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村上陽一郎
1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学大学院人文科学研究科博士課
程修了。上智大学、東京大学先端科学技術研究センター、国際基督教大学、東京理科
大学大学院などを経て、東洋英和女学院大学学長。
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学術会議問題は「学問の自由」が論点であるべきなのか? ─ 村上陽一郎
日本学術会議次期会員の推薦候補の一部を内閣が任命しなかった事について、出
発点から、「学問の自由の侵害」と捉え、糾弾するのが新聞輿論のようです。一部の学
者や識者層も、その立場で動こうとしているようです。しかし、客観的に見れば、この主
張は全く的外れであることは明瞭で、間違いの根本は「現在の」日本学術会議に対して
広がっている幻想、あるいは故意の曲解にあります。
日本学術会議はもともとは、戦後、総理府の管轄で発足しましたが、戦後という状況
下で総理府の管轄力は弱く、七期も連続して務めたF氏を中心に、ある政党に完全に支
配された状態が続きました。特に、1956年に日本学士院を分離して、文部省に鞍替えさ
せた後は、あたかも学者の自主団体であるかの如く、選挙運動などにおいても、完全に
政党に牛耳られる事態が続きました。
今、思えば、そうした状態を見ぬ振りで放置した研究