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2020/04/17 12:00
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星野源の弾き語り動画にあわせて、自宅で優雅に茶を飲み犬をなでリモコンをいじる安倍晋三首相の動画が批判を浴びている。
菅義偉官房長官は「35万を超える『いいね』をいただいた」と強弁しているが、新型コロナウイルス対策で後手に回り続ける政権への怒りは倍加した。
早々に活動を自粛したエンターテインメント業界に対して補償を行う素振りを見せない張本人が、業界のトップランナーである星野源の自主企画に
ていよく乗っかる厚顔さは集中砲火を浴びている。
こうした批判を旨とするツイートは数多くリツイートされている。
『ボクたちはみんな大人になれなかった』の著作で知られる作家・燃え殻氏の「エンタメ業界の自粛にはあれほど冷たいのに、利用だけはするんだな。」という
ツイートは、1.5万RTを突破。
そして、芸能界の超大物もこれをそっとリツイートしていた。
芸能プロダクション・ホリプロの代表取締役社長・堀義貴氏だ。
堀氏は老舗ホリプロの二代目社長にして、芸能界最大の業界団体・日本音楽事業者協会(音事協)の会長も務めている。
音事協ではこれまで業界団体として、肖像権侵害撲滅キャンペーンを行ったり、違法ダウンロード刑事罰化のロビイング活動などを行ってきた。
堀社長自身も、経済産業省がクールジャパン政策の一環として行うクリエイティブ産業国際展開懇談会の委員を務めたり、内閣に設置された知的財産戦略本部で
「音楽産業の国際展開に関するタスクフォース」委員を務めるなど、長として行政の中央と近い距離を保っていた。
だが、ことここに至っては、エンタメ業界を守るため明確な政治批判を辞さなくなっている。
堀社長による現政権への苦言は、リツイートだけにとどまらない。
なんと、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」にまで登場し(4月12日号掲載)、「補償どころか、ねぎらいの言葉さえありません」と、怒りをぶちまけているのだ。
そのインタビューは、こんな言葉から始まっている。
「私のような自民党に近い人間に、『赤旗』さんから取材のオファーがくると思いませんでした」
記事では、音事協会長として、早々に自粛を決めたエンタメ業界が被っている損害の大きさ、もともと経済的に苦しい中で活動をしている無名の関係者たちが
多く困窮していること、国による支援の乏しさについて訴え、「先人が何千年もの間、連綿とつないでくれた文化・芸能の営みを、たかだか一時の経済的な理由で
絶やしていいのでしょうか」と結んでいる。
掲載後には、この記事に言及した日本共産党・小池晃書記局長のツイートを引用リツイートして、「共産党の小池書記局長のツイートに私の名前が出ることも、
夢にも思いませんでした。この際、主義信条は置いておいて『赤旗』さんの取材を受けましたが、冒頭の(引用者略)私の発言をそのまま書き出しで使って
くれました」と語っていた。
「赤旗」のインタビューでは「(諸外国に比べ)国による支援が非常に貧しい」と言い切っていた堀社長だけに、今回の安倍の“乗っかり”動画には許せない思いが
あったのだろう。
2012年の違法ダウンロード刑事罰化に際しては、「既得権益を守りたいだけではないか」と世間から批判も浴びた音事協だが、現在のような有事の際に声を上げるのは
業界団体の面目躍如だ。