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「韓国でも日本でも、在日韓国人は依然として、あいまいな立場に置かれている。
両国の複雑な近現代史の真っただ中に置かれて生きてきたにもかかわらず、
十分にスポットが当てられてこなかった」
読売新聞松本支局長の菊池嘉晃氏(45)が25日、自らの著書『北朝鮮帰国事業』を持って来韓した。
日本最大の発行部数を誇る同紙で、社会部や週刊誌『読売ウイークリー』の記者を務めるかたわら、
1959年から84年まで続いた、在日朝鮮人の帰還事業について取材を続け、その内容を1冊の本にまとめた。
「太平洋戦争当時に動員された1世から、帰還事業によって北朝鮮へ送られた人たちまで、
在日韓国・朝鮮人ほど歴史的に数奇な運命をたどった人たちがいるだろうか。
もし、わたしが彼らの立場だったらどうしただろうか」。菊池氏は在日韓国・朝鮮人のこのような運命を
目の当たりにし、いたたまれない思いから、彼らに対し関心を持ち続けてきたという。
「23年前、長野県に住む在日韓国・朝鮮人たちを取材したことがある。太平洋戦争末期、長野に
大本営を移転するための地下壕(ごう)が掘られたが、その工事に多くの韓国・朝鮮人たちが動員された。
80年代はまだ、在日韓国・朝鮮人たちに対する差別が根強く残っている時代だった。そうした事情を
知って胸を痛め、申し訳ない気持ちを抱いた」
長野で抱いた小さな関心は、その後大きく膨らんでいった。94年には韓国へ留学し、成均館大大学院の
修士課程で学んだ。そして、『読売ウイークリー』の記者時代には、在日朝鮮人の夫と共に北朝鮮へ
渡った日本人妻たちの問題、北朝鮮の核問題、金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者問題などを
集中的に取材した。また、在日韓国・朝鮮人や脱北者たちにインタビューを行い、さらに旧ソ連の
機密文書も探り、取材を進めていった。
「北朝鮮がなぜ、25年にわたって帰還事業を進めたのか、もう少し総合的な観点から取材したかった。
以前は“日本政府の謀略”という見方が強かった。反政府的な左派に手を焼き、貧困層が多い
在日朝鮮人たちへの生活保護費の負担が大きかったため、北朝鮮へ送ったというわけだ。
だが、これは真実ではない」
菊池氏は1960-70年代、日本で吹き荒れた「社会主義ブーム」に着目した。また当時、
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は在日朝鮮人社会に強い影響を与えていた。
朝鮮総連によってもたらされた「地上の楽園・北朝鮮」という荒唐無稽(むけい)なイメージと、
日本人から受ける差別の苦しみが、祖国を懐かしむ在日朝鮮人たちに揺さぶりをかけたというわけだ。
これはまったく新しい説ではないが、韓日両国はもとより、平壌や旧ソ連から流出した文献も参考に
本をまとめたためか、菊池氏は自信に満ちあふれた様子で語った。菊池氏の著書について、
日本の学界も「在日韓国・朝鮮人の問題を、客観的かつ総合的に扱った力作だ」と絶賛したという。
「北朝鮮へ渡った在日朝鮮人は、大部分が悲惨な生活を強いられている。だが、ごく少数の人たちは
幹部になった。(金総書記の三男で、後継者に内定しているとされる)ジョンウン氏の母親の高英姫
(コ・ヨンヒ)氏=故人=が、帰還事業で北朝鮮へ渡った在日朝鮮人だったという話もあるでしょう」
菊池氏は最後に、「今後も引き続き、北朝鮮問題に関心を持ち、記事や本を書こうと思う。
これまでの取材が、在日朝鮮人の帰還事業の被害者について正しく理解するとともに、
反省するための小さな火種になればと思う」と話した。
ソース:朝鮮日報
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