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最古の経典目録(経録)で、東晋の釈道安撰『綜理衆経目録』(梁の僧祐撰『出三蔵記集』にほぼ収む)には、
『摩訶般若波羅蜜神咒一巻』及び『般若波羅蜜神咒一巻 異本』とあり、
経としての般若心経成立以前から、呪文による儀礼が先に成立していたという説もある。
これらは、後世の文献では前者は3世紀中央アジア出身の支謙、後者は鳩摩羅什の訳とされているが、『綜理衆経目録』には訳者不明(失訳)とされており、この二人に帰することは信憑性にとぼしい。
前者は現存せず、後者は大蔵経収録の羅什訳 『摩訶般若波羅蜜大明咒經』ともされているが、鳩摩羅什の訳経開始が402年であるため、釈道安の没年385年には未訳出である。
またそのテキストの主要部は宋・元・明版大蔵経の鳩摩羅什訳『摩訶般若波羅蜜経』のテキストと一致するが、宋版大蔵経の刊行は12世紀後半であるため、
このテキストが鳩摩羅什訳であるということも疑われている。