09/07/09 23:30:17 GreA4Z9n0
「見得を切る」という歌舞伎の言葉が出てきて、ちょっと面白いと思ったので、
ついでに書いちまいますが、
歌舞伎の「見得を切る」所作というのは、基本的に「顔芸」です。
「どこに向かってするか」というと、一義的な意味では、「観客席に向かって」行います。
舞台は平面なので、見得を切る役者と本当に真正面に向き合う観客は限られています。
はじの席や二階席・三階席・桟敷の観客は、役者と真正面に向き合わないですからね。
では、その限られた観客意外とは「向かっていないのか?」というと、
そうではないです。
ここで、「どこに向かって見得を切るのか」の二義的な意味が立ち現れます。
見得を切る所作は、悪霊を払うとか邪気を払うという意味もあります。
正月興行とかだと、観客は役者に「睨んでもらった」ことによって、
邪気をはらって清清しい気分に浸ったりします。
この二義的な意味を考えると、「どこに向かって見得を切るのか」は、
会場全体である、と言えるんじゃないかと思うんですね。
顔は確かに、正面を向いて、ある限られた範囲に向かっている。
しかし意識は、会場全体~この世の中全体に「向かっている」んだろうなと。
だ