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東京・銀座の「天賞堂銀座本店」で今月2日、爆窃団によるとみられる
約2億5000万円相当の高級腕時計が盗まれた天賞堂事件。
爆窃団による犯行は、国内では一時沈静化していたが、ここ数年再び増え始めている。
なぜ彼らは日本を狙うのか。警視庁は来月2日にも捜査員を香港に派遣し、現地で
逮捕・起訴された爆窃団グループについて代理処罰を求めると同時に実態解明をはかる。
「日本からの国際郵便で大量の腕時計が見つかった。天賞堂の被害品ではないか」
事件4日後の1月6日、香港警察から連絡を受けた警視庁の捜査幹部は耳を疑った。
外壁に穴をあけて侵入する荒っぽい手口から、爆窃団の仕業とみていたが、これまで
爆窃団の事件で被害品が発見されることはほとんどなかったからだ。
7日から8日にかけて、香港警察は盗品処分容疑で男女6人を逮捕(うち5人を起訴)。
そのうち実行犯ら3人は天賞堂事件を自供した。彼らの供述などから、これまでベールに
つつまれていた爆窃団の活動実態も徐々に明らかになりつつある。
警視庁や香港警察の調べでは、3人は昨年12月中旬、成田空港から観光名目で入国した。
アジア人観光客向けの簡易宿泊所に滞在しながら、油圧ジャッキなどの侵入道具を調達。
下見を重ねたうえで犯行に及び、盗んだ腕時計は直後に都内の郵便局から国際郵便で発送した。
事件2日後の4日には成田から香港に戻っている。
郵便のあて先になっていた公営住宅などを香港警察が捜索すると、
室内からは天賞堂の被害品を含む約200点の貴金属などが出てきたという。
◇
「爆窃」とは中国語で侵入盗の意味。爆窃団は1980年代後半から徐々に活動を
活発化させ、90年代半ばには香港での発生件数が年1万3000件を超えた。
香港警察は中国本土の警察などと合同で盗品売買の一斉摘発を行うなど、捜査体制を強化。
店側も壁に鉄板を取り付けたり、防犯カメラを増やしたりする対策を講じ、被害は2004年頃から
減少、09年は過去最低の4489件になった。
これに呼応するように、90年代後半から沈静化していた日本での被害は増加に転じた。
04年以降、爆窃団による被害は計117件で、摘発されたのは、わずか1グループ。
警視庁の捜査幹部は、「香港での締め付けがきつくなり、爆窃団対策の緩い日本を
標的にしている」と分析する。
事件後の今月15日、警察庁は全国の宝飾店などが加盟する「日本ジュエリー協会」に対し、
防犯体制強化を求める異例の要請を行った。しかし、天賞堂では、厚さ5センチのコンクリート壁が
いとも簡単に短時間で破られており、店側も対策を考えあぐねているのが実情だ。06年10月に
約1000万円相当の貴金属を盗まれた台東区の宝飾店は、壁に鉄板を張り、店内には広角センサーを
自費で設置したが、男性経営者(52)は「これで安全なのかよくわからない」と不安を漏らす。
同協会の説明によると、大半の店舗は、保有する商品の総額に応じ、
一定の利率で掛け金を支払う盗難被害用の損害保険に加入している。
協会幹部も「治安がいい日本では、コストを削って防犯対策を優先する店舗はまだ少ない」と
打ち明けている。(安井良典、香港支局 槙野健)
◆天賞堂事件=1月2日午前10時25分頃、高級宝飾店「天賞堂銀座本店」の地下1階の
ショーケースから高級腕時計194点が盗まれているのを社員が発見。ビルの外壁には
約50センチ四方の穴が開けられていた。実行犯は赤外線センサーに感知されない
地下1階の一部だけを狙っていた。
ソース(YOMIURI ONLINE):
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