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私が住んでいた集落では、家の軒先に七輪を置いて、パタパタあおりながら調理
していた家庭が多かったが、それで思い出すのが焼肉だ。ななめ向かいのオバサン
が七輪で肉を焼いていたのを、よくツマんで食べたが、ゴムのようにいつまでも
噛み切れなかった。オバサンはいつもしゃがみ込んで、パタパタと肉を焼いて
いたが、私が子供だったので警戒心が無かったのだろう。パンツ丸見えで薄いシミーズ
からは乳首が突起していた。少年の好奇心を満たすには充分だった。オバサン
といっても３０代だったと思う。牛のロースやカルビは当時はとても高かったので
あまり食べたことは無かったが、食べるときは薄切りを七輪の火でかるく焼き
コチュジャンか塩、ラー油をつけて食べた。もみダレに漬け込んで焼くのはモツ
肉だけだった。アボジとオモニも言っていたが、日本に来て食べた朝鮮料理が
とても豪華なのに驚いたようだったが、思うに日本の朝鮮料理は、どう表現した
ら良いのか、どうも李朝宮廷料理に近いのではなかろうか。昭和４０年代までは
一見普通の民家でモグリの朝鮮調理屋があり、私も何度か食べにいったが、今
の朝鮮料理店の調理と味が違っていた気がしてならない。当時は狗肉も予約すれば
食べれたが今ではタブーのようだ。誤解されるかも知れないが、食文化は国、民族
により違いがあり、また日本国内でも違いはあるのでご理解されたい。