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豊かな社会と思われてきた日本の中で長年、女性の貧困は見えにくかった。バブル崩壊後の
長く続く不況などでワーキングプア(働く貧困層)が表面化し、若年男性も生活にあえぐことから
貧困問題に焦点が当てられるようになったが、女性の身の上も一層、困窮している。子どもや、
高齢者の置かれた境遇と合わせ、社会全体で解決策を考える必要がある。
厚生労働省が昨年10月に発表した、全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す
「相対的貧困率」によると、2007年は15・7%と7人に1人以上が該当した。
OECD加盟国の中でも日本は米国などとともに高い貧困率を示しており、働いていても
生活苦を強いられるワーキングプアの出現によって深刻な社会問題となってきた。
しかし、その陰で長年、女性の貧困については解決策が置き去りにされてきたと言わざるを得ない。
2000年に女性団体がまとめた「女性と貧困」の提言は「豊かな日本で貧困問題が隠されている。
経済システムの主流から何らかの形で外れたグループの女性が貧困にあえいでいる」と指摘。
母子家庭だけでなく、高齢者、移住労働者、そしてホームレスなど、立場の違う女性の
それぞれの現実を見据えて問題を提起した。
古いデータになるが、08年の内閣府の検討会に出されたリポートでも、02年の男女別の貧困率は
全年齢層で女性の方が男性よりも高い割合を示し、格差は年齢が上がるにつれて広がっていた。
その15年前の1987年と比べると、20歳代から40歳代までの女性で貧困率が年々増加する傾向が顕著だったという。
ホームレス状態に置かれた30代後半のある女性は「自殺するよりはまし」と話す。4月発表された
厚労省の報告「働く女性の実情」でも、女性の完全失業者は対前年比27万人増と過去最大の増加で
133万人に達している。その陰で貧しい境遇にあるのは、子を持つひとり親の女性、資産や家族
のない女性、高齢の女性たちではないか。
先のリポートでは、課税や社会保障などによる再分配機能も日本は米国同様弱いという。
フランスやドイツが20%を超える貧困率を再分配によって10%以下に抑えているのとは大きな違いだ。
社会全体で福祉や労働政策を見直し、かじを切る時期にきていることは間違いない。
ソース:カナロコ
URLリンク(news.kanaloco.jp)