10/10/07 01:35:32
マイケル・クライトンの「恐怖の存在」は2004年に発行され、2007年に文庫になった。
僕は文庫を買ったが、当時は常識と思われていた温暖化を否定する小説をどうして
クライトンが書いたのか分からなかったし、評判も良くなかったので読んでいなかっ
た。前記の2冊を読んで、温暖化疑問の視点に納得できたので読み始めた。
付録1「政治の道具にされた科学が危険なのはなぜか」を読むと、クライトンの危機
感の切実さがよく分かる。クライトンはユダヤ人虐殺につながった優生学と、ソ連の
生物学を牛耳った自称農学者を例に挙げ、その悲劇を紹介した後、こう指摘する。
>>そしていま、われわれはふたたび、大いなる理論に呪縛されている。またしても
世界じゅうの政治家、科学者、著名人に支持されている理論にだ。大規模な財団
のあと押しを受けている点も同じなら、いくつもの有名大学で研究されている点も
おなじだ。そしてやはり立法措置がとられ、その名のもとに社会計画が推進され
ている。反対意見を表明する者が少数であり、反対すれば手厳しい批判を浴びる
点も変わらない。
>>科学と政治の混合は悪い組み合わせであり、悲惨な歴史を生んだ理由もそこに
ある。われわれは歴史を憶えておかなくてはならない。そして、世界にまっとうな
知識として提示するものが、利害関係ぬきの、公平無私で公正なものであるように
していかなければならない。
URLリンク(cinema1987.org)