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昨年十月にマラソンランナーの現役を引退した、Qちゃんこと高橋尚子さん(37)が新分野で奮
闘中だ。TBS「総力報道!THE NEWS」で、スペシャルスポーツキャスターを始めて約三カ
月。ほかにもラジオパーソナリティー、二〇一六年東京五輪招致応援ランナー等々、多忙な日々を送
る。セカンドキャリアを走り始めたQちゃんは、今、どこに向かって走っているのか。 (高橋知子)
「も~、あれはどうもすいません。ものすごく緊張してしまって。思い出すだけで恥ずかしい」
マスターズに出場したゴルフの石川遼選手に同行、三月に米国から行ったリポートがキャスター初
仕事。その感想を聞くと、顔を赤らめたQちゃんから、こんな答えが返ってきた。自分でも意外なほ
ど緊張したという。
「自分の話をする時には取材でも講演でも緊張することはなくて、実はもっとやれると思ってた。
それがカチカチになってしまって」と、反省しきり。
ほろ苦い“デビュー戦”は、時差の関係で午前二時に起床し、午後十一時半まで仕事を続ける長時
間のスケジュール。リポート時間三分が、三十秒になったりと、ハプニングも多かったとか。「新入
社員の気持ちで日々勉強させてもらっている。最初にハードな取材を経験できたのは良かった」とも
。
取材される側からする側へ。選手の言葉を引き出すのは、難しいと感じるという。「今のところは
反省ばかり。陸上一本でやってきて、陸上以外の競技は素人同然。取材前には過去数年分の記事を読
んで、その競技について自分なりに勉強しています」
心掛けているのは、選手にとって温かい、応援するような気持ちで取材すること。自分の経験から
、選手が聞いてほしくないと思うことは聞きたくないとも。
「調子悪いですね、っていうのは選手が一番分かっていること。それは一番やっちゃいけない。選
手が光を見いだせるような、『そういう考え方もあったか』、『よし』と思える取材がしたい」
現役時代、同じマラソン選手出身の増田明美さんの取材には、励まされることが多かったという。
そんな取材者が目標だ。
今後の活動には、キャスター業を土台とし、三つの柱を掲げる。子どもたちにスポーツの楽しさを
伝え、マラソンの普及に努め、スポーツを通してエコ活動をすることだ。
その一環で、五月にはケニアで行われたマラソン大会に出場。同時に、子どもたちに、寄付された
靴千五百足を届けた。出発前は単純に「子どもたちが笑顔になれば良いな」と考えていたが、目の前
の現実に「十年分の衝撃を受けた」と言い、目を潤ませた。
道なき道の上にふん尿が落ち、衛生状態は最悪のスラムを素足で歩く子どもたち。小さな傷から菌
が入れば、命の危険もある。靴一足が、足を守るだけでなく、命を救う防具なんだと知った。
「子どもたちは、そんな環境でも笑顔で、夢を見ている。その夢を壊しちゃいけない。靴一つが夢
をつなげる。今年だけでなく今後も継続して、靴をおくるプロジェクトを続けていきたいと思う」
陸上界から新分野へ走りだし、多忙な毎日を送る。ある意味、生き方はスピード感が増した。
「今、いろんなことを勉強中。現役時より必死かも。スポーツ選手のセカンドキャリアって、見つ
けて、それを実際やらせてもらって、できるようになるまでがとても大変。今、いろんな人に必要と
され、機会を与えてもらってありがたい」
八月十五日からベルリンで行われる世界陸上では、TBSのスペシャルキャスターとして現地リポ
ートをする予定だ。
:東京新聞
:URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)