消せばいい! そうすれば私がお前になって、長老を殺す!」
「ちょっと待ちなさいよ! あんた女の子のジェーニャが殺されたのを恨んで男のジェーニャに成り代わろうとしてたの? ならなんで女の子のジェーニャを攻撃したのよ?」
「長老を殺すのに邪魔だったからよ!」
完全に憎しみに支配されている。ジョニーはぞっとした。自分の大切な人を殺してまで、成し遂げたい復讐なのだろうか?
「ジョニー、説得は出来ないよ。二人とも下がって。危ないから」
プルシェンコはエフゲーニヤの盾になるように進み出た。
「僕は、自分を消すつもりも、長老に復讐するつもりもないよ」
「何で!? どうして!? あれほど絶望は深かったのに!! あれだけ悲しかったのに!!」
「・・・・・・僕には、地球で生きてきた記憶があるから」
そんなプルシェンコの声を、ジョニーははじめて聞いた。試合で闘志をむき出しにしているときとも、ふざけているときとも違う。
「この悲しみは、もう過去のひとつなんだよ。エフゲーニヤが死んだときのまま、記憶も感情も止まった君と違って」
口元にたたえられた微苦笑。プルシェンコの衣装が変わる。黒字に赤いスパンコールは、タンゴ・アモーレのものだ。
「僕は僕の絶望と憎悪を乗り越えないといけない。勝負しよう。それで決まる」
氷原に、どこからともなくバイオリンが響いてくる。また、マートンが弾いているのだろうか・・・・・・

(DIVA奪還したいのに隙が一切ないわ!)

338:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 02:01:17 WOVtd8BJ0
>>336
くまもんググったwゆるかわいいww

ジョニーがんばれ!!w

339:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 02:03:37 H7nWgL0+0
気を失ったまま、ADSLはときどき変身した。
ペシャラ。ハエ。アフリカ系の老人。アジア系の若い女(キャロにちょっと似ていた)。
フランス人のような少年。真っ白い犬。南米系の幼女、うさぎ、日本人らしい老婆。鳩。
もう彼自身にもピアスにも制御できない何かが働いているのかもしれない。これは本気でまずい。

340:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 02:20:19 1G+GeZPT0
>>337
試しにマトンのCDかけながら読んでみたらやばかった。
ジョニは本当にがんばれwww

341:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 02:31:37 AlONPWpB0
>>340
そりゃ、書いてる本人が腰振り動画とマートンメドレーの聴きすぎ見すぎで、脳内で自動リピートしている状態なんで・・・・・・
とりあえずCD注文した。楽しんでくれたようで幸い。

342:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 02:34:54 +bebckBu0
その時、ジョニ子の顔に突然「ーニョジ」の文字が浮かび上がった。
もちろん、日本人から見ると「ーニヨヅ」であるのは言うまでもない。

ジョニ子の全身が輝きだし、辺りがまぶしい光に満たされる。
ジョニ子の体は空中に静止した。そしてジョニ子はゆっくりと口を開いた。
緑色の瞳はやさしくエフゲーニヤを見つめている。


 「力を解放しなさい。そして、黒い感情を光で満たしなさい。
   あなたは、あなたの肉体より強い。」

明らかにジョニ子の口から出ている言葉だったがその声はこの世のものと思えない音色だった。


プルシェンコは驚いてジョニ子を見、そしてエフゲーニヤを見た。
エフゲーニヤが胸の辺りに軽く合わせた両手の中に光の珠がみるみる育っていく。
その目は柔らかく伏せられている。
ちょうどハンドボールくらいの大きさまで珠が育った時、
彼女はプルシェンコを押しのけて、冷たい灰色の瞳の女と向き合った。
女は一瞬、たじろいだ。
その瞬間、エフゲーニヤの目がかっと開いた。

343:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 03:14:15 +bebckBu0
エフゲーニヤの白い手が光の珠を女の胸に押し当てた。
すると、珠はするりと女の中に吸い込まれていく。

「辛かったのね、可哀想に・・・
こんなに冷え切ってしまって・・・」

女は倒れた。そしてほほえみを浮かべて言った。
その目は灰色から青くかわり、宙を見つめている。
誰に話すともなく、女の口から言葉が漏れる。
「明日はふたりでお花を摘みに行くの。お父様にお花の冠を・・・」

女はそのまま消えた。
その跡には小さな、奇妙な形の生き物の亡骸のようなものがあった。
その瞬間、ジョニ子はプルシェンコの精神世界から元の世界にはじき飛ばされた。



「ありがとう、まもってくれて」
「こちらこそ・・・君の方が僕より強かったね」
「ふふ、だてに長老に拉致されそうになったわけじゃないのよ」
「それに、僕が思ってたより早く会えた」
「お母様があなたを守れ、って言ってくれたから」
「お母様?もしかしてジョニーに?」
「ええ、ジョニーのウィルスは私から株分けしたものだもの」
エフゲーニヤはウインクしてみせた。

