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彼女は、「猫寄せばあさん」と呼ばれていた。
野良猫を愛してやまない彼女がエサをもって公園に立つと、
たちまち数十匹の猫が集まってきた。
三味線製造業者に猫の皮を売る捕獲業者が、彼女に目をつけた。
彼らはばあさんを脅迫し、エサをもたせて公園に立たせた。
警戒心の強い猫たちも、ばあさんがいるので安心して寄ってきた。
捕獲業者は、数十匹の猫を一網打尽にした。
この様子をみていた者がいて、噂はたちまち広がった。
猫寄せばあさんには、近所の猫好きな主婦たちや、
動物愛護団体から非難が殺到した。
ある朝、猫寄せばあさんは公園の立木から首を吊って死んでいた。
そこには、数十匹の猫が集まり、
枝から垂れ下がったばあさんを、じっと見上げていた。