ざつだんけいじばんat QA
ざつだんけいじばん - 暇つぶし2ch90:ひよこ名無しさん
07/04/12 00:51:12 pt25Pq9T0
「ああ、返す返すも残念だわ…」
校舎と校門を結ぶ並木道で小鳥遊圭はため息を吐き出すように呟く。
そんなクラスメイトの姿を見て、隣を歩く高根美智子は小首をかしげながら問いかけた。
「何が、ですの?」
不思議そうに、しかしその顔に浮かべた笑みはそのままの美智子を横目に圭は短く答える。
「ダンス」
「ああ、なるほど」
得心がいった、という風に小さく頷く美智子。
意味不明の会話にも見えるが、この時期─12月初旬─のここ恵泉女学院で「ダンス」といえば
12月24日の降誕祭で開催されるダンスパーティーを指すことに他ならない。
しかし、今日に限って言えば…
「紫苑さまと瑞穂さんは絵になるお二人ですからね」
そう、今日に限って言えば、休み時間中に前エルダー十条紫苑と現エルダー宮小路瑞穂が見せた
廊下でのダンスを意味していた。
現に、下校中の生徒が居並ぶこの並木道でも口々から漏れ聞こえてくる話題の大半が二人のダンスのことだった。
曰く、地上に降りた最後の天使の舞だ、云々…
「あれでは皆さんしばらく授業に手が付かなかったかもしれませんね」
騒然とした廊下の様子を思い出したのかクスリと声を上げ、口元を覆う美智子。
しかし、そんな美智子の姿を横目で見ていた圭が口を開いた。
「…それは当て付け?」
憮然とした─圭は元々感情を表に出す性質ではないが、付き合いの長い美智子には判る─声に美智子は慌てて取り繕う。
「ごめんなさい、圭さん。そういう訳ではありませんわ」
紫苑と瑞穂のダンスは教室前で行われ─それゆえ衆目を浴びることになったのだが、
折り悪く圭はその場に居合わせることができなかったのだ。
かなり大げさに落胆してみせていたのは演技ではなかったようだ。
…その後、教室内でダンスの再現を依頼していたが、あるいはそれも冗談ではなく本気だったのかもしれない。
机をなぎ倒しながらのダンスを。
美智子は己の失言を悔やむ。
自分はまだ圭の頭の中を把握しきれていないようだ。
(でも、そんなところが圭さんの魅力なんですけど)


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