「そうそう、長老が来てるわ」
「そうらしいね。だけど・・・僕はもう地球人だ」
「大丈夫だとは思うけど、もしもの事があったら遠慮なく呼び出してね」
「ああ、わかった。ありがとう、僕のジェーニャチカ」
「あの泉は埋めておいてもいいわよね。じゃあ、またいつか。おやすみなさい」

眠っているプルシェンコの目から涙が一筋流れ落ちた。
彼はゆっくりと眠りから覚めた。

344:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 03:49:20 H7nWgL0+0
「あのー、さっきソファーの下から拳銃と洋服が出てきたんだけど、誰のだろう」
妖精がぽんちゃんに訊いてきた
「あー、ブライやんやな、その服は。背中にでかく007書いてあるで…なんで脱いだんかな、
まさかその後パンいちで東京行ったいうことないやろな…アホな奴やんなー」

チャッキーはぽんちゃんが服に気を取られている間に、拳銃を自分のポケットにしまいこんだ。
あとあとこれは役立つかもしれないと思ったから。

345:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 05:09:08 wfp0z0ww0
真央は前々スレの不可侵天然キャラでお願いしたいなあ
スケート馬鹿一代、大切なのはエアロとたらそわ先生!
好きなものは牛肉とお菓子w リアルもそんな感じだし

346:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 07:42:41 fhvGHpUjO
(未来に言ったこと…俺も男だし、っていうアレ?
ってちょっと待て!まさか真央が機嫌悪いのってヤキモチ…?)
思わずぐへへ、とニヤニヤ笑いがこぼれる小塚。
「たかちゃん、なにニヤニヤしてるの?」
「いやこれは…。あ、あのさあ真央。昨日未来に言ったことは全然深い意味なんてないから。
未来はただの妹みたいなもんだし、真央が気にすることなんてな…」
「なんのことか全然わかんない」
「アレッ…?」
「未来ちゃんが「大輔さんだったらよかったのに、小塚さんに言われてもなあ…」
って困ってたよ?女の子困らせたらダメだよ、たかちゃん。未来ちゃんになに言ったの?」
「…ううん…なんでもないからほっといて…」
ショックでいくつか毛根が死んだかもしれない、と小塚は思った。
ベッドに突っ伏して泣きたい気分だが真央の前では泣けない。

「あー…じゃあなんでそんなに機嫌悪そうなの?」
「だって…」
「なんでも言ってみなよ!聞いてやるからさ」
気を取り直してイメージアップを図る小塚。
「…もう何日もエアロたちに会ってない…(´・ω・`)」
「何日もって…今までだって試合で会えないのはしょっちゅうじゃないか」
「だって…せっかくシーズン終わったのに…(´;ω;`)」
ジュースを片手にしょんぼりする真央。
機嫌の悪い理由に拍子抜けした小塚は思わず笑ってしまった。
「ははっ、そんなことか…。ていうか真央がトイプードルなんだから、変身して鏡見ればいいんじゃないwww」
途端に涙目になった真央はキッと小塚をニラむと、
「たかちゃんのバカっ!もー知らないっ!!」
と怒ってバタン!と部屋を出ていってしまった。
「ちょっ、真央…!!」
(あれっ、怒った…滅多なことじゃ怒らない真央が…うわあああなにやってんだ俺えええ)
小塚は泣いた。ベッドに突っ伏して泣いた。
未来の台詞にも傷ついたし、自分の不甲斐なさにも腹がたつ。
さらに今だにエアロ>>>>>自分な真央のお子様っぷりにも絶望した。
(あーーーもうーーー!!)
がんばれ小塚!

347:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 07:55:59 k9iLyLoRO
あーあ
やっぱりそうなっちゃったか

348:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 07:58:34 Jhq+c5+hO
ランビ宅に続々と小包が届く。
ポンちゃんが開封すると
ランビがマッターホルントルネードで吹っ飛ばした雑誌&DVDが入っていた。

差出人は世界各国からだ。
なぜ持ち主がわかったのか?

