11/10/14 05:24:06.65 dfhB3eKfO
>>21乙
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押しては返す、波
夕暮れのもの悲しい潮風がキャンディスクルドちゃんの髪を静かに凪いでいく
間近ではためく白色の布に、俺は胸の高鳴りを抑えられなかった
「他に誰もいない……、2人きりだね」
キャンディスクルドちゃんはそう呟くと、ずいとこちらに顔を近づけてきた
キャンディよりも甘い香りが鼻腔をくすぐる
彼女はまるでこちらの内心を見透かしているかのようにイタズラな笑みを浮かべると、背伸びをして耳元でこう一言ささやいた
「トリックオアトリート」
鼓膜を揺らす湿った熱い吐息が思考を掻き乱す
自分より幾分か年下のはずの少女が、普段より大人びて感じられた
「お、おお、お、お菓子なんて持っていないでござるよデュフフフフ」
「知ってる。だからこそ君に聞いたの。トリックオアトリート、って」
いったいその言葉はどういう意味なのか
疑問を口にする前に、キャンディスクルドちゃんの華奢な両腕が俺の身体に巻き付いてきた
そこでようやく彼女の意図を悟る
つまりは、初めからトリックの方が目的だったのだ
「精一杯のトリックをあげるね」
風のイタズラで俺の頬を掠めていく紫色の長髪が、やけにくすぐったく感じられた
程なくして、柔らかな肉の感触と共に、口内へと甘い甘い味が広がっていく――
おわり