09/03/31 17:39:36
主な登場人物
*プリベンターと、その関係者*
(日々、世界平和の為に戦ったり、戦わなかったりする)
パトリック・コーラサワー
主人公。コードネームはプリベンター・バカ。
プリベンターが誇る変態一号。
何か行動を起こすたびに問題が発生するスペシャルバカ。
元AEUの少尉らしいが退役した理由は不明。
何が起きても生還率100%。
今日もわが道を突き進む。
グラハム・エーカー
コードネームはプリベンター・アホ。
プリベンターの変態二号。
独特の美意識を持ち、発せられる言葉はグラハム語と称される。
ガンダムラブでプリベンターにきたらしいが詳細は不明。
五飛の師匠(ガンプラの)
アラスカ野ジョシュア
コードネームはプリベンター・マヌケ。
プリベンターの変態三号。
グラハムによってむりやり加入させられたかわいそうな人。
あげくコーラさんによって呼称が「アラスカ野」になってしまった。
すげえヘタレ。
3馬鹿の中では意外とまとも。
ヒイロ・ユイ
コードネームはプリベンター・ウイング。
Wの主人公だがここでは影が薄い。
MS(ミカンスーツ)の操縦から家事全般まで何でもこなす。
リリーナの漫才がトラウマとなる。
デュオ・マックスウェル
コードネームはプリベンター・デス。
お調子者。
立場上自然とつっこみ役になる(というか唯一の突っ込みキャラ)。
喋る回数はコーラさんに次いで多い。
トロワ・バートン
コードネームはプリベンター・ウエポン。
口数は少ないがやるときはやる男。
『しまっちゃうおじさん』を恐れる、妄想少年。
3:通常の名無しさんの3倍
09/03/31 17:41:12
カトル・ラバーバ・ウイナー
コードネームはプリベンター・サンド。
プリベンターの良心。
の筈だが意外と黒い。一度キレると誰も止められない。
張五飛
コードネームはプリベンター・ドラゴン。
得意技はコーラサワーいじり。
強引すぎる手段で事件を解決しようとする。
グラハムの策略によってガンプラ作りにはまる。
サリィ・ポォ
コードネームはプリベンター・ウォーター。
プリベンターの現場部隊のまとめ役。
コーラさんの暴走に頭を痛める毎日。
ヒルデ・シュバイカー
コードネームはまだない。
キレたら怖い。
得意技はフライパン投げ。
レディ・アン
コードネームはプリベンター・ゴールド。
プリベンターのリーダー。
本編にはあまり登場しないが、コーラさんやグラハムの加入を認めるある意味心のデッカイ人。
シーリン・バフティヤール
コードネームはまだない。
皮肉屋メガネ。
レディ・アンの秘書みたいなことをしているらしい。
ビリー・カタギリ
みかんエンジンを発明した天才科学者。
喋りだすととまらない。
プリベンターに自身の開発した発明品を提供してくれる。
グラハムの一応友人。
マリナ・イスマイール
プリベンターのスポンサーその1。
この世界ではプチセレブ。
重度のショタコン。
20歳以上の男には容赦無くスタンガン攻撃を食らわせる
4:通常の名無しさんの3倍
09/03/31 17:42:35
ドロシー・カタロニア
プリベンターのスポンサーその2。
自身の屋敷の庭にはイカしたセンスの像が沢山立ち並んでいる。
本編と同じく、気分屋と見せかけて意外と色々考えているお嬢様。
リリーナ・ドーリアン
外務次官。
ドロシーとお笑いコンビ『リドリロ』を結成。
夢はM●1グランプリ優勝。
ヒイロの恋人。
*マイスター運送*
(『24時間何処でも何でも運びます』がモットーの民間企業)
刹那・F・セイエイ
マイスター運送の配送係。
無愛想。
ハローキ●ィちゃんマニア。
アレルヤ・ハプティズム
マイスター運送の配送係。
客に愛想の悪い刹那をたしなめた。
ロックオン・ストラトス
マイスター運送の配達係。
事実上マイスター運送のまとめ役。
問題児が多く気苦労が絶えない。
ティエリア・アーデ
マイスター運送の配送係。
愛銃(水鉄砲)『ヴァーチェ』を携帯している。
絶望するのが日課。
リヒテンダール・ツエーリ
マイスター運送の配送係。
陽気な性格。
同僚のクリスティナ・シエラに片思い中。
デュオと仲が良い。
スメラギ・李・ノリエガ
ビリーの同窓(ビリーには九条君と呼ばれている)。
一升瓶を持った酔っ払い。
5:通常の名無しさんの3倍
09/03/31 17:44:37
*人類革新重工*
(『揺り籠から墓場まで』が社訓。ここ数年、日の出の勢いで伸長を遂げている気鋭の企業)
セルゲイ・スミルノフ
人類革新重工の商品開発部部長。
心の俳句を詠む。
俳句を詠む前は必ずブツブツと呟く。
ソーマ・ピーリス
セルゲイの秘書。
現在「バケラッタ」という言葉にこだわっている。
コーラサワーと奇妙な友情が芽生える。
ミン
人類革新重工の商品開発部係長。
中間管理職。
このスレでは数少ない普通の人。
*その他、頻繁に登場する人々*
カティ・マネキン
元AEU大佐。
現在は歌手デビューし、世界の歌姫として各地を飛び回っている。
なんだかんだでコーラサワーの事が好き(?)
アリー・アル・サーシェス
別名ゲイリー・ビアッジ、またはひろし。
PMCのちょっかいかけ担当。
世界が平和になって仕事がなくなったのでプリベンターを逆恨みしているが、 いつもやられている。
武器はソッコ君もびっくりの異臭靴下と健康にいいアグリッサ。
トリニティズ
トリニティ運送に勤める三人兄妹。
ヨハンは腹黒、ミハエルは客にけんかをうる問題児、ネーナは天然。
コーラサワーの女たち
何人いるかわからないコーラさんの愛人。
コーラさんいわく、プリベンターに入ってからはそっち方面は自重しているらしい。
看護婦
新人ながらコーラ番にされてしまったかわいそうなナース。
コーラさんが入院するたびにさんざんな目にあっている。
6:通常の名無しさんの3倍
09/03/31 17:47:25
ラッセ・アイオン
マイスター運送の配送係。
このスレにおいては完全なるノンケ。
ホモネタを振られると本気で泣く。
マリーメイア・クシュリナーダ(バートン)
レディ・アンと共に暮らす幼女。
年齢の割りに大人びておりクールな性格。
コーラサワーに懐いている。
ミレイナ・ヴァスティ
プリベンターを離れたシーリンの後任としてやってきた。
重度のラノベマニアで、コーラサワーの天敵2号。
アンドレイ・スミルノフ
セルゲイの部下にして実子。
優秀な父親が重荷らしい。
元OZだが、崩壊前に上手く離脱出来た様子。
コーラサワーに「ドレイ」とあだ名をつけられる。
リボンズ・アルマーク
世界的なアイドルグループ「イノベイター」のリーダー。
なんかアリーを使っていらんことを考えているらしい。
相当裏の世界に通じている様子。
ちなみにマネージャーはあのアレハン様らしい。
7:通常の名無しさんの3倍
09/03/31 17:53:38
>>1
乙
8:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/03/31 22:03:01
コーラとカティが夢の国
森の小さな教会で結婚式をあげました
照れてないコーラに 客たちが
くちづけせよと はやしたて
ガッとコーラはいきました
新 橋 色の 塗装をされた
イナクトたちが しゃしゃり出て
サンバに合わせて 模擬りだす
まあるい まあるい ダブルオー
愛の粒子で 微笑んで
不死身は幸せになりました
アザディスタンにおけるイザコザは終わった。
マリナをアリーにさらわせるのを忘れていたような気がするし、
ビリーが現地にすでに来ていたのも忘れていたようにも思うが、気のせいであろうということにしておく。
過去は変えられない。
変えるとタイムパトロールが時空間を越えてやってくる。
「ふわあああああ」
「欠伸をするな」
「いやだってよ、暇だしよ」
プリベンターには平穏な時が戻ってきた。
いや、アリーの足取りを追ったり、背後関係を調べたりと色々しなけりゃならんことがあるのだが、
かと言ってコーラサワーやガンダムパイロットが無暗に動いても解決はしない。
保安局やその他の関係機関に協力を仰ぎ、情報が揃ってからでないと動けない。
天気も波も知らずに釣りに出かけても釣果は得られないのだ。
「暇って……それでいいのか」
「何が」
かくして、コーラサワーとデュオ・マックスウェルの身内漫才が繰り広げられることになるのだが、
ちょっと以前とは状況が違っていた。
何故なら。
「お前、結婚するんだろうが。やらにゃならんことがたくさんあるんじゃないのか」
そう、パトリック・コーラサワー推定34歳。
とうとう彼は、長年の想いを結実させ、愛しい人とゴールインすることになったのであった。
◆ ◆ ◆
「いやぁ~、何? 語らせたい? 俺に言わせたい? いやぁ参ったなあ」
「マイってるのはお前の頭だ」
「式を挙げる六月までまだ間があるけど、式場の下見に新居の打ち合わせに、いやぁもう楽しくて楽しくて」
「聞いてないな、おい」
パトリック・コーラサワー、彼のお相手は誰かと今更問うまでもなかろう。
かつての彼の上司であり、現在は歌手として活動しているカティ・マネキンその人である。
なお、ここでの最終軍歴はAEU軍大佐とさせてもらうので、以後そのようによろしく。
9:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/03/31 22:06:14
「紆余曲折、千変万化、七転八倒の末に結ばれるんだ、ああ、俺って何て幸せなんだろう」
「四文字熟語が完璧に間違ってるな」
「ある意味あってるかもしれませんよ、デュオ」
ポソリ、とカトル・ラバーバ・ウィナーがデュオの耳元で呟く。
彼の手には湯呑みが握られているが、今日のプリベンターのお茶は宇治の高級茶葉である。
レディ・アンが何かの式典に出た時にお土産として貰ってきたものだそうな。
どんな式典だ、とツッコミを入れないでもらえれば幸いである。
「しかし、コイツが結婚ねえ……」
デュオは眉を寄せると、ずずずいとお茶を啜った。
ちょっとぬるくはなっていたが、さすがに高級だけあって香りと味わいが違うのが、彼にもわかる。
「よく出来たな。つうかよく結婚してくれたな」
カティ・マネキンが天才と呼ばれた戦術予報士で優秀な部隊指揮官だった、というのは昔取った杵柄とやらで情報としては知っている。
だが、その人となりまでは詳しくはわからない。
パトリック・コーラサワーと一緒になろうというのだから、相当な人物であることは想像がつくのだが。
「タデ食う虫も、と言うとさすがに失礼になるのかね」
「大佐はなぁ、美人で頭が良くて、スタイル良くて美しい髪で、厳しいけれど優しくて、あったかくて……」
軍人としては腕は確かだが猪突傾向で時々作戦無視、
私生活ではプレイボーイとして流した浮き名は数知れず、ひたすらにマイペースで素直なために周囲との軋轢も多い。
そんなコーラサワーと結婚するというのだから。
「傑物だな、マネキン大佐」
「あったり前だ!」
色恋は算数ではない。
そちら方面の経験が少ないデュオでも、それくらいはわかる。
間に計算式が成立せずとも、答が出ればそれが事実であり真実なのだ。
少なくとも、目の前ではしゃいでいる男は幸せそうだし、相手のカティ・マネキンも幸せなのであろう。
「ならばよし、か。出来ればこれで少しはおとなしくなって欲しいもんだ」
「好きな人と結ばれる。人生においてこれ以上に大きなイベントがあるか? ないだろ? ないよな?」
「知らんよ」
「お前も結婚したらいいんじゃねーか? いいぞぉ結婚は!」
「……十代半ばの人間に結婚を勧めてどうする」
「歳は関係ねーだろ? そーだろ?」
「そもそも一人で出来るか」
死ぬのは一人で出来るが結婚は一人では出来ない。
そう言ったのは誰だったっけか、と考えつつ、デュオは茶をすすった。
ドアの向こうから、「スペシャルさんにも春が来たですぅ」「頭は前からずっと春だけどね」という、
ミレイナ・ヴァスティとヒルデ・シュバイカーの会話が耳に届いてきたが、
敢えて同調もツッコミもせず、聞き流すことにした彼だった。
◆ ◆ ◆
10:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/03/31 22:10:00
「やあやあ、お久しぶりだね、皆」
「おお、カタギリではないか。来るなら連絡を寄こせ」