実は気に入った作品には『ステファン・ランビエール』と名前を書きこんでいたランビ。
拾った人達は
「この名前って…オリンピックに出てた人じゃ…?まぁダメもとでやってみるか。」なんて軽い気持ちで宛先に

『スイス ステファン・ランビエール』

と書いて送ってきたのだ。

これは数年前に
『山形県 孫』と書いただけで演歌歌手の大泉逸郎宅にファンレターが届いたのと同じ方式だ。
しかしよく見ると

『バンクーバーオリンピック 毛玉』

『エキシビジョン 脱ぎっぱ』

と宛先に書いてあった物も含まれていた、よくわかったな。

雑誌&DVDと感動の再会を果たしたランビ
喜びの舞が止まらない。

しかし小包はすべて着払いだった
その金額を聞いたランビが青ざめるのはずっと後のことである…。

349:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 08:23:08 ZPZiE11SO
>『山形県 孫』と書いただけで演歌歌手の大泉逸郎宅にファンレターが届いたのと同じ方式だ。


wwwwww
朝っぱらから吹いたwネタが懐かし過ぎるw


350:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 08:42:04 fhvGHpUjO
>>347
ごめんよ…くっつけたいのはやまやまなんだけど
そうするとロロ父ちゃんがすっ飛んできて場を荒らすからさw

351:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 09:07:29 6angyaQIO
アンチネタもネタにならない妄想カプネタも自重して欲しい身としてはありがたい


352:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 09:10:39 dmtItts70

…ここは…僕は…何を…
…ああ、ここは…熊本のホテル。
椅子に座ったまま眠っていたのか。
誰かが毛布をかけてくれた…
僕は…何を…誰を待っているんだろう…

ハッと我に帰ると、サイドテーブルの上で、自分の携帯が震えている。

「もしもし?」
「やあクリストファー?元気かい、アドリアンも…仲良くやってるかい?」
年配の男性の声。
「ええ、もちろんですよ。アドリアンなら、今…」
…どこだ?
携帯片手に、部屋を見回す。…いない。
「…今、同じホテルにいます…呼んできましょうか?」
「いや、一緒なら安心だ。つまらないことで電話して、すまなかったね」

…通話を切った後、再び座り込んだ。
アドリアン、どうせ他の部屋にでも遊びに行ったんだろう、
さっき僕が厳しい態度を取ったから、ふて腐れてるんだろう、
だがあれは君のために…
いや、僕がイライラをぶつけてしまったのか…
悪かった、帰って来たら謝ろう、
あいつもそんなに怒ってないかもしれない、
仲直りしよう、
僕らは仲のいい先輩後輩同士じゃないか。

そう自分にいい聞かせながらも、なぜか冷や汗をかいていた。
いつの間にか後輩が戻って来ていた。
「…起きてたんですか?寝ないと身体に毒ですよ」
それだけ言うと、言葉も待たずにベッドに潜り込んだ。
先輩の視線を避けるように。


べるるんは、ハッと夢から覚めた。
隣のベッドに、ADSLが眠っている。
今は「変身」は落ち着いたのか、
しかし青白い顔で横たわっているのみだ。
それを見ながら、胸が細かく切り取られて行くような
つらく悲しい感情を、先輩は感じていた。

まるで後輩が、ずっと遠くに行ってしまったかのように。

353:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 10:15:20 V/S3ZoSXO
男子部屋には焼肉レストランから戻ってきたせっぼん組も合わせて大人数になっていた(キャシーは女子部屋)
といっても時間が時間なのでほとんど寝ている。
寝ていないのはトラ、ミハル、本当は39じゃなくて19歳ピチピチ未成年でまだ眠くないらしいPチャンだけだ。

「またジョニーにでも頼んで輸血するか、温泉水にでも浸けるか。
それぐらいじゃないんですか?」
話を聞いたPはまともな意見を言った。
確かにそうなのだが…トラは悩んでいた。
べるるんは髪や目も元に戻ってひとまず大丈夫そうだ。
しかしADSL…そういえば培養液に入ったりするような治療を今までにもしていたはずだ。
彼は一筋縄ではいかないような気がする。
培養液に浸かっていたにも関わらず、全く良くなる気配がなかった時のミハルを思い出した。

「とりあえずユカさんか誰か連れて来よう。
俺達には分からん。」
「ポゥッ、じゃミハルが行ってきましょう!」
くるくる回りながら出ていくミハル。
ベッドでべるるんが起きたのはそんな時間である。

「起きたか…大丈夫なのか?」
ADSLの変身をけしかけた事、べるるんが吸血鬼状態になった事、鼻ピーを取った事など今までの出来事を全て告げるトラ。
「そう…トマシュがとってくれたのか…。」
怒ったり殴られるかと覚悟していたがそれはなかった。
ただ彼は悲しそうだった。

「あらあら、ずいぶん暗い顔ね^^
そんなことじゃ病気も治らないわよ」
ミハルとともにユカさんが現れる。
何故か声を聞いただけで疲れて豚になっていたアボットはすぐ人間に戻った。

354:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 11:02:19 dmtItts70
サイドテーブルに置きっぱの携帯に、着信アリランプが点灯している。
べるるんの携帯だ。
彼はそれを手に取った、さっき見た夢を思い出した。
ルトコフコーチが回復したのかもしれない…!
メッセージが入っていた。ルトコワの声だった。
「…厳しい顔をして眠っています、主人もきっと戦っているのでしょう、
 あなたたちも気をつけて…」

