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尖閣諸島:台湾で対日批判が過熱…馬総統「我々の領海だ」
【台北・庄司哲也】沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島(台湾名・釣魚台)付近の日本領海で
台湾の遊漁船が日本の巡視船と接触、沈没した事件で、沈黙していた台湾の馬英九総統は
16日、台湾メディアとの会見で初めてこの問題に言及した。
馬総統は事件後、台湾の海上保安庁に当たる行政院(内閣)海岸巡防署の巡視船が抗議船
に同行して日本領海に侵入したことに触れ、「我々の領海なのだから本来は行って良い。
気分はすごく良い」などと、あおるような発言を行った。
馬総統は従来、尖閣諸島領有問題に関する強硬派として知られ、この日の発言は個人的な
率直な感想を述べたものだ。しかし、日本領海への侵入にお墨付きを与えた形で、今後
台湾側漁船や抗議船などの日本領海への侵入が頻発する恐れもある。
接触事件を契機にした台湾の対日批判は、歯止めが利かない状態だ。
台湾紙が日本と台湾の軍事力の比較を行い、対決姿勢をあおる記事を掲載するなど冷静さを
失っている。馬政権はこの問題の対応で批判を浴びた外交部(外務省)対日専門部署の
日本事務会の廃止を決定。対日窓口機関である台北駐日経済文化代表処の許世楷代表(73)
が辞職を申し出て、日本との交渉窓口を相次いで閉ざした。
こうした事態を受け、日本の在台湾交流窓口機関である交流協会台北事務所は16日
ホームページ上で、「反日機運がこれまでになく高まっており、台湾で生活する日本人の
安全が脅かされる可能性がある」と、注意を呼びかけた。
一方で、過熱する対日批判に対し、沈静化を模索する動きもある。台湾は18日にも
尖閣諸島に向けて軍艦の派遣を準備していたが、派遣を強硬に主張した与党・国民党の
立法委員(国会議員)に対し、台湾総統府や同党の呉伯雄主席が説得し、軍艦派遣は
一時的に見送られた。
馬総統も会見で、福田康夫首相が冷静な解決を呼びかけたことに同意し、問題は平和的
な解決の方向にあるとの認識を示し、沈静化を呼びかけた。