09/09/16 20:58:12
マーシャンがゾンダー化したZRが出現した事で、月軌道の各所で戦闘が激化してゆくのをディビジョンⅨ極輝覚醒復胴艦ヒルメのブリッジにて見ていた雷牙博士が重々しく口を開いた。
「EV-02の中でゾンダーが生まれたと言う事は、奴の正体は自律が可能なゾンダーメタルプラントか若しくは原種に相当する上位種か、或いはマスタープログラムのようだの」
「まさか、Zマスターは我々が木星にて倒したはずです」
ゾンダーロボを生み出したという事は体内でゾンダーメタルを生成する事が可能という事実を見て、雷牙がEV-02の正体に対しての見解を述べると、コメット・ベースにいる大河長官からそれを否定する通信が入る。
ゾンダーとの戦いは熾烈を極め、原種との木星決戦では凱の実父である獅子王麗雄博士を失いながらの辛勝であった。
そんな多大な犠牲を払いながらも戦い続けた末に倒したのが全てのゾンダーを司るZマスターである、あれほどの敵が複数存在するなど考えたくも無い。反論しようとする大河に向かって雷牙は落ち着いた声で諭した。
「長官、ゾンダーが本来何の為に生み出されたか思い出してみたまえ」
言われて大河はゾンダーが生まれた経緯を思い出す。ゾンダーは本来、知的生命体のマイナス思念を解消すべく、三重連太陽系の紫の星で開発された知的生命体の脳に直接作用してストレスを発散させることが可能な自律ユニットであった。
これにより高度文明を築いたが故に退廃した紫の星の住民の再生に活用が期待されていたがマスタープログラムの暴走により、その性質を大きく変えて独自に増殖、進化を開始して紫の星を機界昇華し、緑の星、赤の星にも進攻を開始したのである。
「さよう、ゾンダーは人が生み出したシステムが暴走したものだ。そしてこれほど高度なシステムを作るならバックアップ、或いはプロトタイプが存在して然るべきと僕は思う。考えすぎなら良いがの」
雷牙の静かな声に大河長官以下、この話を聞いた者達の背中に冷たいものが流れた。