コーラサワーのおノロケが一段落した頃、プリベンターにいきなりの来客があった。
世紀の天才、ポニテの異才、ビリー・カタギリ。
ファッションセンスは斜め上だが、世界でも最高級の脳みそを持つ科学者である。
「いやあグラハム、最初はそうしようと思ったんだけどね」
「ふむ、理由があるのだな。我々を驚かせようとでも思ったか」
「うん、そんなところかな」
「よし、まあ入れ。入口で立ち話も何だ」
「あ、じゃあ僕がお茶を用意しますね」
「やあやあカトル君、おかまいなく」
ミカンの皮を燃料として動くミカンエンジン、究極に近いエコドライブを開発した彼であるが、
それを搭載したMS(ミカンスーツ)の製造者でもある。
世界から戦闘用のMS(これはモビルスーツ)が姿を消した現在、
このMS(ミカンスーツ)が最強の人型兵器ということになる。
無論、プリベンターのタテマエ上、あくまで紛争が起きないための予防の道具ということにはなっているが。
「しかし突然だなカタギリ博士。……もしかして」
「流出経路がわかったのか?」
張五飛とヒイロ・ユイが息をまくようにビリーに尋ねる。
先日のアザディスタンの一件において、
本来ならプリベンターとビリー・カタギリ以外に持ち得ないミカンエンジンを、あのアリー・アル・サーシェスが使っていた。
しかも、どの系統とも取れない謎のMS(これもミカンスーツ)に乗せて。
「いや、そちらはまだわかっていないんだ」
ごめんね、と二人に頭を下げるビリー。
アザディスタンの事件直後から、彼は独自に捜査を進めている。
自分以外の誰かがミカンエンジンを開発していたとは考え難く、
そうなるとやはりハッキングされてデータを盗まれたという以外にない。
彼の研究所のPCには何重にもトラップと防壁が仕掛けられており、
そう簡単には侵入出来ないのだが、それを突破されてパクられた、というのが現状では一番の推測になっている。
「ヤラれたとしても、僕の知らないうちに、しかも痕跡も残さずだからねぇ……」
「相当な腕のハッカー?」
「うーん、そして、相当に強力な攻性システムを持っているコンピュータを使っているか」
もうちょっと調べてみるよ、と言うと、ビリーは白衣のポケット(彼はいつでもどこでも白衣です)からホロ・ソフトを取り出した。
ホロ・ソフトとはホログラムを収めた小型の装置で、別にホロだからといってわっちが飛び出てくるわけではないのであしからず。
「今日来たのはこの件なんだ、やっと蜜柑エンジンMkⅡを搭載したMS(ミカンスーツ)の目途がたったんだよ」
蜜柑エンジンMkⅡ、すなわちミカンエンジンの改良発展型である。
カタカナが何故漢字に変わっているのかは、ビリー曰くハイカラだからとのこと。
しかし、ハイカラって死語ですな。
「おおっ、ついにかカタギリ!」
「ああ、ネーブルバレンシアよりも当然パワーアップしているよ」
別にソンナコト・アルケーに対抗するためにビリーは作っていたわけではない。
が、結果的に強い剣に抗するには強い盾を、となってしまった感じがある。
仮にアルケーのミカンエンジンがビリーを出しぬいて奪われたものなら何ともやりきれない話になってしまうが、
現実としてあの分離式球体武装ハッサクを操るアルケーに立ち向かうには、
やはりそれに負けないだけの強さを持つ機体が必要になってくるのだ。
11:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/03/31 22:13:01
「もちろん私の注文通りなのだろうな、カタギリ!?」
「ああ、出来るだけ君の希望に添えたと自負してるけどね……あ、その机の上に映像を出してもいいかな」
「かまわん! かまわんと言った!」
「はい、これがグラハム・エーカー専用のMS(ミカンスーツ)だよ」
「おおおおおお、おおおおおおおおおっ」
机の上に現れた立体映像、それを見てグラハム・エーカー(今日は素顔である)は奮えた。
「フラッグの面影を残しつつ、全体的にサムライのイメージ……! 完璧だ、完璧だと言ったカタギリ!」
「お褒めにあずかって光栄だねえ。あ、名称は『カラタチ』だよ」
「うむっ! 爽やかなる名前だ!」
グラハム・エーカー専用MS(ミカンスーツ)、カラタチ。
すらりとしたフラッグのスタイルを踏襲しつつ、鎧武者風のアーマーパーツがいかにもな感じ。
色もグラハムのパーソナルカラーと言ってもいい黒を基調とし、ところどころに緑と橙色で装飾されている。
「残念ながら可変機能は無理だったけどね。えーと、次はヒイロ君のだね、はい」
「む……」
カラタチに替わって、次に映し出されたのは、まるで千切った蜜柑の皮を重ねたような背部ウィングを持ったMS。
見方によっては、天使の羽っぽくも見えないこともない。
「さすが顔も形もまんまと言うわけにもいかないからね、ある程度は僕の色が入ってるよ」
「いや、充分だ。感謝する、カタギリ博士」
素直に礼を言うヒイロ。
言葉少なだが、普段は寡黙な彼であるから、これは最大限の謝意であろう。
「名前は『タンゼロ』」
「タ、タンゼロ?」
「そう、タンゼロ。さて、一気に行くかい」
バッ、と映像が広がると、今度は四体のMS(ミカンスーツ)が皆の眼前の現れる。
それぞれ、かつてガンダムパイロットが駆っていた機体に、どことなく似ている。
女性に気は利かないが、メカになるととことんツボをついてくるビリー・カタギリである。
「デュオ君のはこれ、『マンダリン』」
「ほお」
「カトル君のはこれ、『シトロン』」
「わあ」
「トロワ君のはこれ、『タンジェリン』」
「ふむ」
「五飛君のはこれ、『バンペイユ』」
「むう」
「武装はネーブルバレンシアと変わってないけどね。要望があればいずれ応えさせてもらうよ」
基本構造はどれも同じなれど、外観は全て異なる。
この製作を蜜柑エンジンMkⅡと並行して進めていたのだから、さてさてビリーは仕事が早い。
やはり天才である、この男。
「しかし、カタギリ博士」
「何だい、デュオ君」
「名前、どうにかならないか?」
静かにケチをつけるデュオ。
逆に言えば、それ以外は特に不満はないということである。
まぁでも、そりゃ何ぞ言いたくもなろう、この名称では。
12:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/03/31 22:18:01
「いやあ、最初は『トリファシア』とか『ヘスペレスーサ』とか『アタランティア』とか考えていたんだけどね」
「はあ」
「長くて呼びにくいしねぇ」
トリファシアとかが何か、はそれぞれ柑橘類を調べてもらいたし。
響きはそれっぽいけど、何かねえ、ダサカッコイイ路線の方がやっぱりいいよね。
「気に入らないかい? なら『デコポン』とか『ブンタン』とか『カボス』とか候補はまだあるけど」
「……マンダリンでいい」
デュオ、あっさり折れる。
まあ所詮名前は名前、中身がそれで変わることはない。
多少操縦者の士気に影響するが、それもまた試練であろう。
住めば都、呼べば名前、いずれしっくりくるはずである。
うむ、仮にこれに「ガンダム」をくっつけてみて、
ガンダムタンゼロ、ガンダムマンダリン、ガンダムシトロン、タンジェリンガンダム、バンペイユガンダム。
悪くない……と思う、きっと。
多分。
おそらく。
「ポニテ博士!」
と、ここで我らがコーラサワー氏が介入。
この流れで行けば、次はもちろん彼の機体となる。
「やあコーラサワー君。今度カティ・マネキンと結婚するそうだねえ」
ビリー・カタギリとカティ・マネキンは同じ大学の出身である。
それぞれの分野で類まれなる才能の持ち主と目されており、
これにリーサ・クジョウこと現スメラギ・李・ノリエガを加えた三人は『隠し砦の三天才』と呼ばれていた。
何が隠し砦なのかはまあ、さておき。
「いやぁ羨ましいなあ、僕も結婚したいね、早く」
「いや、つーかポニテ博士、俺、俺のMS(ミカンスーツ)は?」
「あるよ、ちゃんとある。一応イナクトとジンクスをベースにしてみたんだけど」
ピ、とビリーがホロ・ソフトを操作すると、四体のMS(ミカンスーツ)が消え、
そこには一体の鮮やかな薄緑色の機体が現れた。
13:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/03/31 22:19:40
「はい、コーラサワー君の機体、『シークヮサー』だ」
「シー…く、わ、サー?」
「やあ、これが結婚祝いになるのかねえ」
「シーク、ワ、ワ、サーサー? えーと、どう発音すりゃいいんだ?」
「シークヮサー、だよ」
「……」
「何となくだけど、コーラサワーと響きが似ているねえ」
「し、シークゥ、ア、ワァ、サー?」
「そして次はジョシュア君の……あれ? おかしいな、データを入れ忘れたかな」
首を捻るビリー。
そしてその横で、首と舌を思いっきり捻るコーラサワー。
どうやらシークヮサーをどう音声にすればいいか悩んでいる様子。
フランス人なんだからその辺りは華麗に発音してもらいたいものだが、どうもそうはいかないらしい。
「しィーキュ? シークぁ? あ? おえ?」
「悩むなよ……もうシーク『ワ』サーでいいだろうが」
慰め成分が二割程混ざったツッコミを、デュオは入れた。
ガンダムパイロットも、グラハムもコーラサワーも、ビリー・カタギリ博士には感謝しなければならないだろう。
だが、胸の奥にモノがつっかえたような感覚がどうしても残るデュオなのだった。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅はまだまだ続く――
コンバンハ。
終わりましたね、そして結婚でしたね、嬉しさで胸がいっぱいですサヨウナラ。
……さて、いつまでこの話を続けよたものやら。
14:通常の名無しさんの3倍
09/03/31 22:25:13
リアルタイム遭遇ww
乙です! とうとうこっちでもご結婚キター!
15:通常の名無しさんの3倍
09/03/31 23:02:56
乙であります、『シークヮサー』ってww
16:通常の名無しさんの3倍
09/03/31 23:16:00
乙です!コーラさんおめw
新機体もらった皆もおめw
アラスカだけ可哀想だけど仕方ないw
いつまで、ってそれは土曜日氏のネタが尽きるまで末長く幾久しくお願いいたしますw
17:通常の名無しさんの3倍
09/04/01 00:49:45
キター!
ついに新型ミカンスーツが登場したか!つうか名前が個性的すぎるw
このスレのコーラさんも結婚とは! テンション上がりっぱなしだよwww
18:通常の名無しさんの3倍
09/04/01 10:10:37
他の職人も復活期待
19:通常の名無しさんの3倍
09/04/01 14:26:00
即死回避
20:通常の名無しさんの3倍
09/04/01 17:31:35
前スレを受けて勝手に人物録に手を加えるとしたらこんなかんじか
ダリル・ダッジ
元グラハムの部下
現在はラーメン屋「えむすわっ堂」の店主
性格的に味作りに妥協しないようす
アリー・アル・サーシェス
別名ゲイリー・ビアッジ、またはひろし。
PMCのちょっかいかけ担当。
世界が平和になって仕事がなくなったのでプリベンターを逆恨みしているが、いつもやられている。
最近はリボンズとつるんでいる?
武器はソッコ君もびっくりの異臭靴下と健康にいいアグリッサ、リボンズから貰ったソンナコト・アルケー
ロックオン・ストラトス(弟)
マイスター運送に勤める
兄と同じ名前を名乗っており、非常にややこしい
王留美
なんかいろんなものに出資しているらしい
マスドライバーとか
シーリン・バフティヤール
プリベンターから反省府組織カタロンに転属
過去の人類の悪い行いを全力で反省・見直しするクラウスを補佐しているらしい
ソーマ・ピーリス
セルゲイの秘書。
現在「バケラッタ」という言葉にこだわっている。
コーラサワーと奇妙な友情が芽生える。
マリー・パーファシーはもともと双子の姉らしいが、不幸な事故?で同体になっている
マリーは好きな時に表に出てこれるが、ソーマは自分の意思でマリーと交代できないようす
マリーはソーマに比べてまだ穏やかな性格、しかし結構イジワルだったりする
21:通常の名無しさんの3倍
09/04/02 09:40:31
ラノベの続きもね!