ベッドに横たわる後輩の方を、ちらと見る。
その伏し目がちな視線に、若干のよそよそしさがあるのは否めない。
後輩を案ずる気持ちに変わりはないけれど…

ADSLの傍らに付いていたトマシュは、焦った。
目の前で、アドリアンがぶるぶる震え出した…
(やばい、また変身するのか!?)
そうだ、またピアスを外してみたらどうだろう?
トマシュはクチピーを外してみた。
ADSLの震えが止んだ。が…
(あ、クチピーがないと、アドリアンって感じしないよな)
しかし焦ったトマシュは、よりによってさっき外した鼻ピーを、
また鼻に付けてしまった。
(しまった…)
嫌な汗が出る。
…何も起こらなかった。
ADSLはさっきより落ち着いた様子で眠っている。
ちょっと影が薄くなってはいたが。
(…あ…もしかして、鼻ピー以外の、どれかを外せば安定するのか?)
あたふたしながら振り向くと、べるるんがそこに立っていた。
「…トマシュ、人の顔で、一体何を遊んでいるんだ?」
…さすがにその声には、ちょっと怒気が含まれていた。

355:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 11:08:53 o+to/gK90
ランビ良かったなwww
モロゾフの所へ届いたやつに名前が入っていたら((((;゚Д゚))))

356:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 12:48:18 V/S3ZoSXO
「あなたジョニーの血について考えていたでしょ?
アドリアンがわざわざ女子部屋にまで話に来たのよ、彼なりにあなたを心配してね^^
あなたの寝言を聞いて、布団かけてから来たんですって。」
ユカからADSLのことを聞かされてべるるんは驚いた。
さっきの夢の中の彼に似ていたからだ。

「うーん…でも温泉は今ここにはないのよ…ごめんなさいね」
光彦が温泉水を持ってきていたなんてユカは知らない。
「でも何とかなるかもしれない方法があるの、聞く?^^」
べるるんはうなづく、Pちゃん達もその方法が気になって話に集中する。
ちょっとしょんぼりしていたトラも耳を傾ける。

「さっき飼育員さんから電話があったんだけどジョニーが
『アタシは天使だから夢の中に入れるのよ!』
なんて言ってジェーニャの夢に入っていったらしいわ。
どうやらここにも天使が一人いるようだし、…入ってみる?
アドリアンの夢の中に^^」べるるん達は顔を見合わせた。
正直あやしい方法だが今のこの状況、何が起きても不思議でない。

「夢に入るにはその人達も眠らないといけないようだわ。
私は見張りとして残るからミハルとトマシュ、クリストファー…も行くわよね?
後Pチャンと…」
奥の部屋にズンズン入るユカさん。
そこには起きてこっそりツイッターを楽しむアボットとユヅルがいた。
「ジェレミーとユヅル^^
この六人で行ってらっしゃい!」
アボットとユヅルは話を聞いてなかったので訳が分からない。
しかしユカさんに笑顔^^で睨まれて従う事にした。

ミハルは分かっているのかいないのか、「ホゥッ!」と一言叫んだ。

357:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 12:51:43 U/L1m3+NO
プルのスケート力が安定すると、自在に女子化+ブリザードを操るようになるのかな?

358:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 12:53:58 bi6HjVaZO
こづと真央は萌えないけど
惚れっぽいバトルとスルーな真央は萌えるw

359:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 12:54:26 Jhq+c5+hO
ランビ宅のバスルーム

KVDPはバスタブのふちに腰掛け、温泉水に浸かるヴォロ狼に語りかける。

「お前は一人で頑張りすぎ、悩みすぎなんだよ。
助けを求めることは恥ずかしいことじゃない。
俺じゃ頼りないかもしれないけど
…少しくらい甘えてくれよ。」

そう言ってヴォロ狼の頭を優しく撫でるKVDP。

やがてヴォロ狼の目からポロポロと涙がこぼれ落ち、温泉水に溶け込んでいった…。

360:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 13:45:20 Zmu2Qy+M0
プルシェンコが目を覚ますと
先に目を覚ましたジョニ子とバトルが何か話し込んでいた。
ヤグディンは背を向けて肩を震わせている。
ジョニ子はプルシェンコの顔をみて一瞬驚き、すぐに眼を伏せた。

