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抗生剤の使用による消化管の副作用の大部分は投与中止で軽快するが,なかには重篤なものもみられる.これは腸内細菌叢の乱れに大きな原因があると考えられ,それに対して健常者の便を注腸したり,
数種類の正常腸内細菌叢株の浮遊液を注腸することにより正常腸内細菌叢を大腸内に定着させる試みがある.われわれは今回,くり返す感染症に対して長期に抗生剤を投与した結果,難治性水様性下痢を生じた乳児例に対して,
健常人の便を希釈して患者の大腸内に注入する,いわゆる注便療法を試みたところ,臨床症状が軽快し,腸内細菌叢の正常化が得られた.注便療法は2回にわたって行われ,初回は生食30ml に7.5g の母親の便を浮遊させ,
2回目は生食30ml に6g の母親の便を浮遊させて患者の大腸内に注入された.
この注便療法は本邦でも報告が殆どなく,今後検討されてもよい治療法と思われるので,若干の考察を加えて報告する.