11/10/16 14:57:23.35 ll3HGudD0
茫然、気が付いたスクルドは状況が掴めずいた。
すべてが夢だと、そう思い込み意識が切れたようだ。
何度も思考を張り巡らせたため疲弊していたのか、息が荒くなっている気がする。
「う・・・ん・・・」
「ご機嫌はいかがお嬢さん」
何も見えない闇の中から突然声が聞こえた。
「な・・・誰・・・?」
構わず言葉を紡ぐ。
「傷つけないよう丁重に縛っておいたので手足も痛まないだろう」
声とともに靴の音が耳に響く。
この声の主は天の寄る辺か、はたまた地獄の使者か。考えつつ絶望へと結論は近づく。
「ふふ・・・あなたの姿、最高ですよ」
耳に入る言葉、それに対し恐怖を感じ始める。
「あぁ・・・!こんなことならカメラを買っておけばよかった・・・!」
「・・・っ!!」
「あぁ、これは失礼しました。少々感情が昂ぶってしまいまして」
見繕うような言葉だが体から恐怖が抑えきれず出始める。
「おや、これはこれは・・・体が震えていますよ?」
「・・・うっさい、話しかけん・・・なっ!?」
言うと同時か否か。体に何かが密着してきた。
「恐怖というものは誰かと密着するもので取り除けるものです」
「~~~!!」
声にならない悲鳴をあげるスクルド。
「あぁ・・・甘い匂い、柔らかい肌、そして美しい羽。貴女は最高ですよ」
「それにまだ未発達の胸も高評価ですね」
そう言って目隠しを外された。
目を開けると光が眩いばかりに目に差し込む。
「いつまでも見えなければ窮屈でしょう」
その声の主を睨みつける。
「その顔・・・・ふ・・・ふはは・・・最高じゃないですかっ!」
歪んだ笑顔で男は言った
「恐怖と怒りに満たされた表情!フヒッ・・もう・・・・たまらないなぁ!」
舌なめずりをしながら近づいてくる。
涙を流し苦痛と恐怖に顔を歪めるスクルドは迫る男を見続けた。
最後まで光を見れなかったスクルドは深淵の闇へとただ落ちていくだけだった。
おわり