09/04/19 15:10:00
>>817
タニシのストーキング描写
「あの視線は……やっぱアレなのかねえ」
ライルは、ちらりと第二格納庫から館内に繋がる通路に目を向けた。そこには、壁に隠れる
ようにしてピンク色の髪が覗いている。確かフェルト・グレイスと言ったか。初めてブリッジに
足を踏み入れたとき、彼女が目と口を大きく開けて見つめていたことをライルは覚えている。
彼女の視線の正体が間違いなく一目惚れである―などと思い込むほどライルの経験は浅くない。
おそらく、と言うより間違いなく、兄さんと何か関係している。あの目はおれを通して誰かを見ている目だ。
兄さんに惚れていたのかもしれない。他のクルーたちも同じような目をしていたのだが、彼女のそれは
もっと切実で強い。まったく、やりやすいのか、やりにくいのか……。
すると、不意にピンク色の髪が動いた。ライルの視線に気づき、バツの悪いように体をこわばらせたのだ。
そのまま彼女は慌てた様子で走り去っていき、通路の奥に消えていった。
だからって、そんなあからさまな態度を取らなくてもいいだろ……。
少々がっかりする気持ちがないでもない。
「……おれは女性にはおおらかなほうなんだけどな」