プルシェンコは自分の手と服を見た。確かに男に戻っている。
そして衣装はタンゴ・アモーレのあれだ。

「ジェーニャ、起きたのか。い、いまお茶でも・・・くっ」
バトルも心なしか震えていて、言葉が切れ切れだった。

なんか様子がおかしい。不安な気持ちにかられるプルシェンコだった。


「どうしたの、みんな。ちょっと僕、トイレ行って来るね」

やがてバスルームから
「なんじゃこりゃーーーー!」という絶叫が聞こえてきた。
こらえきれなくなったヤグディンとバトルとジョニ子は爆笑した。
鏡の中にはまぶたに目・頬に縫い傷・反対の頬に「ヤニーエヅ」と書かれた顔があった。

361:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 13:50:37 6kXs6AuFO
本当はもっと頑張れるはずだった。
慣れない環境も、重すぎる期待も、全部跳ね返せるだけの素質がお前にはあるんだよ、とあのコーチは言ってくれた。

(……五輪にでたかっただけなんだ)

キスクラでいつも誉めてくれるコーチの笑顔が思い出された。
ウザイくらいにはしゃいで、点数が聞こえなくてしーってしちゃったこともあった。
ぬいぐるみを落としたことに気付かないで忘れちゃったこともあった。

(あのとき、ユーロの失敗さえ無ければ)

ぐるぐると後悔がヴォロ狼の内側を侵食した。
起き上がりたくない、なにも考えたくない。
サンクトペテルブルクの空にも結局馴染めないままだ。



だが、KVDPの暖かく大きな手の感触が、その溜まった暗いものを溶かしてくれるようだった。
「くうぅぅぅん…」
寂しげな鳴き声がバスルームに響く。
(まだ…やめたくないよ…)

362:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 14:20:10 AlONPWpB0
「リョーシャ、お前は昔っからそういう奴だったよな」
ホテル備え付けの石鹸でいたずら書きを洗い落としたプルシェンコは、ヤグディンにいやみを言った。
「温泉に突き落としたりいたずら書きしたり、着替えのとき僕とエフゲーニヤの服かくして喜んだり」
「なんだ、お前、クリプトン星のこと思い出したのか?」
「ああ、全部ね!」
顔を拭いていたタオルをぶん投げる。ヤグディンはそれをひょいっとかわした。代わりにバトルにぶつかった。
「ジェーニャ、あなた大丈夫なの?」
「うん、大丈夫だよ。近くに長老がいるみたいだ。探そう」
「あなた復讐はしないって・・・・・・」
「するつもりはないよ。復讐したがっていた彼女は消えたし。エフゲーニヤも眠りについた」
(え、じゃあもう女の子にならないの!?)
バトルがこの世の終わりを見た顔をしているのを、ヤグディンはこの世の天国というべき顔で眺めている。
新型が消滅したプルは変身を完全にコントロールできるはずなので、バトルの心配は杞憂だろう。今後もプルシェン子に変身するはずだ。主におねだりのために。
「長老がいるんだったらこの事件について何か知っているだろう。事件解決のために協力してもらいたいんだ」
「でも居場所わかるの?」
「まあ、大体。エフゲーニヤの感応力、今の僕なら使えるし。この階の別の部屋じゃないかな」
プルシェンコは長老を探しに性別不明部屋を出た。ジョニーとヤグディンとバトルはついていく。
「お前、思い出したのに明るいな。あの頃は、記憶を消されていてもずっと暗かったのに」
「乗り越えないといけないからね。乗り越えるだけの時間と、たくさんの思い出が僕にはあるから」

363:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 16:13:39 qo7oEo1mO
「夢の中へ♪夢の中へ♪行ってみたいと思いませんか^^」
(ユカさん、古いですそれ…)
しかし言わないでおく優しいユヅルであった。

364:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 17:24:07 H7nWgL0+0
ちなみにMJ化したミハルがアリソンに電話したところ、
ものすごく喜んだのだという…。
そんなに春日がいやだったか、アリソンよ。


365:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 17:33:30 dmtItts70

少年はひたすら小走りで進み続けた。
もう鼻歌は出ない、お日様もない、風もそよともしない。
どこまでも大きくうねる道、その先、彼方に丘がある。
早く、行かなきゃ、あの上に、人がいる、手を振ってる…
のしかかるような曇天の下、少年は急いだ。
もう花も咲いていない。
喘ぐ呼吸の音。耳の後ろでガンガン鳴り響く音。胸の痛み。
走り疲れた苦しみなのか、不安でたまらない苦しみなのか…
もう自分でもよくわからなくなっていた。
少年の必死な足取りにも関わらず、丘は一向に近づく気配がない。
…それどころか、ゆっくりと距離が開いていくようにも感ぜられた。
重々しく、冷酷に、突き放すように。
少年は泣きたくなった…


