10/04/01 00:21:26 zHu5ipuO
発信箱:言を左右にするなかれ=布施広(論説室)
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エープリルフールだから言うのではないが、米軍普天間飛行場の移設問題で、日本の
新聞・テレビがこぞって「鳩山政権がんばれ」と書いたら、あるいは「現行計画が最善」
という米国に「頑迷だ」として強く譲歩を求めたら、どうなるだろう。
無論、意図的にしろ偶然にしろ、そんなことは起こるまい。私の知る限り、この問題で
真正面から米国を批判した報道は皆無である。日米同盟をとりわけ重視する日本側
メディアの特性もさることながら、鳩山政権批判の材料に事欠かないからだろう。
だが、今後はどうか。米大使館の苦労も分かるが、問題解決には米側の譲歩や妥協も
必要だと私は信じてやまない。過去の合意に代わる移設案を日本政府が示した場合、
案の良しあしはともかく日米協議で解決を図るのが筋だ。対等な2国間協議に入った後も
日本のメディアが鳩山政権のみを批判するなら、おかしな話になると思う。
ワシントン郊外の米国防総省の中を歩くと、長い廊下に飾られた戦争の写真や歴史資料の
膨大さに驚かされる。この超大国にとって、普天間問題は懸案をつづった分厚いファイルの
1ページに過ぎまい。それが日本では政権の命運にかかわるところに、同盟の重さの
非対称性があるのだろう。だからこそ、腰を落ち着けた交渉が必要だ。
私が非常勤講師を務める大学で「自分が日本の首相なら」というリポートの課題を出すと、
多くの学生は日米関係を取り上げる。「対米従属」を脱すべく憲法改正と自主防衛を訴える
学生もいれば、日本は米国の実質的「保護国」なのだと言う学生もいる。共通するのは、
日本のありように対する若い知性と感性の鋭い痛みだ。
鳩山政権よ、若者たちが見ている。言を左右にするなかれ。交渉する態度は潔くありたい。