22:通常の名無しさんの3倍
09/04/02 18:33:01
何気に一期の一話辺りから続いているスレになった
23:通常の名無しさんの3倍
09/04/03 12:23:18
保守
24:通常の名無しさんの3倍
09/04/04 07:59:20
保守
25:通常の名無しさんの3倍
09/04/04 17:29:53
投下がある時とない時で寒暖の差が激しいスレだな
確かに雑談ばっかりになるのはアレだが
26:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/04 21:24:54
シュワ コーラ 迷いはしない いつも素直なままに
シュワ コーラ 今始まる 新しいストーリー Just for you
最愛のLady 展開に紛れ
一途なLove call 繰り返している
強がりなFace マジでタフで 撃ち落とされても
そのオーラは 不死身な色 隠しきれない
シュワ コーラ 弾けまくって 君の信じた愛
シュワ コーラ その想いを 貫いたから
シュワ コーラ 迷いはしない いつも素直なままに
シュワ コーラ 今始まる 新しいストーリー Just for you
女神、空にしろしめす。
なべて世はこともなし。
まったくもって世界は平和である。
まぁ今のとこはねー、という但し書きが付くが。
「ふああああ、暇だなあ」
「そ、そうですね」
人界が平穏だということは、すなわちプリベンターも出動がないということになる。
とは言え、火急速やかなる解決が求められる事件がなくとも、仕事自体がまったくゼロというわけではない。
「何にもやることねー、まったく」
「はあ……」
今日この日、プリベンターの本部には二人の男が詰めている。
我らが愛しき英雄、パトリック・コーラサワー。
そしてもう一人は。
「あ、お茶でも淹れ替えましょうか」
「おー頼むぜ、坊ちゃん」
ぼっちゃん。
蛙飛び込む池の音、ではない。
カトル・ラバーバ・ウィナーである。
◆ ◆ ◆
カトル・ラバーバ・ウィナー。
アラブの豪商、ウィナー家の現当主代理にして次代当主である。
代理で次代という肩書きは、父親がまだ存命中であり、後継ぎたる男子が彼しかいないからに他ならない。
ガンダムパイロットの五人の少年のうちでは最も温厚で礼儀正しく、感受性も高い。
もっともマジでブチ切れると一番怖かったりするけれども。
なお姉が全員で29人いたりするが、まぁこの物語では出てこない(はず)のでそれは関係ない。
27:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/04 21:25:57
「八女の玉露があるんですよ、家から持ってきました」
「ほー」
で、何故この二人なのかと言うと、答は簡単で他は仕事で出払っているからに過ぎない。
レディ・アンは相変わらず政府のお偉いさんと頭を突き合わせて難しい会議のど真ん中だし、
ミレイナ・ヴァスティも秘書であるからして一緒にお供をしている。
サリィ・ポォは今度新たに稼働を始める太陽光発電システムの除幕式に呼ばれ、
デュオ・マックスウェル、張五飛、ヒイロ・ユイ、トロワ・バートンも警護を兼ねてくっついていっている。
ヒルデ・シュバイカーは連絡要員として本部に残っていたが、
ついさっき「必要な資料を持ってこいと言われた」とレディのところへ出かけていってしまった。
「ふーん、いい香りだな」
「最高級ですから」
ま、そんなわけでこの二人が居残り組という次第。
普段ならコーラサワーの相方(と呼ばれると本人は凄く嫌がるが)はデュオなのだが、
今回もそうじゃなかったのは、厳正なるクジビキの結果ゆえ。
神はカトルに微笑まなかった、と言うとさすがにコーラサワーに失礼かもしれない。
ちなみにグラハム・ブシドー・エーカーさんだが、
盟友のビリー・カタギリが新型MS(ミカンスーツ)のデータを開陳してからほとんど彼の研究所に入り浸っており、
本部には朝と夕方しか顔を出さない。
おそらくビリーの背後に立って「まだかカタギリ!」と急かしていることであろうと思われる。
アラスカ野ことジョシュアも一緒だが、これは新型が待ちきれないと言うより、
グラハムに無理矢理引っ張っていかれていると言った感じである。
あ、前回ビリーがホロ・ソフトに入れ忘れたアラスカ野君のMS(ミカンスーツ)だが、
名前は『紅鮭』であるからよろしく。
ミカンは一切関係ない。
「しかしよ、ポニテ博士もひでーよな。データだけでまだ完成していないって」
「そうですね」
はい、そいでコーラサワーとカトルだが、コーラとデュオ程には会話のキャッチボールが長く続かない。
やはりデュオはツッコミの盟主、じゃない名手であることが図らずも証明された形である。
何度も言うが、そんなんで褒められても間違いなくデュオは喜ばないが。
「なあ坊ちゃん、茶菓ないか?」
「岩おこしがありますよ、生八つ橋も」
「おー、どっちも貰う」
何つーか、漫才にならない。
フツーの会話になってしまっている。
カトルは素で穏やかな性格なため、どうあってもぶつからないのだ。
これがヒイロやトロワならおそらくコーラサワーがただひたすら喋るだけになるだろうし、
五飛なら最初の一言で後ろ回し蹴りをコーラサワーの後頭部にぶちかましているだろう。
成る程、ガンダムパイロットのまとめ役の地位は伊達ではない、カトル。
ウィナー家の代理当主として商談をまとめたりもするので、
レディやサリィを除けば、『社会人適正』は間違いなくプリベンターの面子の中で最高であると思われる。
プリベンターが今後も隠密同心として世界を裏から守り続けるなら、次のリーダーは彼になると考えて間違いない。
28:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/04 21:27:33
「しっかし暇だよなー、早引けして大佐のところに行こうかな、でも怒られるかなー」
「カティさんはお仕事ですか?」
「大佐は今、仕事を全部休んでるんだよ」
「そうなんですか」
「当たり前だろ、何せ結婚するんだからよ、この俺と!」
何が当たり前なんだろう、とカトルは思ったが、そこはデュオではないのでツッコまなかった。
あとこれも何度でも繰り返すが、こちらの世界ではカティ・マネキンの最終軍歴はAEU軍の大佐である。
連邦正規軍准将ではない。
正味の話、昇進はあるかもしれんなーと思っていたが、最終話では今更こちらに反映させられんので。
「カティさん、歌がとてもお上手ですよね」
「当たり前だ、何せ大佐だからな!」
「何だか懐かしい感じがするんですよ、昔、ずっと聞いていたような」
「当たり前だ、何せ大佐だからな!」
何が当たり前なん以下省略。
が、何げにメタ的発言である、カトル。
「お茶、もう一杯頼むわ」
「はい、どうぞ」
プリベンターは平和である。
「あ、八つ橋、まだあるか?」
「ええ、ありますよ」
多分、当面はこんな感じに。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く――
映画まではさすがに続けられるかどうかわかんなコンバンハ。
ラノベ風味もいい加減どうにかしなきゃサヨウナラ。
29:通常の名無しさんの3倍
09/04/05 00:58:16
続きキター!!!
確かにカトル相手だと会話が普通にしかならないよな
まぁコーラさんもぶちギレ黒カトルに痛い目あわされたから波風立てる気は無いだろうwww
しかしイナクトとジンクスをベースにしたシークヮサーって、どんなのなんだ? 細身で手足が長いイナクトとガッチリしたジンクスだとミックス難いな…
まさかGNフラッグが出る前に予想された頭がフラッグ体がジンクスの『グラハム専用ユニオンフラッグカスタムカスタム』のイナクト版かwww
30:通常の名無しさんの3倍
09/04/05 01:58:25
マリッジブルーになる気配すらないコーラさんwww
31:通常の名無しさんの3倍
09/04/05 12:18:46
まとめ編集人乙
お前こそエースだ
32:通常の名無しさんの3倍
09/04/05 19:20:06
カトルの台詞がw
そういや、カティの中の人のユニットはまだ存続しているんだろうか・・・
33:通常の名無しさんの3倍
09/04/06 08:18:41
保守
34:通常の名無しさんの3倍
09/04/06 18:09:09
正直、ラノベ的SSがどんなものだったか忘れてしまった俺ガイルw
35:通常の名無しさんの3倍
09/04/06 18:57:32
住人が心に住む中学二年生を全開放して知恵をよせあって作るSS
のはずだが、ほとんど何も決まっとらん
導入だけ職人が書いて止まっている
36:通常の名無しさんの3倍
09/04/06 19:44:03
あげ
37:通常の名無しさんの3倍
09/04/06 22:34:27
>>35
MSの名前をもじったキャラが登場するんだっけ?
38:通常の名無しさんの3倍
09/04/07 02:03:45
精太頑駄無みたいな感じか>名前
39:通常の名無しさんの3倍
09/04/07 02:12:23
前スレの>>318を参照のこと
40:通常の名無しさんの3倍
09/04/07 21:25:15
これだなw
英雄国原稲久斗(えいゆうこくばる・いなくと)→「AEU」で「イナクト」、国原はあの宮崎県知事から
奈採場知恵(などれば・ちえ)→「ナドレ」と「ヴァーチェ」、などればーちぇ、などればちえ
湯仁音坂風楽(ゆにおんざか・ふらく)→「ユニオン」と「フラッグ」、坂はまあ適当に
陣角鉄人(じんかく・てつひと)→「人革」と「ティエレン」、まんま
阿宮梨沙(あぐう・りさ)→「アグリッサ」、あぐりっさ、あぐうりさ
有鳥有乃(あるとり・あるの)→「リアルド」、りあるどりあるどりあるど、あるどりあるどり、あるとりある、あるとりあるの
蹴素手夢菜(けりすで・ゆめな)→「ケルディム」と「デュナメス」、けるでむでゅなめす、けるでゅめなす、けるすでゅめな、けりすでゆめな
アルバート・蟻馬(あるばーと・ありば)→「アルヴァトーレ」と「アルヴァアロン」、あるばとーれあるばあろん、あるばーとあるばろ、あるばーとありば
栗忍亜里栖(くりおす・ありす)→「キュリオス」と「アリオス」、きゅりおすありおす、きりおすありおす、くりおすありす
陣角桃子(じんかく・ももこ)→「人革」と「タオツー」、これもまんま
神薬(じん・くすり)→「ジンクスⅢ」、じんくすすりー、じんくすりー、じんくすり
荘礼須樽恵空紗(それすたる・えくさ)→「ソレスタル」と「エクシア」、それすたるえくしあ、それすたるえくさ
富東嶺舞(ふとうれい・まい)→「プトレマイオス」、ぷとれまいおす、ふとれまいお、ふとうれいまい
暗風華(くらかぜ・はな)→「アンフ」、暗風はあんふう、華は鼻から
41:通常の名無しさんの3倍
09/04/07 22:04:45
Gパイロットとコーラさんたちのまとめ役に必要なのは
ツッコミ以外で会話を成立させる能力か
難しいなぁ
42:通常の名無しさんの3倍
09/04/08 10:27:10
サリィとカトルしかおらんw
43:通常の名無しさんの3倍
09/04/08 17:46:27
結局ほぼ土曜日の人が独力でやってるようなもんだからな
ラノベ的なものは模倣の人の力が借りられればとは思うが、職人の都合は動かせないしな
しかし、職人もいつのまにか足が遠くなっているな…
44:通常の名無しさんの3倍
09/04/09 14:49:08
保守
45:通常の名無しさんの3倍
09/04/09 17:37:17
保管庫見てたら相当な話数になっててワロタ(管理人乙)
いったい何が職人をそこまで駆り立てるんだよw
46:通常の名無しさんの3倍
09/04/10 10:26:57
保守
47:通常の名無しさんの3倍
09/04/11 10:16:13
>>40
このセンスはバカすぎて笑えるw
土曜日の人は本当にアホだな
褒めてんだからなこれは
48:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/11 22:08:58
あれは誰だ 誰だ 誰だ
あれはコーラ コーラサワー コーラサワー
不死身のエースの名を受けて
カティのために戦う男
コーラボディは 安全性
コーライヤーは 集音性
コーラマウスは 愛語り
コーラスペシャル フラグ砕く
不死身の力 身につけた
我らのヒーロー コーラサワー コーラサワー
辺塞に寧日無く、プリベンターにはあり。
何処が辺塞かはともかくとして、プリベンターの面々はここのところ穏やかな日々を過ごしている。
何しろアザディスタンの一件以降、さしたる事件がない。
「暇だなあ」
「最近そればっかりだな、お前」
「だってそうだろうがよ」
「いいこじゃねーか」
「俺にとっては良くない」
平地に乱を起こしたがる輩と言うより、平地に乱が起こるの待つ輩というべきか。
まあコーラサワーは言動がプリベンターにとって乱ではあるので、両方である気もする。
「なら議事堂の周りを走ってこいよ、少なくとも時間は潰れるぞ」
溜め息をつきつつ、デュオ・マックスウェルはコーラサワーに提唱した。
これで目の前から消えてくれれば、いささかの静かな時間が訪れるはずである。
「やだよ、ナルハム野郎じゃあるまいし」
が、コーラサワーさんはあっさり拒否。
「あんな脳まで筋肉な奴はそれでいいかもしれんが、俺は違うんだよ」
「あっちは一応トレーニングでやってるはずだけどな」
暇を感じるのは、ある意味幸せの証拠でもある。
何もすることがないのは裏返すと何にも追われていないわけで、そこは個人の捉え方一つなのであろう。
「よし、みつあみおさげ」
「何だよ」
「ジャンケンでもしようぜ」
「何でだよ!?」
愛変わらず、もとい相変わらず、パスがどこへ飛んでいくかわからん男である、コーラサワー。
受け手のいないキラーパス、こんなのに司令塔を任せたら間違いなくサッカーは崩壊する。
ひたすら個人プレーで勝ちまくる可能性もあるが、それは多分「サッカー」ではないだろう。
「ジャンケンで時間を潰すのと、ジョギングで潰すのとにどう違いがあるってんだよ」
「走るのはしんどいだろ、ジャンケンはそうじゃない」
「お前の相手をする俺がしんどいつーの」
嗚呼、やはりデュオはいい。
会話においてコーラサワーの相手を任せられるのはプリベンターではこいつしかいない。
60階建ての某塔の宝箱出現に必要な操作ばりに理不尽なコーラサワーの言動に対処出来るのは彼だけだ。
何度でも何度でも繰り返して言うが、それで褒められても絶対にデュオは喜んだりはしないが。
49:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/11 22:12:08
「別ににらめっこでもいいぞ」
「何が悲しくてお前とそんなことしなきゃならんのだよ」
「じゃあアヤトリでも」
「断る」
「ならメンコ」
「……なあ、想像してみろよ。三十男が半分以下の年齢の少年相手にそんな遊びしてる場面を」
「微笑ましいじゃねーか」
「んなわけあるか!」
ここに卓袱台というものがあったらひっくり返したくなったであろうデュオだった。
◆ ◆ ◆
「だったら私がその暇をくっそみそに潰してあげるですぅ!」
「わっ、何だオデコ娘三号!」
「オデコ娘でもドリル娘でもツインロールパンでもないですぅ! ミレイナ・ヴァスティですぅ!」
「だーっ、ですぅですぅってうるせーよ!」
と、ここで乱入してきたのはオデコ娘三号(一号と二号が誰かはもう説明の必要はあるまい)ことミレイナ・ヴァスティ14歳だった。
歳はまだ若いが、これでも各種資格を取得しており、
反省府組織カタロンに転出したシーリン・バフティヤールの後を継いでレディ・アンの秘書をこなす才女である。
マイスター運送の重役である、おやっさんことイアン・ヴァスティの実の子供でもある。
「スペシャルさんが色々もてあましていると聞いて飛んできましたですぅ!」
「いや、お前はいい」
