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ミャンマーの少数民族ロヒンギャの迫害をめぐり、国連がフェイスブックに警鐘を鳴らした。「憎悪の拡散」に歯止めはかかるのか。
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僧院の壁に貼られたポスターには、「イスラム教徒によって殺害された仏教徒たち」とされる男女の顔写真が並んでいた。
東京外国語大学の日下部尚徳講師が9月に学術調査でミャンマーを訪れた際、目にした光景だ。日下部講師は言う。
「ロヒンギャだけを標的にするのではなく、ムスリム(イスラム教徒)に対する憎悪や差別的感情をあおる言説がミャンマー社会全体に流布しています」
ミャンマーでは昨年8月、武装組織の「掃討作戦」名目で、西部ラカイン州に住む少数派イスラム教徒ロヒンギャに対して国軍主導の大規模な攻撃があったとされる。
国際社会から強い非難を浴びたが、仏教徒が約9割を占める国内世論の支持を得ているという。この背景には、交流サイト(SNS)大手の米フェイスブック(FB)による「ヘイトの増幅」が指摘されている。
「ミャンマーのソーシャルメディアにはヘイトスピーチや扇動表現が蔓延している。特にFBに顕著だ」
国連調査団のマルズキ・ダルスマン団長は今年3月、国連人権理事会でFBを名指しで批判した。ミャンマーは50年に及んだ軍政から2011年に民政移管。
13年の通信事業自由化で、スマートフォンで使えるSNSが急速に普及した。FBは人口5100万人のうち推計1600万人が利用している。
さらに国連調査団は9月、国軍主導のロヒンギャ迫害を、「人道に対する罪」として軍幹部の訴追を求める400ページ超の報告書を公表。精読した京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏准教授が解説する。
「全体のトーンとしては『国軍主導による掃討作戦』を糾弾する内容ですが、それを助長した要因の一つに『ロヒンギャ族らミャンマー国内のムスリムが、ミャンマーと仏教徒の脅威である、というヘイトキャンペーンの拡散があった』と指摘し、
政府や国軍幹部の発信内容を含めFBの果たした役割に多く言及しています」
FBは8月に最高司令官を含む国軍幹部のアカウントやページの削除を発表したが、中西准教授は「効果は限定的」と見る。
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