黒でもない、白でもない。
灰色の空間の中。
拘束衣姿の一人の青年が、うずくまって震えている。
やがて顔を上げ、震えるのをやめて立ち上がった。
…誰か、いる。
知った顔だな…だが、どうやってここに?
「…ピアス、返してくださいよ?…あれは俺のです」
どこへともなく、青年は声をかけた。
「…返せよ…」
口調が変わった。その両手は固く拳を作った。
「…さもなきゃ、出てけ」


少年は泣いた。走りながら泣いた。鼻水が止まらなかった。
そして、その足を止める事もなかった…

366:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 17:37:39 V/S3ZoSXO
「じゃあミハル頼んだわよ^^」
「任せろ、ポゥッ!」
「ちょっと待て!ただ寝るだけでいいのか?
寝るだけならこの部屋で寝てる奴ら全部行けるだろ。」
「パトリックったら正論ね。
…じゃ皆手でも繋ぎましょうか^^」
結構いいかげんなユカさんに皆渋々従って手を繋いで横になった。
半信半疑で目を閉じる。

数分後、
「もしもーし^^…眠ったみたいね。
本当に夢の中に行けたのかしら?」
ユカさんも半信半疑だった。


…何だかポカポカ暖かい。
目を開くとホテルの部屋ではない、別の場所にいた。
日だまりの心地よい公園のようなところだ。
「本当に夢の中に来れたのか…?」
後ろから「ポゥッ!」とミハルの声がして振り返る。
そこには天使のミハル、トマシュ、Pチャン、ジェレミー、ユヅルが立っていた。
べるるんはADSLを探す、しかしそれらしき影はない。

「本当にここがアドリアンさんの夢の中なんですか?」
不安げなユヅル、確かにアドリアンの夢の中だという確証なんてない。
「ミハル、本当にここでいいんだろうな?
他の奴の夢じゃどうしようもないぞ…。」
「大丈夫です、多分あってるはずですよ先輩。」
せわしなく動きながら答えるミハル。
「…あ!誰かいるぞ!」
ジェレミーは叫んだ。
どうやら老人のようだ、向こうのベンチに座っている。

「もしかしてあれはルトコフコーチ…?」
6人は老人の座るベンチに向かった。

367:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 17:51:14 ZPZiE11SO
>>361
ヴォロ…
同じチームのチャッキーもポンちゃんも蜂も五輪でれなかったけど
みんな今後頑張ってくれたらそれだけで十分嬉しいよ
だから元気だして(´・ω・`)

368:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 18:07:27 H7nWgL0+0
晴れ渡る空の遥か遠くに、暗く重い雲が見えた
これから雨が降るのかな

雲の下に、小柄な人影が見える
小柄っていうか、小さな子供のようだ。こちらに向かって走っているが、一向に近づけそうもない様子だ
まさかあれが…

369:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 18:36:44 oBXmga1+0
夜更け
大輔が目を開けて時計を見る。
「・・・・まだ2時ですか・・・」
もう一度眠ろうとして、ふとリビングに明かりがついてることに気がついた。
「崇彦君はまだ作業中ですか・・・」
仕方ないなぁ~とリビングへ。
案の定、リビングのデスクでパソコンをつけたまま突っ伏していた。
側には缶ビールが何本か転がっている。
「こんなところで居眠りは体に毒ですよっと!」
大輔は手近に転がってた空き缶を手にとって崇彦の首筋に押し付けた。そして・・

「根性ドリル!!!!!!」

空き缶を力を込めてグリグリ回した。

「イテ、イテテ・・・いたt、いあたいたいたたった!!!」
痛みに眠気がぶっ飛んだ崇彦君。

「や~崇彦君。お目覚め?」
先輩はすっとぼけた顔で挨拶。

「な、何ですかいったい!!」
状況がつかめず思わず声を上げてしまう。

「寝てたから起こしただけですが。何か?」
「こんなやり方初めてですよ!!」

息をついて椅子に座り込む崇彦はふと周りを見渡す。

「どうかした?」
「いや、俺パソコン消したはずなんだけど・・・作業が煮詰まって・・・」
「気のせいだったんじゃないの?」
「それに・・・ベッドに倒れこんで・・・あれ?」

首をひねる崇彦に大輔も不思議顔だ。

「なんだかよく分らないから、詳しく先輩に話してみなさい。(キリ!」
「あ、・・ハイ・・(ナンダカナ・・・」

そうして、さっきの真央との会話をザックリと話したのだが・・・

「崇彦、よ~く考えて見なさい。二十歳前の女の子が深夜に男の部屋を訪ねに来ると思うか?お酒持って?」
「いいえ、ぜんぜん。(アッサリ」
「ならば、これはほぼ間違いなく君が居眠りしていたときの『夢』です。分りましたね。」
「は~い、分りました。」
(でも・・・微妙にリアルな感じがしたんだよな・・・)

そう、思ったが口にはしなかった。







370:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 20:11:36 CxxHJYEL0
そのころのランビエール宅