「またまた、照れなくてもいいですぅ。このミレイナが直々に遊んでやるですから、喜びを隠さず表現するべきですぅ」
「隠してねーよ!」
そいでこの娘、ソーマ(マリー)に次いでコーラサワーの天敵だったりする。
過去に彼女の趣味であるライトノベルで口論を交わしたことがあるのだが、どうにも趣味というかソリが合わない二人なのだ。
「スペシャルさんはとても強運の持ち主だと聞いてますけど、本当なのですか?」
「バッカヤロ、強運だけじゃねえ! 実力も兼ね備えたスーパーエース様だ」
「おっお~、やっぱりこれは対戦するしかないですぅ!」
「は? 対戦?」
ソーマリーといいミレイナといい、何よりペースを握れない。
ほぼずーっと持っていかれっ放しで、どうしても受身にならざるを得ないのだ。
コーラサワー相手に主導権を握り続けるのは、結婚相手のカティ・マネキンですら出来ない芸当なのである。
「おいおい対戦つっても、ジュードーもフェンシングも本気で出来るわけないだろ。ガキの、しかも女相手に」
「むー、そんな肉体的な対戦じゃないですぅ」
「じゃあ何なんだよ」
「ふっふ~ん、ズバリ、コレですぅ!」
「……何じゃ、こりゃ」
ミレイナが取りだしたのは、トランプより少し大きめのカードだった。
「トレーディングカードゲーム、ですぅ!」
トレーディングカードゲーム、またはコレクタブルカードゲーム。
プレイヤーが集めたカードの中から、ルールに則って組んだデッキ(カードのセット)で優劣を決めるゲームである。
ひとつのトレーディングカードゲームには何百、多くて千の単位のカードがあり、
それぞれのカードごとに異なった能力・効果・数字が付記され、単体だけでなく組み合わせによってゲームに与える影響も変わってくる。
中には「レア」と呼ばれるカードも存在し、その価値の高さから時には目の飛び出るような金額で取引されることもある。
またカードには有名なイラストレーターによる絵が描かれているものもあり、コレクターズアイテムとしても珍重されたりもする。
50:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/11 22:16:37
「と、言うわけで、今日スペシャルさんとガチンコしたいのはこのゲーム、『Noir et blanc』ですぅ!」
「……黒白、ってか? 何だそれはってオイ! まだ俺はお前と何かするって決めたわけじゃねーぞ!」
「はいはい今からルールを説明するですぅ」
「聞けよ! お前とは遊びたくもねぇって言ってるんだよ! バーロー!」
「あ、スターターパックを用意したのでプレゼントするですぅ。すでに構築済みなので、とりあえず悩まなくてもいいですぅ」
「いや、だーかーらー!」
ガンダムもののSSなのに『ガンダムウォー』じゃないんだ、とツッコまないでいただきたい。
正味の話、わたくし、トレーディングカードゲームをほとんどやったことがございません。
何しろカードを集めた記憶が、遥か昔幼き日々のSDガンダム・カードダスくらいしかありませんので。
なのでここから先はほとんど妄想珍想の類であり、
真面目にカードゲームに取り組んでいる方からすれば噴飯ものでしょうが、平にご容赦の程をお願いする次第。
「とりあえず『フォーリンエンジェル』仕様でいくですぅ。それ以降のシリーズだと拡張パックが必須になるですから」
「何だそのどっかの作戦名みたいなのは」
「えーとですね、このゲームのカードですけど、まず色に注目して欲しいですぅ」
「色?」
「はいそうですぅ。縁の部分が五色に分かれてるですぅ」
「……黒、白、赤、青、黄か」
「ピンポーン。で、それぞれ特徴があるですぅ」
「特徴?」
「黒のカードは主に攻撃能力に長けてるですぅ。で、白はその逆で防御ですぅ。赤は攻撃の補助で、青は防御の補助、黄色は特殊効果ですぅ」
「わけわからん」
「そのうちわかるようになるですぅ。スペシャルさんは頭もいいんじゃないのかですけど?」
「当たり前だろうが」
「なら心配ないですぅ」
ああ、最早完全にミレイナのペース。
転がり出したら止まらない、まさにローリングストーン・ミレイナである。
いつの間にかコーラサワー、ゲームをやることになってしまっている。
「で、右上の数字がレアリティを示しているですぅ。この数値が小さい程偉いってことですぅ」
「つまり大将みたいなもんか」
「そう思ってもらって結構ですぅ」
この世界において、語りだしたら止まらない人物は二人いる。
東の横綱がビリー・カタギリ、西の横綱がミレイナ・ヴァスティ。
専門はまったく違うが、得意分野についての語りはそれこそドラ○もんのコエカタマリンを飲んだとしたら、
間違いなく地球が半分埋まるであろう。
「そして左上の文字が属性ですぅ」
「属性?」
「風・土・火・水・光・闇・無の七つあるですぅ。それぞれに得手不得手があるですぅ」
「ジャンケンみたいなもんか」
「そんな感じですぅ」
いつの間にか、部屋からはコーラサワーとミレイナ以外の火トカゲ、もとい人影が消えていた。
お守をミレイナが買って出た、と見たデュオがこれ幸いとトンズラこいたのだ。
隣の事務所に逃げ込み、ちゃっかりと鍵までかけていくオマケつきである。
51:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/11 22:19:44
「属性とレアリティの間にあるのがそのカードの名称で」
「ほぉ」
「イラストの下にあるのが効果の説明、さらにその下にあるのがレベルゲージとコストですぅ」
「ふーん」
「ちなみにこのカードゲームのイラストは有名な絵師さんたちの手によるものですぅ」
「このやたらと目がでっかかったり乳がでっかかったりする女の絵がかあ?」
「そのカードはそんな絵柄ですけど、他にもいろいろあるですよ」
「こいつは騎士か何かか? おい、こんなに素肌を晒してたら鎧の意味ねーじゃねーか」
「んー、わかってないですぅ。そこが逆にミソなんですぅ」
「八兆味噌か?」
「つまらんですぅ、スペシャルさん」
デュオ以外にコーラサワーの相手を出来る人物、一人追加。
それはミレイナ・ヴァスティ14歳。
彼女のカードゲーム地獄、今ここに開幕せり。
次回、コーラサワー本気でキレるの巻でござる。
ニントモカントモ。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心のドロー俺のターンは続く――
アホでごめんなさいコンバンハ。
本当に何も知らないけれど勢いがあればどうにかごまかせるよねサヨウナラ。
しかしミレイナ、気をぬくと台詞が翠○石になりやがるです。
52:通常の名無しさんの3倍
09/04/11 23:04:10
今度はカードゲーム編か
>本当に何も知らないけれど勢いがあればどうにかごまかせるよねサヨウナラ。
ちょww
53:通常の名無しさんの3倍
09/04/11 23:26:51
ガンダムウォーのコーラさんは強いぞ!防御0だけど!
54:通常の名無しさんの3倍
09/04/12 11:02:55
保守
55:通常の名無しさんの3倍
09/04/12 11:31:34
これ、遊戯王っぽくねぇ?と突っ込んでみる俺はおかしいだろうか
56:通常の名無しさんの3倍
09/04/12 12:09:03
おかしくないよ!
57:通常の名無しさんの3倍
09/04/12 12:27:49
ガンダムウォーのコーラさんとそのイナクトは強いよ。
イナクトにコーラが乗ればエクシアに乗った刹那とも相打ち取れるよ。
カスタムフラッグにグラハムが乗ればエクシアに乗った刹那を一方的に落とせるけど。
58:通常の名無しさんの3倍
09/04/12 12:36:58
せっさん…なんか情けない話だなw
59:通常の名無しさんの3倍
09/04/12 17:20:17
>>57
さすがコーラさんだなw
60:通常の名無しさんの3倍
09/04/12 17:25:38
職人たちよ帰ってきてくれー!
61:通常の名無しさんの3倍
09/04/13 14:06:37
職人が複数いないとSSスレとしてキツイからな…
62:通常の名無しさんの3倍
09/04/13 17:51:48
でもここはひっそりと続けていくほうがあってる気もするけどな、なんとなくだがw
現時点では土曜日来なけりゃスレ倒れるみたいな状況だけどそれはしょーがねいよな、書くのも読むのも自由意思だし
63:通常の名無しさんの3倍
09/04/13 21:17:54
>>57
カスフラとハムはわかるけどイナクトとコーラは一方的に撃墜されるけど本国にはノーダメージで次のターンに復活してる方が似合って言うような気が
64:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/13 23:18:46
チョイと一敗の つもりで落ちて
何時の間にやら 出オチ役
気がつきゃ 大佐の真横で運転
これじゃ活躍 出来るわきゃないよ
わかっちゃいるけど 出番がねえ
※アホレ シュワシュワ シュワララッタ
シュワシュワ シュシュシュイ
シュワシュワ シュラララッタ
シュワシュワ シュシュシュイ
シュワシュワ シュワララッタ
シュワシュワ シュシュシュイ
シュワシュワ シュワララッタ
シュワララッタ シュワシュワ
狙ったガンダム 見事に逃がし
頭バッと壊れ 最終展開
気がつきゃ 大佐に突撃のガガガガ
俺の大佐に 何しやがんだよ
※繰り返し
一発殴られて たちまちホレて
よせばいいのに すぐ花持って
オトしたつもりが チョイとオトされた
俺はやっぱり アナタが好きよ
分かっちゃいるから ヤメられねえ
※繰り返し
はい、スーダラ不死。
……などとくだらないシャレを言っている場合ではない。
コーラサワーとミレイナのガチンコカードバトルである。
嗚呼、今日も世界は平和で、プリベンターも平和である。
チントンシャントン。
◆ ◆ ◆
で、トレーディングカードゲーム『Noir et blanc』である。
美麗なイラストと独特のルールで、昨今人気のこのカードゲーム、
北斗七星の横で輝くオタクの一番星ことミレイナ・ヴァスティが手を出さないわけがなく、
何だかんだでコーラサワーの暇潰しがミレイナの暇潰しになってしまっているという次第。
古の偉人曰く、巻き込んだモン勝ちとはこのことである。
「レベルゲージはですね、つまりはパワーの値だと思ってもらって結構ですぅ」
「パワー?」
「ゲージが長ければ長い程強いってことですぅ」
「攻撃・防御・速さにそれぞれ分かれてるのは、別々の強さだってことか?」
「そーいうことですぅ」
65:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/13 23:21:59
最初はやらねーだの何だのと抵抗していたコーラさん、すっかりミレイナのペースにぶちハマリ。
彼がこの世界において主導権を握れない人間が二人いる。
ソーマ・ピーリスとミレイナ・ヴァスティで、
何と言うかジェリーに振り回されるトム、
ロードランナーにひっかきまわされるワイリーコヨーテな感じだと思ってもらえればありがたい。
別にトムやワイリーコヨーテだからと言って、コーラサワーがソーマリーやミレイナを追いかけてるわけじゃないけど。
彼にはちゃんとカティ・マネキンという結婚相手がいますしね。
「さて、ゲージの下にある数字がさっきも言ったですけど、コストですぅ」
「何だよコストって」
「場に出せるカードは無制限じゃないのですぅ、上限があって、その中でしかカードは出せないんですぅ」
「面倒くせー話だな」
「でも注意が必要なんですぅ、場のコスト内だからと言っても、これまた自由気儘には出せないんですぅ」
「?」
「フィールド縛りというのがあるですぅ」
「??」
「属性によっては制限を受けるですよ、例えば海のフィールドでは火属性のカードはコスト二倍になっちゃうですぅ」
「???」
「逆に水属性のカードは半分で場に出せるですぅ」
「????」
「フィールドには何にも縛りを与えないノーマルの他に、水の海、土の緑地、火の荒野、風の空、闇の魔界、光の聖域とあってですね」
「?????」
「ノーマルでずっと進む非限定戦、どれか一つだけの限定戦、一定のターン数で変わるランダム戦というのがあるんですぅ」
「??????」
「あ、でも限定戦でも、無属性のカードの中には強制的にフィールドをチェンジするものがあって……」
はい、ここで『初心者に教える玄人の法則その1』。
玄人は簡単に説明しているつもりでも、素人にはほとんど伝わっていない。
基本的に、人に教える時は口頭だけではムリ。
学校の授業でも、先生は言葉と黒板と教科書の三点を使って生徒に教える。
多少の知識があれば別だが、まったくのゼロからでは、喋りだけでは99%届きゃしないのだ。
百聞は一見に如かず、ってのも似たようなもんでしょうな。
「それで、カードには単体効果と補助効果、合体効果というのがあるですぅ」
「?」
「単体効果っていうのは簡単ですぅ、レベルゲージそのまま、カードの説明文そのままのパワーということですぅ」
「??」
「補助効果というのは、そのカードの二倍のコストを消費することで、別のカードにパワーをプラスするんですぅ」
「???」
「例えばですね、火属性の『溶岩の番犬(バウン・ド・ドッグ)』は攻撃値200、防御値100、速さ120、コスト55ですけれども」
「????」
「コスト110使用することで、別のカードのキャラクターに四分の一の力を分け与えるですぅ」
「?????」
「えーと、この『灼熱の天涯(トロ・ピーカル・ドーム)』というモンスターは攻撃値90、防御値180、速さ60なんですけど」
「??????」
「さっきの補助に使った分をプラスすると、攻撃値が140、防御値が205、速さが90になるってわけですぅ」
「???????」
「あ、でも相反する属性ではこの補助は使えないですぅ。火と水、光と闇みたいに」
「????????」
66:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/13 23:23:54
ここで『初心者に教える玄人の法則その2』。
玄人は初心者がわかってなくても説明を先に進める。
巻き戻しはまずききません。
えーともう一度、なんて言おうものなら、もの凄く「え~わかんないのぉ」って顔されます。
わかんねえから聞いてんだろうがバーロー。
「ま、とにかく一度やってみるですぅ! 体で覚えるのが一番、ポイントごとに教えてあげるですから!」
「えー、何か今までの説明ですっごくやる気失せたんだが」
どん、『初心者に教える玄人の法則その3』。
長々と説明しておいて最後は「ま、やってみないとわかんないよね。やりながら教えるし、やってみよ」でシメる。
だったら最初からしろ。
スタートラインに立つまでが異様に長いってどうなのよ。
「正直、まったく意味不明なんだがよ」
「平気のへいちゃらですぅ、料理だって包丁持たないと始まらないし、スキーだって滑ってみないと上達しないですぅ」
ぼん、『初心者に教える玄人の法則その4』。
例えが無茶苦茶。
料理やスキーは一人で出来るが、カードゲームは相手が必要である。
条件がまるっきり違う。
「でもなあ……」
「大丈夫! 誰だって最初は素人ですぅ。私だってそうだったですよ」
ばばん、『初心者に教える玄人の法則その5』。
昔は私も初心者だった、と言って安心感を誘おうとする。
そんなの当たり前である。
ちょっと考えればわかる、そんなもんで誰が安心するか。
将棋の名人も街角のヘボ将棋チャンピオンもそりゃ最初は皆素人だ。
これ、ちょっと宗教の勧誘に似ているね、私も昔は不安でしたがカミサマに出会ってから云々。
誰だって産まれた時は無宗教だよ。
「さ、さ、始めるですよ!」
「えー……やるのかよ」
「イケイケゴーゴーですぅ!」
「そりゃやるからには負けるつもりはねーけどよ、なんつってもスペシャル様だし」
で、『初心者に教える玄人の法則その6』。
やる時になったら初心者より玄人の方が嬉しそう。
何て言うんでしょうか、布教ってやつですか?
