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堂島ロールの小さな本店は、朝日新聞大阪本社のほんの目と鼻の先。長さ17センチ、1本120
0円のロールケーキを求め、毎日毎日、朝日新聞の方に向かって長蛇の列が延びている。
60分、90分、120分待ちは当たり前。土曜日など、79メートルの渡辺橋を渡りきり、でき
てまもない京阪中之島線の駅近くをぐるりと巻く。その数200人近く。
販売するモンシュシュがこの人気の功労者と認定するのが、金村義明さんだ。評判はじわじわ広ま
り、松嶋尚美さん、藤井隆さん、YOUさんらが次々に番組で紹介した。肥後橋店、東京や名古屋の
支店でも1~2時間待ちの列ができる。
日々見るこの行列、平日の昼の日中なのにネクタイを締めた会社員風の人が多い。それに、大阪人
は「イラチ」で行列には並ばないと聞いていたのだが。
疑問の答えを3月のある日、探りに行った。午前10時のオープン前、すでに80人ほどの列。
先頭にいた大阪市住之江区の男性(70)は、結婚した娘が帰って来るからと午前8時半に来た。
「自分のためなら並ばんわ」
大きなカバンを持った男性(50)は岡山県倉敷市から出張中。「家族へのおみやげです」。若い
カップルは三重からデートのついで。4人の女子高校生は福岡から2泊3日の卒業旅行。旅行雑誌で
見たと言い、この後は道頓堀へ。堂島ロールは今や道頓堀と並ぶ名所らしい。
5組目で再び大阪人。2人連れのスーツ姿は大阪市内の商社の営業マン。「東京に営業に行くので
手みやげに。『並んで買った』って言えば受けがええかな、と」。別のスーツの男性は山口県下関市
からの出張族。「家族に頼まれて」
大阪人は5組に1組くらいか。大阪研究家の前垣和義さん(62)は「一般に大阪人は行列嫌い」
という。武士の町江戸では、権威付けが好まれ有名店に並んで食べたことが一つのステータスになる
が、大阪は商人の町、食い倒れの町。「待つくらいなら他にもええとこありまっせ」となる。ただ「
大阪人も目的がしっかりしていれば並ぶ」そうで、1970年の大阪万博では数時間待ちの列ができた。
100人ほどの列に私も並んだ。90分後、ついに手にしたときは、ときめいた。外に出ると、や
はりうれしそうな顔をした、大阪のおばちゃんらしき3人が。
聞けば枚方からという。近くのデパートの催しでは毎度売り切れで「意地で買いに来た」と中川万
里さん(61)。誘われて来た後藤繁子さん(72)は「おいしいの食べようと思ったら大変やな」
とぐったり。「列に並んだのは万博以来や」(千葉雄高)
■推薦
野球解説者 金村 義明さん 酒飲みも、1本ペロリ
「堂島ロール」との出あいは5年ほど前、行きつけの北新地の店でおみやげにもらったのが最初で
す。僕は大酒飲みで、あまり甘いものは食べない。でも、堂島ロールは、僕からすると衝撃的なおい
しさで、宿泊先のホテルでペロッと1本食べてしまった。生クリームがさっぱりしていて、際限なく
食べられたんです。
当時はまだ経営者の金美花さん、春花さん姉妹が自転車で北新地を配達して回っていました。1本
でも一生懸命配達していて、新地のママさんたちの間で口コミでおいしいと広がっていったらしい。
応援したい気持ちもあって、テレビの共演者や、取材に行くアスリートにおみやげに持っていきま
した。大阪に来ると10本、20本買っていた。両手に提げて飛行機に乗るのが大変でした。そのう
ち芸能界でも広まってテレビで紹介されるようになった。
3年くらい前に店にできる行列を見た時はびっくりしました。何が起きているんだろう、と。本人
たちもそう思っているんじゃないでしょうか。
〈略歴〉 プロ野球の近鉄、中日、西武で活躍し99年引退。現在は野球評論を中心に活動。
朝日新聞
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