変身がとけたのかどうなのか、リビングでキャッキャバシャバシャ騒ぐ蜂とてんと虫を背景に、
バスルームには緊迫した空気が漂っていた。
未だ薔薇の香りが残るバスルーム内、バスタブに張られた温泉水に浸かっているのは、狼ヴォロだ。
言葉をかけたKVDP、熱く拳を握るポンちゃん、ゲデ子の心配そうな瞳。
二人と一頭は、固唾を呑んで、狼ヴォロの変化を待っていた。
切なげに鳴きながら、狼ヴォロは瞼をぎゅっと閉じ、力を込めた。
人間だったころの手や足や感覚を思い出そうと、奥歯を食いしばる。

「まだ、無理か……」
(……ごめんなさい)

幾ら戻りたい、辞めたくないと望んでも、体は思う通りにいかない。

「気にせんときィ。でも、ちぃとは楽になったやろ?もーちょい浸かったら戻れるかもしらんし」

項垂れる狼ヴォロを元気づけるように、ポンちゃんが明るい声を上げる。

(焦らなくていいのよ)

バスタブに前脚を置き、ゲデ子も深く頷いた。
そんな三人の様子を背後で見守っていたチャッキーは、その手にゲデ子とユカさん^^からのメッセージを持っていた。

「あの、温泉水も足りないし、一度、ユカさんに連絡を取ってみたらどうかって思うんだけど」

メッセージにはユカさんの携帯電話のナンバーが記載されている。

371:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 20:14:15 CxxHJYEL0
>>370
×ゲデ子とユカさん^^からのメッセージ
○ゲデ子の携帯電話とユカさん^^からのメッセージ

クワドエルフ力持ちすぎた


372:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 20:23:54 V/S3ZoSXO
一方、アドリアンの夢の中の6人。
老人のそばへ向かうと、ここが丘の上にあることがわかった。
老人は遠くをじっと見つめ、時折手を振っている。
「もしかして…アドリアンのコーチですか?
俺達は彼を助けに…」
「あぁ全部知ってる、君たちの事も待っていたんだ。」

君たちの事『も』待っていた…べるるんはさっきから気になっていたことを聞いた。
「向こうからこっちに向かって走る金髪の子供…あれはアドリアンなのですか?」
天気が悪いだろう下界から必死に丘を目指している一人の子供…。
あんなに頑張っても全く近づく気配はない、とても気になっていた。

「子供なんてよく見えたな…どこだ?天気が悪くて見えん。」
カッと目を開いて子供を探すPちゃんにユヅルは小さく「ひぃっ…」と声をあげた。
「もしかしてあれ?…確かに髪色とか何となくアドリアンっぽいな~。」
「クリストファーやジェレミーの言う通り、あれはアドリアンだ。…いい方の、な。」

「いい方の…どういう事ですか?」
「私はアドリアンが心配で、彼に何かあるたびに出来る限り夢で導いたり助けようとした。
しかしウイルスの進行により彼は二つに別れた。
ひとつは私を慕う少年のアドリアン。
そしてもうひとつは私と少年を引き離そうとし、私と話そうとしない排他的で自己中心な青年アドリアン…。
今、この夢は悪い方のアドリアンが強くなっている。
それゆえあの子供はいくら走ってもここに来れないのだ。」

「それじゃあなたから会いに行けばいいんじゃないんですか…?!」
Pチャンは語気を強めていった。
老人の話にはどうも親身になってしまう。
「私はここから動けない。
会いに行けば余計少年のアドリアンが苦しい目に遭わされるだけだ。
…私だって苦しい。」
厳しい顔をしてルトコフは呟く。

「…じゃあ僕達がここに連れていきます、その為に来たのだろうし。」

373:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 20:28:36 CxxHJYEL0
そのころの熊本某ホテル

某金○パースか荒○立ちを思わせるポーズで横臥するMJミハルを筆頭に、
トラべるるんPちゃんアボユヅルがそれぞれ手を繋ぎ、眠りについている。
ある種壮観とも思える様子をソファから眺めていたユカさん^^は、ポケットの中の携帯電話が震えたのに気づいた。
誰かしら^^ディスプレイに表示されたのは見慣れないナンバーだったが、
躊躇することなく、ユカさん^^は電話に出る。

「どちらかしら^^」
「あっ、えっと、カナダのレイノルズです……」
「ああ、ステファン宅ね。どうかした?^^」
「温泉水をありがとうございました。無事に届きました」

本題に入る前にまずはお礼をするチャッキー。
行儀のよいクワドエルフに、ユカさん^^は女神のような笑顔を表情に浮かべる。
温泉水が足りないこと、狼ヴォロが戻らないことなどを聞き、新たに温泉水を手配できるようにすると言って、
ユカさん^^は電話を切った。
携帯電話をポケットにしまう。「うーん……」狼ヴォロの容態に、引っかかるものを感じる。

