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社説:温暖化疑惑事件 科学者はもっと発信を
温暖化をめぐる疑惑が昨年11月から世界をゆさぶっている。
これまで、日本ではあまり関心が高まらず、科学者の反応も鈍かった。
4月末には日本学術会議がこの問題を取り上げる公開討論会を開いたが、参加者が自説を述べるにとどまった。
データ操作は否定されているが、放置すれば温暖化対策への不信感にもつながりかねない。
今後、科学者集団として、検証や対策を発信していくことが重要ではないか。
事の発端は英国の大学から大量に流出したメールである。その中に「(気温の)低下を隠す」
「トリック」といった言葉があった。送り主は有名な気候科学者で、そのデータは温暖化の根拠として
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書にも採用されている。このため、
「データをゆがめた」と攻撃され、「クライメート(気候)ゲート事件」と呼ばれるようになった。
複数の調査委員会が設けられ、英議会の委員会や、大学が設けた独立の委員会の一つはすでに報告をまとめている。
いずれも、不正行為やデータ操作はなかったと結論付けたが、問題がないわけではない。
たとえば、気候科学の分野では生のデータや分析用プログラムの元になる情報を公開する習慣がなく、
疑惑のきっかけとなった可能性がある。導かれた結論を検証できるよう、今後は公開していく努力が必要だ。
気候分析に欠かせない統計学の専門家との共同研究が不足しているとの指摘もあり、改善の余地がある。
電子メール事件以降、IPCCの報告書には複数の誤りも見つかっている。
たとえば「ヒマラヤの氷河は2035年までに消滅する」とあるのは「2350年に5分の1に縮小」の誤りだった。
誤った数字を載せた環境団体の資料からの引用で、信頼性のある論文を引用するという原則が満たされていなかった。
一連の疑惑やミスは、「人間活動による地球の温暖化」という基本的な考えを揺るがすわけではない。
科学者にとっては、ささいなことだという見方もあるだろう。
しかし、「結論は変わらないのだから」と静観するのは誤りだろう。