これでまた同じ趣味に一人ひきずりこんだ、っていう。
タバコも酒もパチンコも麻雀も競馬もね、こうやってハメられていくもんです。
ああ怖い怖い。
67:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/13 23:26:28
◆ ◆ ◆
「どーん! 闇属性『黒い虚無の太陽(ソーラ・0)』を使用、場の敵キャラクターカードの防御値に一律50のダメージですぅ!」
「んがあああああ、何だよそれえええ!」
「さらに場に出ている土属性『悪魔の花(ラフレシア)』に追加効果がつくですぅ、ソーラ・0により茎が成長して相手を絡め取るですぅ」
「はああああああ?」
「これでスペシャルさんは場のコストが40減で、さらに3ターン新規カード使用不能、つまり何も出来ないですぅ」
「なんじゃあそりゃあああああ!」
「あ、40減ってことはさっきスペシャルさんが出した風属性『緑法の番人(イナクト・デモ)』がコストに引っかかるので強制消滅ですね」
「ええええええええええええええ!?」
そしてこれがトドメの『初心者に教える玄人の法則その7』。
じゃやってみようか、で始めたプレイで絶対に玄人は手を抜かない。
こっちゃ波動拳すらまともに出せないのに、ジャンプ大パンチ→しゃがみ中パンチ→ソニックブーム→立ち大パンチの壁コンボを問答無用で使ってきたり。
そもそも技すらほとんどわかってないのに、めくり攻撃から地上連で浮かされて空中追撃→キャンセル→追撃→キャンセル→超必とかしてきたり。
練習にもなんねえってのよ、逆にコンボの練習台にしてんじゃねーっての。
「はいはーい、まだ私のターンですぅ。無属性『全て分け解す鍵(NJキャンセラー)』を使用、フィールドを一時何にもナシにするですぅ」
「ほはああああ?」
「全ての属性はこれで影響ゼロになったですぅ。そこで光属性『圧倒的なり我が軍(アエーテ・イオ・カースデーアールト)』ですぅ!」
「んあああああああああ!?」
「次のターンこちらが無防備になる代わりに、今ターン場のこっちのカードの攻撃力が二倍になるですぅ!」
「がああああああああああ!」
「んふふふ、次のターンと言っても、スペシャルさんは『悪魔の花』の効果で動けないですけど」
ミレイナ、恐ろしい子。
ここまでイジメることもあるまいに。
だいたいゲームでもスポーツでも何でも、入口で引き返してそれ以後苦手にしちゃうってのは、
こうやって玄人にイジメられて嫌になっちゃって、ってパターンが非常に多い。
そりゃ何もわからんうちにコテンパンにやられて、それで好きになれってのも難しい話ですわなあ。
「あー、これだともうスペシャルさん、残りのカードにどれだけ強いのがあっても挽回は無理ですぅ」
「のががががががあ」
さて、このように玄人の理不尽な蹂躙に、初心者は本当に対抗出来ないのか。
ただされるがままに踏み潰され、せせら笑われる以外にないのか。
否、ひとつ、手段がある。
それは。
「うおー! 模擬戦二千回ー!」
「きゃあ!?」
「やって、られっかーっ!」
そう、キレる。
将棋台でもファミコンでも、ひっくり返したらその瞬間に勝負はパア。
「あーっ! 投げちゃだめですぅ! ルール違反ですぅ!」
「ルールもへったくれもあるかー!」
「ダメですスペシャルさん! 御里が知れるですぅ!」
「うるせーオデコ娘三号! それが知れるってんならお前の方だー!」
うむ、コーラサワーのツッコミ(珍しい)は間違ってはいない。
ミレイナのこの容赦のなさ、単に玄人と素人の差だけではない。
あのパパ様の御教育がさぞかしよろしかったのであろう。
68:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/13 23:29:24
「認めねー、俺はこんなの納得出来ねーからなっ!」
「負けを負けと認めなければ、人間成長は無いですぅ!」
「負けてない! 俺は負けてない!」
「負けたですぅ! そうやって放り出したのは降参と一緒ですぅ!」
「降参じゃない! 全然対等じゃねーだろ!」
「パイロットなんでしょうスペシャルさんは! MSでの戦いはいつも条件が同じなのですかあ!?」
「カードゲームとMSの戦闘は違うわー!」
「戦いという点では同じですー!」
ああもう、屁理屈なんだかそうでないんだか。
ぶっちゃけ、これはどっちも悪いっちゃ悪いんだが。
「よぉしわかった、オデコ娘三号!」
「ミレイナですぅ! 名前で呼んでほしいですぅ!」
「お前だって俺のことスペシャルさんって呼んでるじゃねーかっ!」
「呼ばれて嬉しいくせに、強がらないでほしいですぅ!」
さて、ここで突然ですが質問です。
この二人の間には、いったいどれ程年齢差があるでしょうか?
「一週間よこせ! 一週間!」
「一週間? 何するですか!?」
「一週間でこのゲームを極めてやらあ! で、お前を倒す!」
「つまり、この場は負けを認めて練習してくるってことでいいですね?」
「ちーがーう! 負けてねーって言ってるだろ!」
「いくら不死身のパイロットが二つ名だからって、往生際が悪すぎですぅ!」
はい答え。
20歳近くです。
それを忘れないでいただきたい。
と、言うところでまさかの次回へ続く。
いいのかね、ほんと。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心のもうやめて放せは続く――
「明日お前、来なくていいから」といきなり職場で言われてコンバンハ。
クビかよ俺なんかしたかよと思ったら上司が俺の四月分の公休を日程表に入れ忘れてただけだったサヨウナラ。
ボロが出るから早く終わらせようとしているのに終わらないミレイナカードゲーム編……。
69:通常の名無しさんの3倍
09/04/13 23:30:46
乙wwwwww
スーダラ不死で早速吹いたwwwwwwwwww
70:通常の名無しさんの3倍
09/04/14 01:16:53
乙
「あえて言おうカスであると」を横文字風にしたのに吹いたww
71: ◆ZUiqHOGvTU
09/04/14 16:52:52
職人不足に俺惨状!
…って、種なのは続いてねーやorz
その上、腱鞘炎で肩から先は安静にしろ言われてるorz
種死SSスレ放り投げだorz
メンサロ板に帰ります(´・ω・`)
72:通常の名無しさんの3倍
09/04/14 17:00:07
北斗七星の横で輝く星とか不吉すぎw
73:通常の名無しさんの3倍
09/04/14 17:45:49
死兆星かw
74:通常の名無しさんの3倍
09/04/14 20:12:24
俺目が悪くて、死兆星どころか星が6つしか見えねぇ…
75:通常の名無しさんの3倍
09/04/15 11:12:20
しかしカードゲームとはw
幅が広いのかそれとも一種の迷走なのかわからんZE☆
76:57
09/04/15 19:19:27
>>63
確かにデモクトでは相打ち取れずコラクトでやっと相打ちだから、コーラの効果に絞って不死身って方を
強調したほうが良かったかもしれんが、単純な強さを強調したかったので。
とりあえず俺からのGWネタの最後に、このカードを紹介しよう。
AEUのエース
戦場に出ると、帰ってきます。(意訳)
77:通常の名無しさんの3倍
09/04/15 19:20:41
訳しすぎだwwwwwwwwwwww
78:通常の名無しさんの3倍
09/04/15 19:25:49
とあるリアル軍人の説話
――あなたは戦場で多くの武勲をあげられました。勲章もたくさん授与されました。
それは、やはりあなたに軍事的才能があったからでしょうね。
「違うね。運と、他者より少し頑丈な体のおかげだよ」
79:通常の名無しさんの3倍
09/04/15 19:27:48
結局幸運の女神を惚れさせたコーラさんが最強ということか
80:通常の名無しさんの3倍
09/04/16 13:58:16
イエス
81:通常の名無しさんの3倍
09/04/16 17:23:41
いつのまにかまとめのほうが追い付いてるw
誰かはわからんが、編集人GJ
82:通常の名無しさんの3倍
09/04/16 21:27:43
>>79
御名答、00での一番の勝ち組はコーラさんさ!!
83:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/17 00:00:51
不死が出た出た 不死が出た シュワシュワ
ガンダム最終回の 中に出た
あんまり展開が 凄いので
さぞや視聴者 嬉しかろ イヤホイホイ
一落ち二落ち三落ち越え シュワシュワ
気付けば未聞の 八回落ち
何ぼ出番が 短いとて
印象が強けりゃ 彼の勝ち イヤホイホイ
コーラが本気で 慕うので シュワシュワ
思い切ります 嫁ぎます
カティ・マネキン 准将に
なるけど 嫁ぎます イヤホイホイ
はい、炭鉱不死。
二度同じネタを続けるとゲップが出るかもしれませんすいません。
歌詞ネタは必殺ネタより引っ張れそうだけど、どこまでやら。
◆ ◆ ◆
さて、幸せ家族計画パトリック・コーラサワーと、
オタクの蒼き流星ミレイズナー、じゃないミレイナ・ヴァスティのトレカ対決である。
コーラサワーの暇潰しがミレイナの暇潰しになり、
トレーディングカードゲーム『Noir et blanc』で素人のコーラサワーを達人のミレイナがボコボコにしたのが前回までのお話。
どれくらいボコボコかって言うと、旅立ったばかりの勇者をいきなりラスボスの魔王が襲うくらい。
で、元来負けず嫌いで自称当方不敗のコーラサワーが我慢出来るはずもなく、
一週間の特訓期間を経て再度決着をつけるためにガチンコ勝負となった次第である。
やあ、今日も世界は平和でプリベンターも平和だね、と。
「ふっふっふ、とうとうこの日が来たな、オデコ娘三号」
颯爽と青コーナー(ただの本部のドアである)から入場してきたのは、
不死身と幸せが同居している男、魂がパンジャンドラム、パトリック・コーラサワー推定33歳。
「一週間程度頑張ったところでこのミレイナに勝てるとは思わないことですぅ、スペシャルさん」
対して赤コーナー(そんなもんはナイ)に堂々と構えるのは、
ツインロールパンナちゃん、無重力空間であのミニスカは誘ってるとしか思えませんぞ、ミレイナ・ヴァスティ14歳。
両者の間に横たわる年齢の大河、その幅実にほぼ20歳。
下手すりゃ親子で通じる差であるが、外はともかく中はほとんど対等であるのだから恐ろしい。
「後で吠え面かくな、オデコ娘三号」
「そっくりそのまま返すですぅ、スペシャルさん」
バチリ、と二人の周囲の空気が帯電する。
超能力を持った人間がこの場にいたら、コーラサワーからもミレイナからも白いオーラが出ていたのが見えたことだろう。
84:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/17 00:04:32
「今日は逃げられないですよスペシャルさん、ミレイナ、お仕事はぜーんぶ終わらせてるですから憂いはありませんですぅ」
「おおよ、邪魔も入らねーぜ。何故なら他の連中は皆出張しているからな」
レディ・アンの秘書としての今日の分の仕事を全部終わらせたミレイナ、
そして本部に一人残されたコーラサワー、果たしてどちらが社会人として偉いのか、
これは語るまでもないというか語ること自体が間違っているので敢えて語らない。
「ルールは公式のトーナメント基準でいきますぅ」
「おうよ!」
「自信満々ですけど、わかってるんですかぁ?」
「スタート時のフィールドはランダム! 場の上限コストは両者700! カードは最新拡張版まで対応!」
「へええ、バッチリ覚えてるですねえ」
「模擬戦2000回不敗、不死身のスペシャル様を舐めるんじゃねーぞ」
「ま、あんまり威張ることじゃないですけどー」
さて、『Noir et blanc』の公式対戦ルールである。
まず両者手持ちのデッキから一枚適当に引き、そのカードのレアリティが低い方が先行となる。
対して、レアリティで負けた後攻のカードの属性がその場のフィールドとなる。
ターンでいくと先行が有利だが、デッキによっては後攻めが強くなることもあるため、気を抜くことは出来ない。
そしてフィールドが決まれば、次は手持ちカード10枚の選択に移る。
双方デッキの中から所謂『スターティングメンバー』を決めるわけだ。
残りのカードはシャッフルして裏向きに伏せ、自分のターンで場に出したカードの分だけその山から引くことが出来る。
場の上限コストを、場に出したカードの合計コストが越えてはならない。
また、カードによっては相手の場の上限コストを減らすことが出来たり、自分の上限コストを増やすことも出来る。
強力なカードはその分高コストなため、場の整理は大変重要になってくる。
最終的に、相手のカードを全滅させる、
もしくはカードが出せない(手持ちカードでは単体攻撃出来ない、または上限コストが手持ちカードコストより下)ようにすれば勝利となる。
カードによっては単体より複合(コンボという)で使った方が強いもの、発動まで数ターン必要なもの、
特定条件ではレア並の破壊力を持ったカードも存在する。
出しどころ使いどころ、すなわち知略戦略をもって戦うことが、このゲームを制する秘訣である。
デッキはゲーム開始時の手持ちと場の山を含めて50枚でプレイヤーが自由に組むことが出来るが、
レアリティが10~5の通称銀レア(レアリティ文字が銀色)は3枚まで、
レアリティが4~1の通称金レア(レアリティ文字が金色)は1枚だけしかセット出来ない。
なお、普通に玩具店で購入するにあたって、銀レアは100枚に1枚、
金レアは300枚に1枚の割合でしか袋(5枚入り)に入っていない。
プレイヤー間の売買では、時に破格の値段をつけてしまうレアカードもある。
ちなみにロッチ製は存在しない。
「スペシャルさん、デッキ組んできたんですかぁ?」
「もちろんだ、オトナの財力をバカにしてたら泣きを見るぜ!」
つまり、オモチャ屋にいって買い占めた、と。
箱買いまでならともかく、店の物を全部買っちゃうのは子供の敵以外のナニモノでもない。
