03/05/29 23:35
もう、随分、昔の話になるかな。
我が父、旧蜂翁はA級戦犯として囚われの身であったとき、
児玉、岸、をはじめとする数名の舎弟の前で
「漏れは政治活動を辞める。後のことは、お前ら若い者たちに託す」
と言ったそうだ。
さて、旧蜂翁は自由の身になったが、堅気の商売ができるわけもなく、
蓄えが底を突くと母の売血でギリギリの生活を余儀なくされた。
あと、母は美しかったので、美人局でいいカモが釣れたりすると、
よく親子3人、街まで食事へ出かけたんだ。
まあ、それで生計が立つわけもなく
児玉のおじちゃんが援助してくれてたんだが、
旧蜂翁は受け取らなかった。
母は困ったときだけ、こっそり預かってたようだったけど。
秘書の浜田さんは、子供の使いじゃないのにって大変に困ってな。
「蜂坊を男と見込んで毎月この金を使い切ってくれ」と俺に預けるようになったんだ。
さて、家は貧乏だったから学校では俺だけ弁当なかったな。
近所の親父が俺を可愛そうに思って、子供の来る場所ではないんだが
昼なら飯食べに来ていいぞ、って言ってくれてたから
毎日近所の親父の職場で昼飯食いに行ってたんだ。
俺は金の使い方も知らなかったし
預かった金がどれほどのものかも分からなかったので
昼を馳走になった後に相談したんだ。親父は深く何か考え込んだ後に
「蜂坊も、もう、十歳になるな。無理かもしれんが試して見るか」
それから、五人くらいのおねんちゃん相手に三発ずつ見舞ったころには夜になってたな。
初めてだったから夢中だったんだ。
夕飯を馳走になってる間にお金の使い道について教えて貰ってな。
「蜂坊、凄いな。今日は家に連絡しておいたから、
おねいちゃんに送ってもらいなさい。
お金は、ここで遊んでいくとちょうどいいように減ってくるぜ。
明日からは、遅くならんように朝からおいで」
その日から俺は小学校へ行かなくなったんだ。