アドリアンは言っていた。
べるるんの変身に伴う症状は、ジョニ子の輸血を受けて軽くなった。それは知っている。
べるるんは、ジョニ子の血液に治療法があるのではないかと思っている。
しかしそれは根本的な治療ではないのではないか。

べるるんが新たな吸血鬼状態になったのと、症状が快方に向かわない狼ヴォロ。
彼らを蝕むウィルスが、彼らの何かに反応し、症状をより重くしているのかもしれない。


374:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 20:31:13 oBXmga1+0
翌朝・女子部屋

未「おはよう!」
美「おはよ~」
真「おはよう・・・・」

今日の真央は寝起きがあまりよろしくないらしい。

「真央?寝起き悪いの?」
「昨夜変な夢見ちゃった・・・」
未来に聞かれた真央は憂鬱な気分で答え、二人に夢の内容を話した。

「・・・・拠りによってさ~自分の変身した写真撮れっていう人いる?」
「・・・まあ、普通は言わないよね~」
「でも夢の話じゃん。気にするほうがおかしいって!」
「そうかな~」
「そうだよ!」

そこへ、真央の携帯がなった。

「あ!舞からだ!今日のエアロチェック~」

嬉々として携帯を開く真央に美姫と未来の表情は呆れ顔だった。

「興味の対象がエアロじゃ恋愛は一生無理かもね・・・」
「美姫さん、言い方キツイケドなんか分る・・・」

携帯でエアロたちの写真をチェックしていた真央。しかし最後の写真とメッセージを見て眉を寄せる。

「あれ?新顔・・・・舞?」
「どうしたの?」
「お母さんからのメールで舞がしばらく帰ってこないんだって。
それで、舞が居なくなった日に部屋に居たのがこの犬だったんだけど・・・
どう見ても舞だよね?」

真央の携帯を覗き込み写真を見る二人。
そこに写ってるトイプードルは真央のそれより全体がモコモコで、瞳がウルウルしていた。

「真央ちゃん・・・・」
「間違いなく舞だね。」
「やっぱり・・・でもどうやってお母さんに説明しようかな・・・」

写真を見ながら悩む真央であった・・・

 

375:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 20:48:11 V/S3ZoSXO
べるるんは決意も新たにそう告げた。
恐らく悪い方のアドリアンは新型ウイルスか何かだろう。
自分も体調は万全ではないが、今は後輩のために動かなければ…!

「鼻ピーはどうする?夢にまでもってこれたみたいだ。」
トラがちゃんと口ピーを戻して持ってきた鼻ピーを見せた。
「鼻ピアス…それがアドリアンを呼ぶだろう、どちらの方もだが。
青年の姿のアドリアンは君たちに危害を加えるかもしれない。
けれども離さず持っていてくれ、くれぐれもアドリアンに渡すな。
全てを終え現実に戻った時、彼に渡してくれ。
…頼んだぞクリストファー、それと若きスケーター達よ。」

そう告げるとルトコフは霞んでいった。
日だまりは消え、暗いぐしゃぐしゃの天気になっていく。


「ミハルは飛べたりしないのか?羽あるけど。」
一気にかたをつけようとトラは後輩に聞いてみた。
「残念ながら…ミハルは飛べません!
夢に連れてこれただけありがたいと思って下さい、ポゥー!」
春日の名残もあってか、ちょっとむかつくミハル。

P「じゃあ歩きか…。」
アボ「うへー雨でベタベタで憂鬱になるなぁ。」
ユヅ「…真っ暗ですね。」
べる「僕には子供アドリアンが見えるよ。
みんな、僕から離れないで。」
トラ「暗視か、すごいな。」

一行はガヤガヤしゃべりながら丘を降りていった。

376:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 20:56:09 CxxHJYEL0
やっぱり春日の名残があるのかミハルw
さっきからミハルが全力でウザかわいいwwww

377:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 20:58:55 NhDQBhoQ0
ここに来てまでアボがツイッターで中継してたら笑えるw

378:氷上の名無しさん@実況厳禁
10/04/17 21:18:30 H7nWgL0+0
案の定ツイッター中継しているアボであったが
わりとすぐにメリルから「どういうこと??」というコメントがついていた

こちらから近づけばいい、とは思ったものの
一向に子供の姿は近づかない
むしろこちらが近づけば近づくほど遠のいていくような気がする
「怯えることはないよ、こっちにおいで」
子供の顔が一瞬引きつったように見えた
吸血鬼に呼びかけられたら子供じゃなくたって普通おどろくだろう
今ここにりっぽんがいなくてよかった、とアボは思った


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