09/08/29 19:05:11 Blb5s4+C
◆有権者よ、政治家に責任を求めよ
■オックスフォード大日産日本問題研究所前所長、アーサー・ストックウィン氏
日本は、「ウェストミンスター・モデル」と呼ばれる英国の議院内閣制を範にして
いるが、第二次世界大戦後、かなり早い段階で日本特有の変質を遂げた。
第一に、自民党政権が10カ月間を除き54年間も続いた。英国では1979~97年の
18年間も保守党政権が続いたが、自民党支配はその3倍の長きにおよび、
ウェストミンスター・モデルを似て非なるものに変えた。
一票の価値が地方に厚く配分されていたことも、自民党支配の継続に有利に
働いた。76、79、83年の総選挙で自民党が政権を維持できたのは、この不平等に
よるところが大きいといえるだろう。
第二に、日本の官僚組織は90年代の大蔵省腐敗などで力を失ったものの、
その政策立案・遂行能力は英国に比べて強固だ。日本の中央政府の権限はごく
最近まで、圧倒的に強かった。
最後に、旧最大野党、日本社会党の政策はマルクス主義の影響で左傾しすぎ、
政権交代の受け皿となり得なかった。ドイツ社民党が59年に階級政党から
国民政党に脱皮したのと同じ変化は日本では起きず、脆弱(ぜいじゃく)な野党の
すき間をついて公明党などの政党が台頭した。
今回の総選挙で、現在の最大野党の民主党が大勝して政権に就いたとしても、
日本の民主主義の未来にはいくつかの難問が待ち受けている。自民党出身議員が
多く所属する民主党が、自民党とどれだけ異なる政策を打ち出せるのか。最悪の
シナリオは、民主党が利益団体や官僚組織と取引して、自民党そっくりの方法で
政権を運営することだ。
新政権が急進的な目標を掲げて官僚の力をそぎ、有権者の代表として振る舞う
ことを、私は切に望んでいる。衆院と参院の多数派が異なり審議が難航する「ねじれ
国会」は政治が行われるきっかけになると思う。
民主党は総選挙で勝っても、自民党と同じねじれ国会の轍(てつ)を踏まないよう、
来年夏の参院選をすぐ視野に入れなければならない。効果的でない政権運営は
許されないのだ。
つづく