10/05/12 11:40:25 rhgF4tS0
>>387
◆裏切られたユーロへの過剰な期待
ギリシャの財政危機は単一通貨ユーロの危機と論じられることが多いし、
確かにそういう側面はあるが、それは真実のごく一面だ。
ユーロは2002年に多くの期待を背負って導入されたが、通貨統合の効果は当初期待されたレベルには程遠い。
ユーロの登場によって各国通貨を両替する手間とコストがなくなり、経済成長が促進されるだろう。
さらに、政治的な統合も進む。単一通貨によって「ヨーロッパ人」のアイデンティティが生まれ、
ドイツ人、イタリア人、スペイン人といった区別は徐々に消えていく─。
そんな夢が語られたが、実際にはどれも現実になっていない。ユーロ圏諸国の経済成長率は
1992~2001年には平均2.1%だったのに対し、ユーロ導入後の02~08年は1.7%。
経済成長を阻む大きな要因はばらばらの通貨ではなく、税率の高さや規制の多さ、助成金の垂れ流しだった。
政治的な統合についても、ユーロはむしろ欧州を分断している。
ギリシャでは暴動が勃発し、ギリシャ救済に1450億ドルを拠出した国々、
とりわけドイツでは、多額の支援融資に怒りが渦巻いている。
単一通貨によってヨーロッパ人のアイデンティティが形成されるという発想は、
コカコーラを飲んでいるからアメリカ人だというのと同じレベルだ。
もしポルトガルやスペイン、イタリアがギリシャと同じ運命をたどれば
(つまり、市場の信頼を失い、国債利回りが大幅に上昇すれば)、危機はさらに拡大するだろう。