子供同士なら「アイツ、金持ちー」「アイツすげー」と羨望の眼差しが入るが、
大人がそれをやると軽蔑の眼差ししか向けられないので要注意。
「じゃあ行くぜ、オデコ娘三号! 尻の毛まで毟り取って泣かしてやる!」
「スペシャルさん、きっと他意は無いと思うですけど、この御時世だと猥褻罪で逮捕されると思いますぅ」
パトリック・コーラサワーとミレイナ・ヴァスティ、
どちらもある意味天才にして超人である二人の戦いが今、幕を開けた――
85:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/17 00:08:46
◆ ◆ ◆
「ミレイナのターンですぅ! 無属性『愛が憎しみに変わる世界(ウボァー・ワールド)』を使用! こちらの単体攻撃の効果を二倍に引き上げるですぅ!」
「俺のターン! 風属性『撃ち砕けないとは違うのだよ撃ち砕けないとは(ランバラル・クシェル)』! 受けたダメージの3/4を反撃で返す!」
「ミレイナのターンですぅ! 水属性『頼れる相棒(シャーネー・ナシャーネ)』を使用! 相手の反撃限定でその分をさらに反撃で返すですぅ!」
「俺のターン! 土属性『静かなる帰還(ヤーラ・レチャ・イマ・スター)』! 発動中の補助効果を両方とも全て解除する!」
まさに一進一退の攻防。
コーラサワーが攻めればミレイナが受け流し、ミレイナが寄ればコーラサワーがいなす。
や、攻防とは言ったものの、何だかどっちも補助系しか使ってない気もするが、まぁ気のせいということで東シナ海に流しておこう。
「ミレイナのターンですぅ! 火属性『四番目の子馬(ステレオ・ポニー)』を召喚! 付帯効果でフィールドを荒野にチェンジですぅ!」
「げっ、いきなりかよ!」
「ここが攻めどころですぅ、双方、残りカード数から言ってここを攻め切った方が勝ちですぅ!」
コーラサワー、この一週間で集中特訓しただけあって、かなりの腕前に成長していた。
達人クラスのミレイナとここまで丁々発止のドツキあいを繰り広げており、
元エースの照合も伊達ではないことを改めて証明している(本当の意味でアタマが悪ければ、そもそもエースになれない)。
まあ特訓相手が天才戦術予報士のカティ・マネキンだったわけだから、上達しないほうがおかしいっちゃおかしいのだが。
はいそこ、何やってんだマネキンさんと突っ込まないように。
ねえ、仲睦まじくていい話じゃない。
推定33歳と推定37歳の結婚を控えた男女がカードゲームの練習だなんて。
「ちくしょう、有効な火属性のカードが手持ちにねーな……ならパスで一枚捨てて山から引くぞ……げっ、ダメだそれでも出せる札がねえ」
「んふふー、スペシャルさん、後手後手ですぅ」
「うるせーよオデコ娘三号、上限コストを考えると無駄にカード出せねーだろが」
「ま、それは正解だと思うですけれども、時には強引に打開策をうたないとダメなんですぅ」
しかし、やはりそれでもミレイナに一日の長あり。
トレーディングカードゲームに限らず、こういった類のゲームは何でもそうだが、
経験者が持つ『流れを読む一種の勘』は非常に強力な武器である。
敵の弱点がわかっても、それを衝くタイミングを計るのは、結局どれだけ場数を踏んできたかにかかってくる。
コーラサワーも模擬戦2000回負けなしだから不足はないのだが、
どうしてもMSのパイロットとカードゲームのプレイヤーでは勝手が違うのだ。
「ミレイナのターンですぅ! 闇属性『問うべき王の器(オーマ・エホードゥ・ノゥ・トコガ)』を使用! 以後3ターン、任意のキャラカードの攻撃を二回に増やすですぅ!」
「俺のターン! 無属性『苛立ちの返信(ナ・ヌ・ティトゥワノゥ・ティサーイ)』! 水・風・闇属性の攻撃を次のターン無効化!」
「ミレイナのターンですぅ! 土属性『求めた母性(ラスン・ワ・ティシノハー・ファーニナ)』を使用! 今までのターンで受けたダメージを半分回復するですぅ!」
「俺のターン! 光属性『ラ・ラ(オカサ・ララガ・ウーワ)』! 相手の場の無属性の単体キャラに一律50のダメージを与える!」
「ミレイナのターン! 水属性『メビウスの大車輪(ビヨンド・ザ・タイム)』を使用! 先のターンで回復した分をそのまま次のターンの攻撃に上乗せするですぅ!」
ミレイナ、トドメに向けて着々と下準備中。
コーラサワーもヤバイと感づいているが、今の時点では文字通りきれる手札がない。
逆に言えば、ミレイナがコーラサワーをじりじりと追い込む、そういう戦い方をしてきたとも言える。
「くそー、俺のターン! 風属性『固き肌と近き耳(アンゼンセ・シューオンセ)』! 次のターン、一時的に場のカードの防御力を1.5倍に上げる!」
攻撃も単発なら、守りもその場凌ぎ。
パトリック・コーラサワー、敗色濃し。
「んっふっふ~」
「な、何だよオデコ娘三号、気色悪い笑い方しやがって」
「スペシャルさん……チェックメイトですぅ」
「何ぃ!?」
ミレイナは半目で薄く笑うと、手持ちのカードから一枚引き抜き、場にピシリと置いた。
86:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/17 00:13:21
「ミレイナのターンですぅ。火属性『猛き黒の翼(エムス・ワ・ドゥ)』を召喚。無理を道理で押し通す、相手の全てのカードに200ポイントの攻撃ですぅ!」
「なんだっとー!」
「しかもレアリティが7の銀レアですぅ。これにより通常数値の二倍の攻撃となるですぅ」
「ぬがー!」
「さっきの『問うべき王の器』の効果で攻撃回数が二回に増えて」
「そんなぁ!」
「さらに『求めた母性』で回復した分が『メビウスの大車輪』で上乗せされて」
「なんじゃあ!」
これぞ、このゲームの特徴である『コンボ』。
補助効果の上乗せで強烈無比な一撃を放つことが可能となる。
無論、それだけに準備が相手にミエミエなわけで防がれることもあるが、
それを簡単にさせないように場をコントロールするのが、このゲームの勝敗を分ける最大のキーなのだ。
上級者ともなれば、一手目から十数手分のコンボを考えてプレイすることもある。
無論、その途中でコンボが逸れることも十分考慮に入れて、だ。
「スペシャルさん、『四番目の子馬』でフィールドチェンジされた時点で負けが半分決まってたですぅ」
「……」
「ついでに言えば、それまでにも布石は打っておいたですけどね。補助系乱発とか」
「げっ、まさか」
「そうですぅ、終盤に補助キャンセルを使わせないために、敢えて中盤までこちらも補助系を多用したですぅ」
恐るべしミレイナ・ヴァスティ。
やはり、カードゲーム勝負ではコーラサワーは勝ち目がないのか、そうなのか、どうするパトリック。
「『固き肌と近き耳』で防御上げても無駄無駄無駄ァーですぅ。場のスペシャルさんのカードは全てオーバーダメージですぅ」
「ぬ、ぐぐぐぐぐ」
「さて、場が全滅した場合にはペナルティがつくのは知ってるですよねー」
「……1ターン何も出来ない、ってか」
「その通りですぅ。で、ミレイナはその隙にこのカードを出しちゃうです」
テーブルの上のコーラサワーのカード(今しがた全滅した)を押し退けて、ミレイナはまた一枚のカードを置いた。
「ミレイナのターン、闇属性『暴君の叱責(バンシー・ニア・タイ・スルー)』を召喚。スペシャルさんのターンをミレイナが3ターン分『前借り』するですぅ」
「なんじゃあああ、そりゃああああ」
「はいはい続いてミレイナのターンですぅ。風属性『超越兵士の夢想(アレ・ハーレー)』を使用、スペシャルさんの次回のターン、手持ちじゃなくて山から一枚強制的に場に出してもらうですぅ」
「なんなんじゃあああ、そりゃああああ」
「まだまだミレイナのターンですぅ。土属性『狙撃手の告白(アイシー・テンヨー)』を使用、次のスペシャルさんのターン、カードの補助使用を使用禁止ですぅ」
「なんなんなんじゃあああ、そりゃああああ」
「で、これでトドメですぅ」
ニヤリ、とミレイナは笑った。
そして彼女が出したカードとは。
「ミレイナの最後のターンですぅ。レアリティ3の金レア、無属性『酒豪の強行決議(ミッション・コンプリート)』を使用ですぅ!」
「ななななななななんじゃああああああああ、そりゃあああああああ」
「スペシャルさんの上限コストを1ターンだけ10にするですぅ!」
「むぐ、ぐ……」
「多少強引ですけど、これでデス・コンボ完成ですぅ。カードの単体での最低コストは20まで、補助系として使えないので絶対にそれ以下には下がらないですぅ」
「……」
「スペシャルさん、出せるものがないですぅ」
「……」
「で、『超越兵士の夢想』を使っているので、手持ちを一枚捨てて山から引いてもらった一枚を場に出してもらうですぅ」
「……」
「つまり、どのカード引いても上限コストで引っ掛かっちゃうので、スペシャルさん強制敗北ですぅ」
87:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/17 00:18:00
すなわち、王手詰み。
ミレイナの勝利宣言である。
「まあ、コストが0の超レアも存在するですけど、そんなの2000袋に1枚の確率でも出荷してないですぅ」
ミレイナは笑みを浮かべると、足を組み替えて胸をそらした。
ここまでやった以上、千を越えて万分の一でも敗北はない。
なお、膝を組み替えた時にコーラサワーに下着がバッチリ見えちゃったわけだが、
勝利の確信でそこまで気が回っていないミレイナさんである。
「……そうかよ、コスト0、な」
「な、何ですぅ?」
「オモチャ屋で売ってる5枚入りの袋、それが2000袋あってもまだ入ってないとびっきりのレア・カードってか」
「え、え?」
「ふ、ふっふっふっふ」
ツインロールパンツ、もといツインロールパンナちゃんの心にさざ波が起こる。
完全に追い込んだ、最早自身の勝利は動かないはず。
それなのに、負けが決まっているこのスペシャル男は、何故笑うのか。
「ふ、フンですぅ。強がりのハッタリはやめるですぅ」
「……まず強制廃棄の一枚を捨てさせてもらうぜ。ルールに従ってな」
「も、持ってるわけないですぅ……! だ、だいたいそんなドえらいカードを持ってたら、スペシャルさんは絶対に顔に出るですぅ……!」
「ふん、一週間俺を鍛えてくれたのが誰だと思ってんだ? あのカティ・マネキン大佐だぞう?」
「な……んで、す……?」
何だか少年誌のバトルマンガのような台詞を口にしてしまうミレイナ。
彼女の視界の中では、コーラサワーが既に山から引いていた一枚のカードを持って構えている。
「確かに最後のターンになったぜ、オデコ娘三号」
「え……!?」
「俺のターン……レアリティ1、コスト0の金レアの無属性『泡沫世界の女神(シュワー・ザ・ワールド)』を召喚」
コーラサワーはピッと、そのカードを場に滑らせた。
レアリティの金の数字が、天井の照明に反射してキラリと光る。
「な……!」
「強制効果発動。今まで受けたダメージ及びコストダウン及び減退系の影響……つまり全部だな、それをひっくるめて一気に返す」
「なあっ!?」
まさにこれは、九回裏の代打逆転満塁ホームラン。
「な、な」
「つまり、デス・コンボは裏返る。俺の勝ちだ」
「な、な、な、なんですぅーっ!?」
「……へっ、模擬戦2000回不敗、パトリック・コーラサワーをコケにすんな」
パトリック・コーラサワー、カードゲームバトルにおいて、ミレイナ・ヴァスティを完全撃破せり。
◆ ◆ ◆
「……で、あの子が泣きながら出て行ったのはそういうワケがあったのか」
「おうよ、まだまだガキだな」
ずずず、とパトリック・コーラサワーは緑茶をすすった。
彼の目の前には、ミレイナ・ヴァスティではなくデュオ・マックスウェルが座っており、
挟んでいる机の上は、トレーディングカードではなくお茶とお菓子が乗っている。
88:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/17 00:21:07
「もう少し早くお前らが帰ってきたら、この俺の華麗な大逆転が見られたのによ」
「いや、見てもしょーがねーし、そんなもん」
コーラサワーが逆転のウルトライーグルパットを決めた数分後に、
サリィ・ポォとガンダムパイロットたちがこのプリベンター本部に戻ってきた。
そして、入れ違い的に大泣きのミレイナが自分のカードをかき集めて出て行った、というわけだった。
「この一週間、遅刻と早退を繰り返していたのはこのためだったのかよ」
「おうよ」
「……サリィに首が二周半するくらい殴られて来いよ」
デュオは溜め息をついた。
そして、テーブルの下に落ちていた紙の一枚のカードを拾い上げた。
「……無属性『永遠の円舞曲(エンドレス・ワルツ)』、なんだこれは」
「ん、オデコ娘三号が忘れていきやがったな」
「ふーん」
デュオはそのカードをテーブルにそっと置くと、自分も湯呑を手に取った。
もう少し、あと一分もしないうちに、他の面子もこの部屋に茶を飲みにやってくるだろう。
「しかし、結局は運だけで勝つのな、お前は」
「運て言うな、実力だ、実力!」
「へいへい、運も実力のうちってね」
ぐい、と湯呑を傾け、熱い液体を喉に流し込みつつ、デュオはさっきテーブルに置いたカードに視線を走らせた。
そのカード、『永遠の円舞曲』には、効果の欄にこう書かれていた。
『この混乱の円舞曲は、沈静効果のあるカードを出すまで永遠に場の属性を無効化し続ける』
「……つまり、つきあって踊り続けろ、ってか」
「ん? 何だよみつあみおさげ、俺の顔に何かついてるのか?」
「いや、別に」
デュオは小さく苦笑すると、きゅうすを持つと、腰を上げてポットに近づいた。
おそらく自分と同じ、コーラサワーの自慢話を聞かされるであろう後続のガンダムパイロットたちのために、お茶を淹れてやるために。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く――
コンバンハ。
カードゲーム編駆け足で終了、さて次からまたどうしよサヨウナラ。
89:通常の名無しさんの3倍
09/04/17 00:30:21
乙でした!
