もし勇者シリーズがC.E.or00世界に来たら4at SHAR
もし勇者シリーズがC.E.or00世界に来たら4 - 暇つぶし2ch314:小話 ◆9NrLsQ6LEU
09/09/06 22:05:20
スカンジナビア王国の海中に存在する、地下ドック。そこに係留しているアークエンジェルのブリッジでキラ達はこの放送を見ていた。
全てを見終わった後で、ターミナルから上がってきた資料に目を通すキラ、ターミナルの情報網を持ってしてもGGGメンバーや戦力の詳細は不明と言う。
難しい顔を浮かべていると、マリューが心配そうに声を掛けてくれた。
「キラ君、大丈夫」
「ええ、大丈夫です。この放送を見た限りでは、このゾンダーの脅威が現実とは思えません。それに中立のDSSDの外部組織で国際緊急事態管理機構の直属とはいえ、創設にデュランダル議長やセイランが係わっている以上は、僕は彼らを信用出来ません」
自分なりに何か考えていたカガリだったが、キラの言葉で納得したのか話を引き取って追従する。
「そうだな、幾らなんでもエイリアンなんて馬鹿馬鹿しすぎる。それにターミナルの情報網に引っかからないなんて、そんな事があるのか?」
「分からない、ラクスなら何か掴んでいるかもしれないけど。それにGGGと言えば、この間ベルリンに表れた人達ですよね、もし本当にゾンダーが居るとしても、僕は彼らの力はこの世界を混乱させるだけだと思うんです」
「そうね、強い力は更なる混乱を呼ぶわ。それが分かっていながら、例えゾンダーとかが存在するとしても、あんなに凄い機体を作ったということは、何か別の目的もあるかも知れないし。油断は出来ないわ」
キラがGGGを危険視すれば、マリューもそれに追随して強すぎる力を憂いた発言を重ねた。アークエンジェルのブリッジにGGGへの不信感とでも言うべき空気が流れる。
「とにかく情報が足りません。先ずはラクスと連絡を取って次の行動を考えましょう」
「そうね」
穏やかな顔で返事をするマリューの様子を見たキラは、ベルリンで見た謎の人物の事を話しても大丈夫だと判断した。マリューに向き直り、目を見つめながら話しかける。
「それからマリューさん、僕、ベルリンでムウさんに会ったかもしれません」
「えっ、ど、如何言う事キラ君。あの人は私の目の前で…」
「そっくりな人を見たんです、カオスに乗っていました。戦い方もムウさんそっくりで、間違い無いと思うんですけど、答えてくれなくて」
「そんな、あの人が生きている?」
グラリと足元をふらつかせたマリューをキラが咄嗟に支える。マリューの腰を支えながらキラはブリッジに居る全員に告げる。
「とにかく、今は何も分かりません。だから僕達は僕達の信じる事をしましょう」
アークエンジェルは暫らくの間は情報収集に努めて、事の真偽を見定める事となった。

同時刻、宇宙空間に作られたクライン派の拠点ファクトリーの内部でも、この放送は流されていた。自らの執務室で愛娘であるラクスと共に総統シーゲル・クラインは笑いながらこの会見を見ていた。
「デュランダルめ、良くやる」
「お父様、このゾンダーなる世界の敵に対して私たちは如何するべきでしょうか」
ラクス達はゾンダーの存在を知っていた、世界各地に張り巡らされたターミナルの情報網はキチンと機能していたのだ。キラ達が知らないのは単にラクスとシーゲルの考えが纏まるまで伏せているだけに過ぎない。
「ふむ、我等に敗北は許されぬからな、引き続き情報は集めさせている。程無くこのゾンダーの情報も集ろう、我らが事を起こすのはその後で良い。それまではこのGGGなるゴミ共に任せておけば良かろう」
ここで一先ず言葉を切った、シーゲルであったが、少し難しい顔を覗かせた後でもう一つの指示を下した。
「しかし、ベルリンでの戦闘を見たがGGGのMS、素晴らしい性能の機体ではないか。たしかDSSDの外部組織だったな、そちらの線からデータの入手を急がせろ、是で我々の戦力は万全となろう」
「畏まりました。そのように指示いたします」
「うむ、この地球圏に存在する優れた技術は全て我々が保有してこそ、愚昧な民衆の為に成るというものだ」
「はい、クラインは世界の者、世界はクラインの物」
シーゲルに言われた事を実行する為に部屋を出たラクスであったが、ふと後ろを振り返ると口角を吊り上げて誰にも聞こえぬ声で呟いた。
「愚かなお父様、世界はクラインの物では有りません。世界は私達SEEDを持つ者の物ですわ」
語るラクスの表情は、無知な幼子を相手にするような澄んだ笑顔であった。


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