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12/15(火) 8:53
週刊SPA!
『鬼滅の刃』原画マンに聞いた給与明細。丸2日かかるカットが単価4000円
4日、最終巻が店頭に並んだ『鬼滅の刃』は累計1億2000万部を突破。テレビアニメ化、映画化と社会現象化 写真/時事通信社
コロナ禍を吹き飛ばす勢いで一大旋風を巻き起こしている『鬼滅の刃』。アニメ制作を担当した会社の社長は今年6月に1億4000万円の脱税容疑で告発されたが、劇場版は興収300億円を窺う勢いで、関係者は笑いが止まらない。だが、現場に言わせれば、恩恵を受けるのはひと握りにすぎないという。実際に働いている原画マンに話を聞いた。
『鬼滅の刃』はカネのなる木も作画現場は極貧、青息吐息
原画マンの中村大吾さん(仮名・43歳)は、動画マンとして働いていたが、体を壊して退職。一般企業に就職し、現在は副業として週末だけ原画を請け負っている。
「この業界では、いくら作品がヒットしようが、儲けたぶんはアニメ制作会社の社長やプロデューサーのもの。アニメーターは社員ではなく個人事業主扱いなので、還元されることは基本的にありません。
ならば普段の仕事の単価を適正な水準にすべきですが、作画のクオリティもスピードもハイレベルな超エース級の原画マンでさえ、月に何百時間も働いてやっと月収100万円という世界なんです」
アニメーターの仕事は、「原画マン」と、原画と原画の間の動きを描く「動画マン」に分かれる。動画マンとして下積みを経験し、技量を認められたら原画を任されるパターンが多いそうだ。
「私の新人時代は月の労働時間が過労死ラインの倍の400時間はザラ。動画一枚の単価が170円、月収は最高で17万円程度でした。
あれから十数年たった今でも、単価は240円止まり。私は結局過労で救急車で運ばれ、アニメーターを本業とすることをやめました」
1カットの単価は一律4000円
現在の中村さんは、副業として原画に携わっており、月に17カット程度を担当しているという。
「作業日は、すべてテレビアニメの原画制作に費やしています。発注の単位は、カメラが切り替わるまでを1カットとして、単価は一律4000円。
キャラクターが喋っているだけの動きが少ないカットなら1~2時間で仕上がりますが、走ったり戦ってるような複雑なカットの仕事だと丸2日かかることも。割に合わないですが、やりがいだけで続けていますね」
儲ける者がいる裏で、働けば働くほど貧する者もいる。決して表に出ない業界特有の闇があった。労を惜しまずカネにとらわれないクリエーターに支えられた搾取構造は、いつまで持つのだろうか。
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・一般的なアニメーターの平均 月収20万円
・中村さんの月収 6万8000円 実働8日、アニメ原画作成(単価4000円)×17カット
<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!12月15日発売号の特集「[稼げない人]の給与明細」より
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