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光るナイフ「殺されるかも」=発砲できず、警棒で応戦―秋葉原殺傷10年
東京・秋葉原の歩行者天国で17人が無差別に殺傷された事件は、8日で発生から10年を迎えた。
「殺されるかも」。
2008年6月8日、警視庁万世橋署の巡査部長だった荻野尚警部補(51)は東京・秋葉原の路上で
加藤智大死刑囚(35)と対峙(たいじ)していた。不気味に光るダガーナイフを構えた同死刑囚と
向き合った瞬間、自分の家族の顔が脳裏に浮かぶ。群衆が2人を囲み、拳銃を使うのは危険だった。
「刃物を捨てろ」。無我夢中で警棒を振りかざした。
事件の約2週間前、現場近くの秋葉原交番に配属された。事件当日、インターネット掲示板に
殺害を予告するような書き込みがあったことを上司から聞いていたが、半信半疑だった。
午後0時半すぎ、歩行者天国でにぎわう交番近くの交差点にトラックが突っ込んだ。事故だと
思い駆け付けると、通行人が悲鳴を上げながら四方に走っていった。目に飛び込んできたのは、
トラックから降りた加藤死刑囚が、逃げ遅れた通行人に体ごとぶつかるようにナイフを突き刺す光景
路上には、複数の人が血を流し倒れていた。
加藤死刑囚を追い掛け、交番から約150メートル先の路上でにらみ合った。約2メートル先にいる
相手の手には殺傷力の高いダガーナイフ。発砲しようと思ったが、周囲には携帯電話で写真を撮る人々の
群れが。「撃てば一般人に当たる」。やむを得ず警棒で応戦した。
左胸やわき腹を刺されたが、防護衣のおかげでけがはなかった。路地へ追い詰められた
加藤死刑囚はナイフを手から落とし、泣き崩れた。「ゲームオーバーだ」。そう言っているように思えた。
トラックに気付いてから、数分間の出来事。取り押さえ、現行犯逮捕した。
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