20/12/05 17:08:44.02 CAP_USER9.net
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。
今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは八代亜紀の『舟唄』。マスター、つまみに炙ったイカをちょうだい。
マスター:あいよ、お酒はぬるめの燗でいいかな? この『舟唄』、本当は作詞家の阿久悠が、美空ひばりに向けて書いた曲だって知ってる?
お客さん:昭和の歌姫・美空ひばりに?
マスター:実は阿久悠、スポーツニッポンで「実戦的作詞講座」(1976年)という連載をしていて、教材として『舟唄』を書いたんだ。
お客さん:美空ひばりを想定してだね。
マスター:実は2人の接点はほとんどなかった。けれど、阿久悠は同い年の大スターを猛烈に意識していたようだ。かたや日本を代表する流行歌手、かたや淡路島生まれのまだ無名の青年。
お客さん:雲の上って感じだね。
マスター:のちに作詞家になった阿久悠は、自ら掲げた「作詞家憲法15条」の最初にこう書いている。「美空ひばりによって完成したと思える流行歌の本道と、違う道はないものであろうか」
お客さん:完全に意識しているね。
マスター:結果、この歌は美空ひばりではなく、巡り巡って1979年、八代亜紀が歌うことになった。八代亜紀は歌詞を読んだ瞬間、ヒットを確信したという。
お客さん:八代亜紀のあの声質じゃなきゃ、『舟唄』とはいえないよな。
マスター:阿久悠は著書のなかで、この歌を歌う八代亜紀は絶品だ、としながらも「ふと、美空ひばりが歌ったらどうなっていただろうかと、頭をよぎることがある」と書いている。
お客さん:もし美空ひばりと阿久悠が本格的にタッグを組んでいたら、どんな名曲が生まれただろうね。
おっ、次の曲は……。
12/5(土) 16:03配信
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