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「国境を越えたら、逮捕する」。木立の中で警官の警告が響く。幼児を連れた夫婦は、それでも歩き続け、争うことなく拘束された。
9月初旬の夕暮れ時、カナダ東部ケベック州ラコール。
荷物ではちきれそうなキャスターバッグを引きずった親子3人は、隣接する米東部ニューヨーク州からタクシーでやってきた。
7月以降急増した米国からの不法入国者の一部だ。
ケベック州に不法越境した拘束者数は、6月の781人から8月は5530人と約7倍に膨れあがった。
カナダ警察は急ごしらえの検問テントを設置するなど対応に追われた。
越境者には、トランプ米政権の不法移民対策強化による強制送還を恐れる人々が目立つ。
一部は州の最大都市モントリオールで、五輪スタジアムを転用した「難民キャンプ」に身を寄せた。
「カナダなら歓迎されると、フェイスブックで読んだ」。寝泊まりするハイチ人、ジョセフ・ゲリーさん(43)は、そう米国脱出の動機を説明してくれた。
リベラルな姿勢で知られるカナダのトルドー政権は、シリア難民などの積極受け入れ方針を維持。
「米国第一」主義を掲げて難民や移民の受け入れを制限するトランプ政権とは一線を画す。
だが「歓迎」の空気は、米国からの脱出者が増えるにつれ薄れている。
カナダのアンガス・リード研究所の9月発表の世論調査では53%が「我が国は寛容すぎる」と回答した。
「政府は不法越境者を支援するが、公金は、必要なカナダ人のために使うべきだ」。
ケベック州の国境近くに住む元海軍軍人の男性(75)は不満げに語った。
同州の州都ケベック市では8月、右翼団体による越境者受け入れへの抗議デモが発生。
メンバーが参加したという反移民団体「ケベック連盟」のレミ・トレンブレー広報担当(34)は「不法移民を規制するトランプ大統領は間違っていない」と言う。
トルドー首相はツイッターで「不法入国者は(難民申請で)優遇されない」と強調。
国会議員を米国に派遣し「カナダは誰でも受け入れる」との「誤解」を解こうとやっきだ。
だが、政府担当者は10月、「難民審査の数が膨大だ」と議会で答弁。情勢は好転していない。
米国からの不法入国(その1) カナダ、薄れる「歓迎」
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