もし勇者シリーズがC.E.or00世界に来たら4at SHAR
もし勇者シリーズがC.E.or00世界に来たら4 - 暇つぶし2ch551:小話 ◆9NrLsQ6LEU
09/09/16 20:54:33
再び逃亡に移る二人をモニターで眺めていたシーゲルは、その力を見て嬉しそうな声を上げた。
「ほほう、これは中々の拾い物だったようだな。性能も見せてもらった事だし、遊びは此処までだ。生きてさえいれば研究には支障無かろう、適当に痛めつけて捕獲せよ」
「はっ」
側に控えていた眼帯の女に指示を与えると、今朝から愛娘に会っていない事を思い出して所在を尋ねる。
「ところでラクスは如何した、姿が見えないが」
「ラクス様でしたらキラ様の為にミーティアを届けるとエターナルで出航なさいました」
「そうか、仲良き事は美しきかな。だな」
二人の仲が良いのはシーゲルとしても嬉しいことだ。次代のクライン派、否世界の支配者を生み出す二人なのだからと心底楽しそうに笑うシーゲルであった。
逃亡を続ける二人はその後も、幾つかの隔壁を破壊しながら進むと広い場所へと出た、其処には黒と紫に塗装されたズングリしたシルエットのロボットが製造途中の状態で置かれていた。
「ここは工場か、それとも格納庫か」
「でもこんなロボットがあるって事は、ロボットが出るための出口があるはずだよね」
工場ならばこのロボットを搬送する搬出口が、格納庫であればこのロボットが外に出るためのハッチが在るはずだ、辺りを見回す二人の耳に銃声が聞こえた。
「うわあっ」
「戒道?!」
護が振り向くと、右足から血を流して倒れている戒道の姿が飛び込んでくる、咄嗟にバリアを展開して駆け寄ると体を抱えてロボットの影まで飛んでいく。
隠れた二人の耳に銃を撃った人間達の声が聞こえてきた、どうやら生きてさえいれば、腕や足が無くても構わない等と言う物騒な事を口々に叫んでいる。
「大丈夫、戒道? 直ぐに手当てをしないと」
心配して話し掛けて来る護に戒道は首を振って見せた。右足の傷は銃弾が貫通したようだが、これでは走れない。飛ぶ事は出来るがこの傷では出血が激しいために何処まで持つかも分からない。
さらに今まで何処に居たのか分からないが、次々にこの場所へと人が集ってきている。足手まといの自分が一緒では護も捕まってしまう。そう判断した戒道は護に対して一人で逃げるようにと言った。
「行くんだ天海、ここは僕があいつ等を引きつける!」
「そんな事駄目だよ。二人で逃げるんだ」
「このままでは二人ともまた捕まる。それよりも君だけでも逃げ延びて助けを求めるんだ。君も感じているだろうゾンダーと戦っているこの反応は間違いなくGGGだ」
確かにゾンダーと戦うGパワーを感じる、それもこの慣れ親しんだ感覚は十中八九GGGの皆だろう。そこまで護一人で逃げてくれと、そう話す戒道に護も反論する。
「駄目だよ、怪我をした戒道を放っておけない。僕が抱えて飛んでいく」
「それこそ駄目だ、それに話し振りではヤツらも命までは取らないようだ。だから僕の事は気にしないで行ってくれ」
暫し見詰め合う護と戒道、どちらの意思も固いと分かる一瞬が過ぎ去り、折れたのは護であった。すっくと立ち上がると戒道に背を向けてハッチの方を向く。背中越しに戒道へと話しかける護。
戒道は今、自分の為に犠牲になろうとしている、そして今の自分達では二人で此処を脱出するのが難しい事も理解出来る、出来てしまう。
「絶対、絶対迎えに来るから、だから!」
「ああ、信じているよ。友達だからね」
「うん! 約束する」
護は自分の体を光に包み、叫びながらハッチへと突っ込んだ。この時、護の力は友達を置いて行かねばならない自分自身の不甲斐なさと、怒りによって最大に発揮されていた。
「うわあああああっ!」
護は大声で叫びながらエアロックの扉に激突すると大穴を開けて宇宙へと飛び出して行く、エアロックの扉は直ぐにシャッターによって塞がれたが、護が飛び去ったその後には数粒の水滴が残されていた。


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