カードの名前に笑いまくりwww
90:通常の名無しさんの3倍
09/04/17 01:14:19
乙www
自分がイヤッフーするためならどんな努力もいとわないコーラさんwww
91:通常の名無しさんの3倍
09/04/17 13:27:10
この架空ゲーム、カードゲーマーから見てどうなん?
92:通常の名無しさんの3倍
09/04/17 21:31:03
コーラさん、子供相手にむきになるなんてww
93:通常の名無しさんの3倍
09/04/18 17:54:57
いつでも全力投球、それがコーラさんですw
しかし土曜日の人、ネタがないない言っときながら00開始時からほぼ毎週投下しとるな
何がガソリンなんだよw
94:通常の名無しさんの3倍
09/04/19 10:18:10
模倣氏はしばらく休むといってたが、不定期氏や水曜日氏はどうしているだろうか…
95:通常の名無しさんの3倍
09/04/19 12:15:47
読む側からなんかネタでも提供したらいいのだろうか>ネタ不足
そもそもこのスレのSS、ジャンルは何だ?
96:通常の名無しさんの3倍
09/04/19 23:47:41
>>95
コーラサワーしかないだろ
97:通常の名無しさんの3倍
09/04/20 17:13:06
次はオンラインゲームで対戦だな>コーラとミレイナ
98:通常の名無しさんの3倍
09/04/20 22:17:28
運だけでレアアイテムを稼ぎまくるコーラさんが見える
99:通常の名無しさんの3倍
09/04/21 16:45:26
ありそうだw
100:通常の名無しさんの3倍
09/04/21 16:47:39
>>97
ギャルゲとエロゲならコーラの必勝だろう。
BLならミレイナに軍配。
101:通常の名無しさんの3倍
09/04/21 17:29:00
>>100
後者は無理ゲーwww
102:通常の名無しさんの3倍
09/04/21 18:00:03
コーラ「男なんて落とす気にもなれねぇ!mjd無理!!」
ミレイナ「それじゃ勝ちはいただきですぅ♪」
103:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 07:18:08
皆の思い出に残るゲームは?
104:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 09:04:10
Wの格ゲーがあると聞いて探しまくったのは良い思い出
105:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 11:37:00
アークザラッド
2のラストで泣いた。
決戦前のプロポーズはあれ以来最強の死亡フラグと思っていたが
コーラさんが見事にへし折ってくれたので漢として惚れたw
106:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 14:05:50
マイクロキャビンの幻影都市(イリュージョンシティ)
PC98、ウンズ、ロッパー、MSXターボR、メガドラで出てたサイバーパンクRPG
20年近く前のゲームですがなにか
107:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 14:34:47
黄金の羅針盤
ライラじゃないよ、リバーヒルの推理ものだよ
うんずでプレイしてラストでマジ泣きした
108:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 14:46:05
マニアックな流れを読まずガンパレード・マーチと言ってみる
オーケストラは認めない……!
109:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 16:07:36
なんか本スレといいここといい、微妙におっホイ化してないかw
格闘ゲームならやはりストシリーズだな、やりこんだのは後期シリーズだが
初代スト2をはじめて体験したとき、そのスピードの遅さに逆に新鮮だった記憶がある
あとは光栄(コーエーではない)の太閤立志伝と大航海時代のリコエーション系
コーラが主人公のゲームとかあったらいいのにな
110:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 18:15:46
>>109
URLリンク(ranobe.com)
111:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 21:20:26
やっぱりそういう系統になるわけだ…
112:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 23:30:49
>>110
やってみたいなあw
113:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 23:42:06
>>110>>112
イベントでwktk(ry
しかも最後は結婚式なんだぜw
114:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 23:49:46
原作キャラでは真ヒロイン大佐ルートと、絹江さんルートと、ソーマルートがあるよ!
ソーマは恋愛にはならないけど
115:通常の名無しさんの3倍
09/04/22 23:57:40
スメラギさんはないのか?
まさかのルイスだと略奪愛。
アニューだったらリターンをどうすんだコーラw
116:通常の名無しさんの3倍
09/04/23 07:11:32
だめだ!
コーラは准将一筋だっぜ!
117:通常の名無しさんの3倍
09/04/23 07:58:24
真ED…妻子そろった至福のコーラサワー
カティノーマルED…結婚式で幸福のコーラサワー
ノーマルED…軍で不死身のコーラサワー友情ED…バーで意気投合したラッセと―
BADED1…生死不明で続く
BADED2…本編がシリアスで出番無くFO
BADED3…カティの部下止まりで終わる
BADED4…金髪女とイチャつきED
ちなみにEDはBADも含めてすべてアニメ付
118:通常の名無しさんの3倍
09/04/23 09:31:15
この説明だけ見るとBAD4がマトモなEDに見える件
119:通常の名無しさんの3倍
09/04/23 10:15:58
コーラは多分当たり判定が1ドットしかない
120:通常の名無しさんの3倍
09/04/23 22:38:06
>バーで意気投合したラッセと―
おいwwww
121:通常の名無しさんの3倍
09/04/24 12:11:09
どう意気投合するってんだw
122:通常の名無しさんの3倍
09/04/24 13:09:25
「テメェわかってねえだろ!、俺はドMで、2000人斬りで、ノンケなんだよぉ!!」
どう意気投合せよと(ry
123:通常の名無しさんの3倍
09/04/24 14:23:13
コーラはMじゃないと書いてありましたよ
殴られたことと惚れたことに直接の因果関係はないですよ
124:通常の名無しさんの3倍
09/04/24 16:39:09
>>123
Mじゃない>どこに?
「Mじゃない」とわざわざ書いてあることに今びっくりした。
教えて>>123orz!
125:通常の名無しさんの3倍
09/04/24 16:42:58
URLリンク(ranobe.com)
はい。アニメディアのコーラ特集のときね。
126:通常の名無しさんの3倍
09/04/24 16:47:40
>>125
㌧クス!仕事の速さにも驚いた。
こんなこと書くんだメディア。
コーラ特集か。いいな。
小ネタ満載なんですね分ります。
127:通常の名無しさんの3倍
09/04/24 17:40:17
土曜日氏以外の職人、どうしちゃったんだ
128:通常の名無しさんの3倍
09/04/24 22:49:50
>>127
そういや音沙汰ないね・・・
129:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/25 01:23:25
ちょっとあれ見な エースが通る
スペシャルだぞと 軍内騒ぐ
炭酸サンバ 炭酸サンバ
イヤッフサンバ イヤッフサンバ
アイツの噂で女神も走る
それにつけても コーラはなんなの
言動一つにキリキリ舞いさ
ヤッフヤッフヤッフ スペシャルアンドヤッフ
最後に決めたぜカティをゲット
そん時 コーラは スーパーヒーローさ
ヤッフヤッフヤッフ ハッピーアンドラッキー
萌えて映画も 駆け抜けろ
さて、プリベンターである。
統一された世界政府において、治安を維持する各警備隊と警察を除けば、
唯一つの『犯罪と暴力を取り締まる』組織である。
その存在は公になってるのかなってないのかわからんが、
とにもかくにも、現在の政府が目指す恒久的な平和を守るためには欠かせない隠密同心的な集まりなのだ。
選ばれたメンバーも当然の如く、その道のスペシャリストで、
かつてOZの暴走を食い止めたガンダムパイロットをはじめ、錚々たる面子が名前を連ねている。
間違っちゃいない、うん間違っちゃ。
はいそこ、笑いを堪えないように。
笑うなら思い切り笑え、笑ったらいいじゃないのさ。
べ、別にアンタのために以下省略。
◆ ◆ ◆
「何時の間にやら花見のシーズンも終わっちまったなー」
「脳内が年がら年中花満開の奴が何言ってやがる」
アザディスタンでの一件が終わってから、世界は実に無事平穏、荒々しい出来事はまったくない。
あの事件が世界的な出来事だったのか、という点については、
いささかの認識の差があるだろうが、プリベンターにとって大事件だったのは疑う余地の無いところである。
引き続きレディ・アンの主導の下で捜査が行われているし、
ビリー・カタギリなど外部の協力もあるものの、目立った進展は無い。
この辺りは、さすがにアリー・アル・サーシェスとその一党はそっちのプロであり、
またその背後にいるイノベイターの影響が強いというわけだった。
プリベンターがイノベイターの裏の顔を知る(表の顔はアイドルグループであるからして有名ではある)のは、ちょっと先のお話になる。
何しろ無計画にここまで書き散らしてきたわけで、
そんな先のことまで見据えて展開なんか考えてないとぶっちゃけておく。
ね、人生は臨機応変、行きあたりばったりが魅力なんです。
「桜の花を見ながら酒を飲む、春のイベントとしてこれ以上のものはないだろーが」
「お前は人生最大レベルのイベントがもう少し先に控えてるだろ」
「……まーな」
「いっちょまえに照れるな、鼻の下を伸ばすな、この極楽炭酸人間が」
「褒めるなよぅ」
「褒めてねーよ!」
130:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/25 01:24:35
相も変わらず、プリベンター本部ではパトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェルの掛け合い漫才が繰り広げられている。
これなくして、何のプリベンターかな。
「招待状がもう少しで刷り上がるんだよ、大丈夫、お前らの分も用意してあっから」
「俺たちに出ろって言うわけ? 結婚式に」
「ありがたく思えよー」
「そりゃ礼儀として参列せにゃならんだろうが……」
さすがに世界を守る隠密同心としては、全員が全員結婚式に出れるわけでもない。
何かあった時のために、本部に動ける人員は残しておく必要がある。
その座を巡って熾烈な争いがコーラを除くメンバーで繰り広げられることは必至である。
結婚式に出るための争い、ではない。
残るための争いであるので、あしからず。
「無難にカトルあたりにお願いしたいところだけどな」
下手に五飛やヒイロを参加させようものなら、コーラサワーの言動次第では式が破壊されかねない。
そうなったらコーラサワーはともかく、相手のカティ・マネキンや両家の家族に申し訳が立たないというものである。
が、それもまた先に述べた残留争いの結果によるであろう。
全ては神の味噌汁、ではない神のみぞ知る、というわけだ。
「マスコミも呼んで大々的にやりたいくらいだぜ、ホントは」
「どこの芸能人の結婚式だよ」
コーラサワー曰く、式のプログラムについてはほとんどがカティ・マネキンが主に取り決めているとのこと。
さすがに秀才と謳われた戦術予報士、コーラサワーに任せる気はなかったようだ、と思うデュオである。
「MS(ミカンスーツ)に乗って登場、とかな。やりたかったんだが」
「教会を潰すつもりかよ」
「俺の操縦テクは知ってるだろーが、俺はエースだぞ、スペシャルエース!」
「……教会は無事でも、式は潰れるだろうな」
「ライスシャワーも派手に飛行機から撒いたりだな」
「さぞかし痛いだろうな、降ってくるのに当たったら」
「ブーケトスもこう、ぶわっと100束くらい」
「どうやって放り投げるんだよ、一つ一つやるのか?」
デュオは溜め息をついた。
そして思った。
結婚式だけではない、あらゆる行事でコイツに責任者を任せてはダメだ、と。
別の意味でマスコミに取り上げられることに成りかねない。
「でもノートルダム大聖堂でやりたかったなあ、パリの」
「……特級の世界文化遺産だぞ、オイ」
「じゃあランスの」
「戴冠式でも行う気か」
「アミアンでも」
「ハネムーンの代わりに巡礼に出ちまえ、いっそ」
嗚呼、プリベンターは今日も平和である。
願わくば、この安寧の日々が少しでも長く続かんことを。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く――
コンバンハ。
自分でやってて何ですが、ミレイナ出すと話を持ってかれるので今後の使いどころが難しいですサヨウナラ。
131:通常の名無しさんの3倍
09/04/25 02:07:12
投下乙!
最終回のまともな結婚式の裏側に
こんな事情があったらと思いワロタw
思えばすごくまともな結婚式だった・・・。
コーラに何か!やられても困るんだが。
確かにミレイナの役どころは美味しすぎた希ガス。
あなどれない小娘でした。
132:通常の名無しさんの3倍
09/04/25 17:04:12
諸刃の剣だな、ミレイナ
133:通常の名無しさんの3倍
09/04/25 20:51:12
皆はコーラさん以外に誰が好き?
ここじゃなくて、本編準拠で
俺はグラハムになるなー、最後らへんは映画があるという点ではしょられた感じはあるけど
一本ネジが翔んだ感じのキャラは惹かれるよな、何故か
134:通常の名無しさんの3倍
09/04/26 09:33:16
>>129
ヤッフヤッフヤッフが沖田の声で再生されましたwwwwwwwwww
135:通常の名無しさんの3倍
09/04/26 13:50:42
映画って来年のいつだっけ?
