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子どものための法律講座：／６止（その２止） 法律をうまく使おう
◇ジャーナリスト・江川紹子さん
法律は、社会を良くするため、私たちが幸せに暮らすためにあります。そのために、法律は守らなければならない。これは基本ですね。
ただ、私たちは法律のために生きているのではない、法律のために社会があるわけではないということも、考（かんが）えなければいけません。
◇しゃくし定規でもいけない
例えば、最近、埼玉県でフィリピン人一家の不法滞在問題がありました。フィリピン人の両親が日本に入国したやり方は法律違反でした。
でも、国際社会の中にはさまざまな立場や、やむをえない事情の人もいますから、一人一人の幸福を考えた時に、最終的には法務大臣が
判断するという制度になっています。
結局、お父さん、お母さんはフィリピンに強制退去となり、日本で生まれて、日本の学校に通い、日本語しかしゃべれない中学生の娘だけが、
日本に残る結果になりました。
確かに両親は不法入国したので、悪いです。でも、十年以上、日本でまじめに働いてきました。日本人が嫌がる仕事もしてきました。
少しかわいそうじゃない？ 子どもが家族と一緒に暮らせることを定めた「子どもの権利条約」に照らしたら、これで良かったのかな？
そんなことを、いろいろな角度から考えたり、意見を言い合うことも必要だと思うのです。
◇法律は変えられる
法律は大切だけれど、一つだけではありません。他の国際的な条約も見たり、人間としての思いやりの観点からも考えたりして、
法律をうまく使うことが大事です。法律に使われるのではなくてね。
世の中は複雑で、いろいろな権利、いろいろな問題や利害がぶつかり合うことがあります。そういう時は考える。考えていると、
「分からない」ということに気づくでしょう。それが貴重なのです。
その法律が良いか悪いかを考えることも大事ですよ。この法律は良くないなと思ったら、「変えていこうよ」と声をあげてください。
図書館で調べたり、弁護士さんに聞いたり、新聞に意見を投書するのもいいですね。そして、自分と異なる意見の人と議論してください。＝おわり
毎日小学生新聞 2009年5月29日URLﾘﾝｸ(mainichi.jp)