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地域主権工程表 スピードと実効性が肝心
国と地方のあり方を根本的に見直す大改革の新たな出発点となるのか。それとも、大風呂敷を広げただけで尻すぼみになってしまうのか。
「地域主権」を掲げる鳩山由紀夫政権の真価が問われる重要なテーマであることは間違いない。
政府の「地域主権戦略会議」の初会合が開かれ、原口一博総務相が地域主権戦略の工程表案を提示した。
概略はこうである。まず、国が法令で自治体の仕事を縛る「義務付け・枠付け」の見直しや基礎自治体(市町村)への権限移譲など、
地方分権改革推進委員会の勧告を盛り込んだ地域主権戦略大綱(仮称)を来年夏に策定する。
戦略大綱には使途を限定した「ひも付き補助金」の廃止と、これを地方が自由に使える財源として渡す一括交付金化、地方との二重行政と
批判が根強い国の出先機関改革など、マニフェスト(政権公約)を実現に導く基本方針も盛り込む。
国と地方の協議機関は本年度中に法制化するとともに、将来は地方自治法を見直して「地方政府基本法」(仮称)の制定を目指す考えも
取り入れた。
戦略大綱策定から3年後の2013年夏には、こうした地域主権改革の進ちょく状況を総点検したうえで、新たな地域主権推進大綱(仮称)を
つくるという。
一見盛りだくさんの内容である。自民党政権から引き継いだ地方分権改革の「宿題」を片付け、民主党が先の衆院選で掲げた地域主権改革の
「約束」を果たす工程表案でもあるからだ。
もちろん、「改革メニュー」を取りそろえ、衆院議員の任期満了を「締め切り」にして「時間割」を整えただけでは意味がない。鳩山内閣が
肝に銘じるべきなのは、改革のスピードと実効性である。
戦略会議の初会合では地方の代表から注文が相次いだ。上田清司埼玉県知事は「工程表の実施期間は半分に縮めてほしい」と訴え、
橋下徹大阪府知事は「地域間の格差や競争をどう考えるのか。目指す国家像を示してほしい」と発言した。
官僚による骨抜きや政治力の不足で掛け声倒れを繰り返してきた地方分権の歩みと、自治の現場で振り回されてきた地方の不信感を
重ね合わせれば、当然の要望であり、率直な反応でもあろう。
「政治主導」を看板とする鳩山政権の誕生で地方分権=地域主権の改革は劇的に進展するかとも期待されたが、現実は必ずしもそうなって
いない。
地方の要望を踏まえて分権委の勧告通りに見直す項目がまだ3割台にとどまっている義務付け・枠付けの問題や、関係省庁の利害が対立して
調整が難航している国直轄事業の地方負担金廃止論議は、その象徴である。
この国の形を変えよう-と政権公約で地域主権を唱えた「初心」を忘れてもらっては困る。工程表案をたたき台に、改革論議を加速すべきである。
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