喪男のとても恥ずかしい妄想 四夜目at MOTENAI
喪男のとても恥ずかしい妄想 四夜目 - 暇つぶし2ch283:('A`)
09/02/19 00:52:13 0
580 :('A`):05/02/18 00:39:55 ID:
>>510の後日談として

もうすぐ退社時間だというのに、得意先でトラブルが起こったらしい。
おれは部長に言われて、電車で得意先に向かう。
今日はついてないな。そんなことを思いながら駅へと向かう。

帰宅するわけでもないのに、通勤の列車に乗り込む。
混雑具合は朝ほどじゃないが、帰宅する学生たちが多い。
若い声が車内に満ちている。
おれの背後で女子校の生徒が
「…で? チョコ渡したんでしょ? どうなった?」などと喋っている。
「…うん…、渡したってゆーか…、ポケットにこっそり入れてきた…」
鈴のような声が聞こえる。
「それで、どうなったの?」と、別の少女の声がする。
すると、また、鈴のような声で
「え…。ううん。…なんにもない。…けど…、メッセージカード入れてたから…」
最後は消え入りそうな声になる。

おれは、そっと後ろをふりかえる。
いつも朝に見かける少女が、同じ制服を着た彼女の同級生らしい少女としゃべっている。
おれのコートにチョコを入れてくれた娘だ。下校時に見かけるのは初めてだ。
おれは小さく息を飲む。

彼女の同級生の少女が
「えー? 手渡ししたんじゃないの?! それじゃ誰が渡したんだかわかんないじゃん?」
と、大げさな声を上げる。
彼女は、少しうつむいて、
「…やっぱ…そうかな…。 うん、でも…渡せたからいいよ…よろこんでくれたかな…?」
つぶやくように言う。
同級生の少女は、
「で、毎朝の憧れのひとには、そのあと会えたの?」と聞く。
彼女は、おれの背中のすぐ後ろで、
「ううん…。 なんか怖くて、登校時間、ちょっと早くしちゃった…」
と、さびしそうに言う。
彼女の同級生が、「…はぁ…」とため息をつく。

おれは、胸が締めつけられる。
そのとき、車内のアナウンスが、おれの目的地の駅名を告げる。電車が減速する。
ブレーキで、くん、と、電車が揺れる。 彼女の背中が、おれの背中に、とん、とぶつかる。
「きゃ…す、すみません…」
彼女があやまる。

おれは振り向いて彼女を見る。彼女も頭を上げておれを見る。
彼女は
「…あっ…」と、小さく驚きの声を上げる。
彼女の目が大きく開かれて、手で口元をおおう。

しゅ、と音がして、電車のドアが開く。
車内にホームの喧噪が飛び込んでくる。

おれは彼女に、
「チョコ、美味かったよ。 ありがとう。 …じゃ、また明日の朝に、いつもの車内で…」
と、笑顔で言う。
両手で口元をおおった彼女の、目が真っ赤に潤む。
おれはドアに向かう。
今日はついてるな、そんなことを思って。
背中に彼女の視線を感じながら。

『限りなく広がる思春期の妄想』スレより


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