136:通常の名無しさんの3倍
09/04/26 19:16:52
>>133
男ならアリーかハワード
女ならミレイナ一筋だが
まあ確かにぶっ飛んだキャラってはずしたらあれだけど、ツボにはまればかなり惹かれるよな~
137:通常の名無しさんの3倍
09/04/27 18:45:51
そういう意味ではコーラはラッキーなキャラだったな
インパクトがものすごく強い
138:通常の名無しさんの3倍
09/04/28 10:46:10 mAyXTYqX
あげ
139:通常の名無しさんの3倍
09/04/28 14:53:30
ダイエットコーラサワー
140:通常の名無しさんの3倍
09/04/28 21:56:52
>>133
荒熊さんかな
141:通常の名無しさんの3倍
09/04/28 22:10:52
まとめがとうとう100話に達してる件
142:通常の名無しさんの3倍
09/04/28 23:41:48
100話達成おめでとうあげ
143:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/29 16:57:05
不死身のように コランザム コランザム
ここは宇宙(そら)の果て 流されて彼
あぎゃに蹴られて 無傷で還る
コーラサワー 癒し放って
コーラサワー 弾ける力
カティ目指して 心を開く
不死身の肉体 奇跡を乗せて
バカかエースか 新橋閃光
不死身のように コランザム コランザム
不死身のように コランザム コランザム
「あー、暇だなあ」
「口を開けばそればっかりだな、最近」
「ふあああああ」
「欠伸するな、コラ」
「春だし眠たくもなるだろーが」
「昨日、何時間寝たんだよ」
「八時間」
「十分じゃねーか!」
今日も今日とて、パトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェルの漫才が繰り広げられている。
いつもと違うのは。
「しかし、実際暇だしなー」
「いや、今仕事中だし……」
プリベンター本部ではなく、仕事先で展開されていたことだろうか。
◆ ◆ ◆
アザディスタンでの一件以降、プリベンターは穏やかな日々を過ごしている。
アリー・アル・サーシェスの追跡、
そしてビリー・カタギリのパソコンにハッキングした相手の調査は、遅々として進んでいない。
何しろ手掛かりが少な過ぎるので、いかにレディ・アンの捜査網が強力でも、
無に近いところから有を弾きだすことは出来はしないのだ。
「だいたいな、こんなの仕事って言うのかあ?」
「立派な仕事だろ、警備は」
「でもよ、ハッキリ言ってコレはテロの対象になるとは思えないんだが」
「物好きなテロリストがいるかもしれないだろ」
「どんな奴だよ」
「お前みたいなのな」
「……そうか」
「冗談に納得するのかよ! おい!」
144:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/29 16:59:40
今日、プリベンターは警備の仕事で出張っていた。
彼らが守るのは、政府直属である『新軌道EV建設委員会』の面々である。
現在、世界には三本の軌道EVがある。
ソロモン諸島の『天柱』、南米の『タワー』、アフリカの『ラ・トゥール』であり、
それぞれ5万キロメートルの高度で、軌道上を囲むように太陽光発電システムに直結している。
そして、今日委員会が調査を行っているのは、四本目となる軌道EVの建設予定地の視察なのである。
「政府転覆を狙う奴らがまだ残ってるのは確かなんだぞ」
「でもなー、例えばどっか一本でも壊してみろよ、エネルギー問題で地上はてんてこ舞いだぞ」
「そういうことになるな」
「化石燃料がほとんど用無しになった今、そんなことしたら例え政府を潰しても自分たちの首を絞めるだけだろ」
おおコーラサワー賢い、などと思ってはイケナイ。
この時代に暮らす者なら、これは常識レベルのお話。
実際にはまだ化石燃料によるエネルギー産出はある程度継続可能なのだが、
環境に与える影響等その他諸々を考えると、旧時代化しているというのが現状である。
ハラペコショタ姫ことマリナ・イスマイールのお国アザディスタンを始めとする中東諸国が、
世界に対する発言力を失ったのは、実にこの問題が大きい。
カトルの実家であるウィナー家も石油の利権で大きく富を伸ばした豪商だが、
エネルギー問題過渡期においてその立場を落とさなかったのは、
当主が代々目敏いタチで、先々を見据えて色んな手を打っておいたからである。
「思いつきやウップン晴らしで軌道EVに傷でもつけたら、それこそ下手すりゃ終身刑だろーがよ」
「だからこそ衝動的なテロリズムは怖いんだろ、ほれ、お偉いさんたちが移動するぞ」
実は、正確には新たに建造計画中のこの軌道EV、『四本目』というわけではない。
現在建っている三本の、言わば補助的なものとなる予定である。
軌道EVはその性質上、赤道上に地上との隣接点があるのが望ましい(赤道上しかダメ、ということはないそうな)。
「でもよう」
「まだ何かあるのかよ」
「海のど真ん中だぜ、ここ。四方は見渡しがきくから、襲撃なんてやりにくいと思うんだがよ」
「海中と天空があるだろ」
「それぞれ警備隊が配置されてるじゃねーか。俺たちがいる意味ねー」
「……政治的な問題もあんだよ」
この『補助EV』はそもそも、太陽光エネルギーのためというより、欧州側の発着拠点の意味合いが強い。
大西洋に移動式のメガ・フロートを作り、そこにアース・ポートをこしらえることで、
アフリカのラ・トゥールにかかる負担を少しでも減らそうというのが本当の目的だったりする。
宇宙に行く人、地上に戻ってくる人は多い。
物資の輸送などは、マスドライバーに頼る部分が大きいのも事実。
現在、宇宙は人類に残された数少ないフロンティアであり、
宇宙開発を進めることで人類の未来が開こうとするのは、これはSFでもなんでもなく、
地球上をほぼ押さえつくした人類が取るべき当然の方針なのである。
なお、プリベンターと調査団がいるのは、かつて海底資源を採掘するための海上ベースだったところ。
ここを基点としてメガ・フロートが作られることになっている。
「あのOZだってそうだっただろ、思いっきり強引に軌道EVの計画を拡張しようとしてたじゃないか」
「……そうだっけ」
「そうだっけってお前……本当に軍人だったのか」
デュオは溜め息をついた。
軍人らしくない軍人コンテストがあれば、間違いなくコイツは上位に入っただろうな、と思わざるを得ない彼である。
145:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/29 17:01:16
「いずれはコロニーともどうにかして繋げるつもりだったらしい」
「出来るのか、んなこと」
「さあね、正直俺は無理だと思うが、そういうことを言うことでコロニーへの牽制になると考えたんだろ」
現在、コロニーも統合政府の内。
過去の諍いなどから未だ地上とコロニーの関係はスムーズではないが、
それでも統一した政体の下で、関係者は足並みを揃えようと力を尽くしている最中である。
「おい、見ろみつあみおさげ」
「何だ、仕事しろ」
「ちんちくりんの奴、寝てるぞ、立ったまま」
「何ィ!?」
デュオはコーラサワーの指差す方を見た。
丁度調査団を挟んで向こう側、確かにコーラサワーが言うところのちんちくりんことヒイロ・ユイは目を瞑っている。
「……いや、あれは寝てるんじゃないだろ。アイツはあんな感じだ、いつも」
「本当かあ?」
「ヒイロとは俺の方がお前より付き合いが長い」
つまり、お前よりよく知っている、ということを暗に匂わすデュオ。
実際、ヒイロはそんな感じである。
「何か投げつけてやろうか」
「やめとけ、んなことすると後で仕返し喰らうぞ」
「フン、ちんちくりん一人に遅れを取るこのスペシャル様じゃねえ」
「いつだって遅れ取ってるくせに。それに、悶着起こすと多分五飛も関わってくるぞ」
「丁度いいじゃねーか。俺の真の実力を見せてやらぁ」
「そうなると、トロワも参戦だな。ついでに言うと俺もだ」
「フルボッコするつもりかよ!」
「あ、やっぱり四人相手は自信無いか」
ちなみに、今回警備の仕事として来ているのは、
コーラサワーとデュオ以外では、現場指揮のサリィ・ポォ、ヒイロ・ユイ、張五飛、トロワ・バートンといった面子。
コーラサワーだけが異質だが、正味の話、警備の仕事だからといってあんまり彼だけをハブるわけにもいかないのだ。
仕事の機会は均等に、平等に。
いくら問題児だからと言っても、同じ組織にいる以上は、やっぱり同じ仕事をしてもらわなけりゃ困るって話である。
「んで、いつまで俺たちは海風に吹かれてりゃいーんだあ?」
「そりゃ調査が終わるまでだろ」
「げっ、まさか一か月とか言うんじゃないだろうな」
「……安心しろ、俺達がここにいるのは今日だけだ」
「何だそりゃ、やっぱり俺らが警備の仕事する必要ないじゃねーか」
「だから、政治的な問題でもあるって言っただろ」
プリベンターはレディ・アンが結構無理をねじ込んで作り上げた組織。
政府内では、正直快く思わない連中も結構いる。
そういう人たちの誹謗中傷をかわすためにも、こういった仕事に出なければならないことは多々あるのだ。
もっとも、「一日だけか、お客さんだな」と結局言われちゃうわけだが。
「そろそろ私語は慎もうぜ、サリィに怒られちまう」
「うー、今日の晩飯、何にしようかなあ」
「……おいコラ」
派手な仕事以外では、とことんやる気がないコーラサワー。
自分が輝ける舞台にしか興味はない、何ともスバラシイ性格な推定34歳童顔中年であることよ。
自らに正直に生きる、感情のままに生きるヒイロと似て……いや、何か違うな。
146:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/29 17:01:58
「ん……?」
「また何か?」
「いや、見知った顔が」
「ハァ? 何処に? 委員会の調査隊にか?」
「一番後ろにいる、あれは……」
「見間違いだろ、お前とは縁も所縁もないカシコイ人たちなんだぞ」
「いや、見間違いじゃねーな……ちょっと声かけてくるわ」
「お、オイコラ! 仕事ほッぽり出すな!」
「何、一声かけるだけだって」
コーラサワーは持ち場を離れた。
調査隊の一番後方、やや離れた位置に立っている一人の人物を目指して、歩を進める。
黒い鞄を両手で持ち、学者とは呼べぬ若さの、何より雰囲気が全然周囲と違うその人物とは。
「よー、久し振りだなー」
「あ……貴方は!?」
と、いうところで次回へ続く。
さて誰でしょうか、と。
プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く――
一年以上出てない人ですコンニチハ。
しかし自分ずっと何やってんだかサヨウナラ。
147:通常の名無しさんの3倍
09/04/29 17:47:57
ザブングル懐かしすぎて目からコーラが
148:通常の名無しさんの3倍
09/04/29 19:16:25
誰だ、コーラの知り合い…
149:通常の名無しさんの3倍
09/04/30 15:39:26
過疎
150:通常の名無しさんの3倍
09/04/30 17:30:23
続きがめっちゃ気になる…
151:通常の名無しさんの3倍
09/04/30 21:43:13
まとめ見てると語句がちょこちょこ改編されてるが、作者=まとめ人なのか?
もし違うのならまずくないか
そうでもないのかどうなのかイヤッフー
152:通常の名無しさんの3倍
09/04/30 22:35:00
でも本人じゃなきゃ改変しないんじゃないか?
自分なら絶対やらんと思うけど。
自分もコーラさんの知り合いが誰か気になるイヤッフー
153:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/04/30 23:38:18
私はまとめ人じゃないです。
全然構わないのでおかしいところがあったらガンガン編集して下さい。
154:通常の名無しさんの3倍
09/05/01 16:56:18
あっさりな人だな
155:通常の名無しさんの3倍
09/05/01 17:04:44
好感もてますw
太っ腹。
いつも楽しんでるよ~アリが㌧。
156:通常の名無しさんの3倍
09/05/02 09:44:28
そういえばコーラ、結局最後まで少尉のままだったんだろうか
157:通常の名無しさんの3倍
09/05/02 12:14:42
かもしれん
158:通常の名無しさんの3倍
09/05/02 12:53:55
強いかどうかは気にしてる(実際強いと思ってる)けど
階級は全く気にしてなさそうだ。
嫁さんが准将になってるので中尉になってる可能性はあるが。
159:通常の名無しさんの3倍
09/05/03 12:03:57
さすがに連休中はアレかな
まったり逝こうか
160:通常の名無しさんの3倍
09/05/04 16:03:51
保守
161:通常の名無しさんの3倍
09/05/05 11:25:42
連休保守
162:通常の名無しさんの3倍
09/05/05 16:01:53
保守
163:通常の名無しさんの3倍
09/05/06 20:57:26 XwJ9SBi8
浮上
164:通常の名無しさんの3倍
09/05/06 23:03:15
便乗して保守。
でも実際、軍人同士で結婚する時に女性の方が階級が上だったり重役だったりした場合、体面の問題で男性の方を何かしらの功績を称えて昇進させる習慣はあったらしい。
どう見ても差別だろうから今はやってる国無いと思うが
165:名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c
09/05/06 23:38:31
オー オー オー ダブルオー
コーラサワー 123……2000回模擬戦だ
アニメを揺るがす 超兵士コラ
奇跡の戦士だ コーラサワー ブイ
コーラサワースペシャル コーラサワー旋風
コーラサワーボイス
見たかコーラの 必殺の技
愛情込めて カティを呼ぶぜ
我らの 我らの コーラサワー ブイ!
新たなる軌道エレベーターの建設、その予定地(海の上)にプリベンターは来ていた。
アザディスタンの事件以降、通常の業務に明け暮れる彼らであったが、
相変わらずコーラサワーはコーラサワーで結婚を控えている以外は特に変わりはない。
変わりがあっては困るのだが、だいたい損な幹事、じゃないそんな感じである。
はい、あらすじ終了。
ん、誰だねあらすじになってないとか言っている人は。
まぁとにかく、そこでコーラサワーは窮地、じゃない旧知の人物に会ったというわけですとさ。
よほほい。
◆ ◆ ◆
「よー、久し振りだなー」
「あ……貴方は!?」
調査隊というのは、そもそもがお偉いさんたち学者さんたちであるわけで、つまりはそれなりにお歳を召された方々である。
最年少でもだいたい30過ぎ辺りだが、コーラサワーが声をかけたその人物は、
明らかにその年齢に届いておらず、20を越えたちょっとの外見だった。
つーか、男ではなかった。
「看護婦のねーちゃんじゃねーか。何でこんなところにいるんだ?」
「コ、コーラサワーさんこそ、ここで何をしておられるんですか……?」
あ、もう答出ちゃった。
そう、コーラが見つけた知り合いとは、まだ一期の放映中の頃、
ここの物語の中でちょいちょい出ていたあの『看護婦さん』だった。
当時は事あるごとに入退院を繰り返していたコーラさんだが、
現在はとんとご健康になられ、お怪我の一つもなされない日々であるからして、
自然と出番がなくなってしまった彼女である。
つーか勢いと展開の関係でポッと出し完全にオリジナルなキャラですしね、看護婦さん。
かなり本編のキャラも引きずりこんできたことだし、そうそう出張らせるわけにもいかないわけです。
「何って、仕事だよ仕事、プリベンターの」
「そう言えば……プリベンターの皆さんが来てるんでしたね」
思えば最後に彼女が出たのは果たしていつであったのか。
一年以上前なのは確かだが、細かいことは遥か過去に流れた時の大河の中である。