09/04/19 18:30:07
金曜日の夜は研究科のWelcomeパーティーがあった。
研究室でみんなで席を丸くして、お菓子とつまみとアルコールをほおばった。
留学生や日本の右翼主義者や21歳の院生など個性豊かな面々で大いに盛り上がった。
話題はそれぞれの専攻のアカデミックな話から、お国事情と続いた。
パーティーの途中で、中東から来た女の子がポップスについて語りだした。
彼女はボンジョビが大好きで、アルコールが入るとボンジョビを歌い、
ボンジョビの歌をしらなかったアメリカ人男にFUCK YOUと言った。
俺は途中からAKBの話題を出すタイミングを窺っていた。
隣のインドネシア女に日本の流行のポップスについて聞かれ、俺は心の中でキタ━━━(゚∀゚)━━━ !! と思った。
しかし、ここで焦ってはいけない。
ストレートにAKBについてホットに語ると言う出方もあるが、
やはりボンジョビを推すのとは違うイメージをもたれてしまうだろう。
その場には俺のほかに日本人も3人いたので、つい俺は慎重になってしまった。
「いやーそんなに音楽聴かないんだけどさ、今だとAKB48とか流行ってるらしいよ」とさりげなく俺は言った。
インドネシア女はAKBのことは知らないようだった。
話を聞いてないと思っていたのに、そばにいた関西から来たばかりの男が会話にカットインしてきた。
「いや、AKBってもう廃れちゃったよ」と、俺に向かって言った。
俺はムッとした。しかし、ここで感情を出して正体を悟られるわけには行かない。
「あー、そーなんだー」とにこやかに流した。
「パヒュームじゃん。ポリリズムとか流行ってるっしょ」と、関西はさらに続けた。
心の中で、あつかましいやつだと思った。
しかし、インドネシアはパヒュームのポリリズムを知っているようだった。意外な展開だった。
そして「あー、のっちゃん、かわいいよー」と独特のアクセントで言った。
のっちゃんって誰だよ、と思った。
俺はさらにムッとして、つい言ってしまった。
「いやー、学部生時代の大学がアキバの隣だったんだけどさ、友達とかみんなAKBがよくやってるらしい公演とか
言ってたんだよねー。なんか流行ってるのかと思ったよ。」と食い下がり、
友達の何人かがAKBにはまりまくっていて、俺に薦めてくるんだけどうしようか考えている、と言った。
もちろん、本当はアキバの隣に教室があったのをいいことにカフェに通いまくってた学生とは俺のことであり、
俺の友人の中に、我が軍の同胞は一人もいない。
関西は興味なさそうにふーんと相槌を打ち、まぁ関東ではそうなのかもなぁ、と言った。
関西と東南アジア圏にはAKBは浸透してないんだんぁ、と残念に思った。全部、tgskが悪い。
俺がAKBヲタであるとここでアピールする必要はないと判断して、
次の話題に移ることを考えた。
しかし次の瞬間、彼は「でもさー、AKBって何で48人もおるんやろな?意味分からんわー」と言った。
「いや、実は研究生入れて61人で、名古屋のSKEってのを入れると83人なんだよ」と
俺は間髪入れずに彼を訂正し、同時に、言った瞬間「しまった」と思った。
彼ははふーん、と流したが、日本人は3人同時に俺から目を逸らした。
やばい、と思った。
ここは我が軍の戦さ場ではない。即時撤退せよ、と軍服を着たゆきりんが、
俺の脳内で言った。しかし、手遅れだったかもしれない。
以降、俺は日本人とは会話を避け、眠くなったフリをして粛々と過ごした。
二次会でバーにみんなで行くことになり、俺も付いて行った。
留学生がたくさん集まる多国籍なバーで、インドネシア女の友人らしき
タイ男が俺の前に現れたので、俺はタクシンと会った事があるぞ(本当にある)と言ったら、
GO TO HELLと笑いながら言われた。