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日本では奈良時代に国家仏教が採用され、肉食全般が禁止されたために、文献上は犬食の風習
も廃れてしまったと考えられていた。民衆の食文化としては犬食が残っていたという見方もあり、
江戸時代に生類憐みの令が出されたのも、浮浪者などが江戸市中でも野良犬を取って食べていた
からだという説もあった。
しかし、江戸時代の武家屋敷の発掘が盛んに行われ、近世考古学の研究が進展するとともに、犬
を食用にしたとしか考えられない、切断され煮込まれた犬の骨格が大量に出土する事例が報告さ
れ、裏では下層民に留まらない広い層にこっそり食用にされていた可能性が有力視されつつある。
本来の犬食は、食用として飼育されたものを食するもので、野良犬を食べるというのは逸脱的と
する見方もあるが、日本を含めアジアでは広く集落や都市内で半飼育、半野良的に犬の群が人間
社会と共存関係にあり、廃棄物処理、よそ者の侵入の警告の役割を担っている状態が、かつては
普遍的に見られた。こうした犬群の一部が、適宜食用とされたのであろう。
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