18/01/19 19:27:30.448 pQ/YnS4q0.net
神様なんて人間にとって都合のいい創作物だ。
もしも仮に本当に神様なんてものがいるんだとしても、きっとそいつは人の為にいる存在なんかじゃないと断言できる。
だってそうだろう?
神様なんてもんを信仰してる多くの国々よりも神様に対する信仰心の薄い日本の犯罪率、つまり被害者が少ないんだから。
もしも仮に本当に神様なんてものがいるんだとしてもきっと、そいつは人の為にいる存在なんかじゃないと断言できる。
「ごめんなさい」
坂町慶吾はこの言葉をあと数年は忘れることなさそうだ。
「ごめんなさいか……」
高校の入学式、慶吾は彼女を見て一目惚れした。
何度も何度も妄想を繰り返した日々。
「終わった……全部……」
二年になった勢いのままに慶吾は彼女に告白した。
もちろんなんの策も無しに臨んだわけじゃない。
近くの古い馴染みの神社で神頼みと五百円の投下を行ってから挑んだのだ。
放課後、手紙でその女子生徒を呼び出して校舎裏で告白するというベタをやってのけた慶吾は見事に散ってしまった。
どこにぶつければいい。
この怒りを。
そう思った時真っ先に思い浮かんだのが今慶吾のいる場所。
運命を司る神様がいると云われる恋桜(れんおう)神社。
「くそったれが、何が運命の神様だ。こんな運命の為に俺は貴重な五百円を投げ打ったわけじゃねえぞ」
昔から賽銭箱には十分すぎる額を入れてきたし、その上五百円もの大金を入れたのだ。
なのに、なのに全てが無に帰した。
この怒りと悲しみ、行き場を失った慶吾の思いはここにしか向けることができない。
「明日から俺はきっと笑いもんだ……ははは、笑うこともできねよこんちくしょう」
怒りに任せて一枚の紙を賽銭箱に投入する。
もちろんお札なんかじゃない。
怒りのあまりにお札を入れるまぬけをしたら立ち直ることもできないだろう。
入れたのはノートの切れ端。
そこにはでかでかと二つの文字が書かれていた。
『死ね』
死ぬの命令系。
もちろん相手はこの神社にいるかどうかも解らない運命の神様とやらだ。
「ちくしょう……ちくしょう……」
同じ言葉ばかり出てしまう。
それくらい憔悴しきっていた。
生きる気力が無くなってみぞおち辺りにポカリと丸い穴が開いた感覚。
こんなことやったって何かが変わるわけなどないと解ってはいてもやらなくては気が収まらない。
慶吾は独り寂しい背中のまま帰路へ着いた。