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THE SANKEI NEWS
五輪競技の「野球」はロスに始まりロスでトドメ
2019.3.7 12:00産経WEST
1984年のロサンゼルス五輪で公開競技として実施された野球は日本が優勝。表彰式で喜ぶ宮本和知投手(右から3人目)、広沢克実(左から2人目)選手ら
1984年のロサンゼルス五輪で公開競技として実施された野球は日本が優勝。表彰式で喜ぶ宮本和知投手(右から3人目)、広沢克実(左から2人目)選手ら
2024年パリ大会で再び五輪のひのき舞台から姿を消す野球・ソフトボール。関係者らは欧州での落選は想定内として、野球の本場米国で行われる28年ロサンゼルス五輪での復活に期待を寄せている。だが、楽観的に構えると足をすくわれる可能性もある。世界的にみれば、野球は若者に人気があるわけでなくテレビ視聴率も稼げない。そればかりか次のロス五輪では、意外な「難敵」が立ちはだかるからだ。
■あっさり落選
パリ五輪組織委員会が追加種目の候補として国際オリンピック委員会(IOC)に提案したのは、2020年東京大会で初採用となるスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンに加え、昨年の夏季ユース五輪で初めて実施されたブレークダンスの4種目。東京五輪で3大会ぶりに復活する野球・ソフトボールは空手とともに、東京の1大会だけの実施で落選の憂き目にあった。
ただ、これ自体は東京大会後の五輪開催地が、パリ-ロサンゼルスの順に決まった時点で想定されたこと。だからこそ、野球関係者はロス大会での復活に期待を寄せているのだ。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のフラッカリ会長は先月27日、通信社の取材に「ロサンゼルスに(復活の)照準を合わせる」と明言。東京大会後に7イニング制を導入して試合時間短縮を図るなど五輪に向けた改革を進める考えを示している。
野球がナショナル・パスタイム(国民的娯楽)といわれる米国なら再復活も十分あり得るという読みだ。
■大人数、若者、テレビ…
しかし、状況はそんなに単純ではない。まず引っ掛かるのは競技人数だ。
五輪の肥大化を懸念するIOCは選手数の上限を1万500人と定めている。団体で選手数の多い野球はそれだけ参入が不利となる。東京大会では上限に対する別枠を設けているが、それでも野球競技に参加するのは6チームだけ。今後別枠は撤廃される方針で、パリの追加種目がすべて個人競技になったのもそうした側面がある。
「若者」というキーワードも野球には微妙だ。フランス国内で人気がある空手が追加種目から落選したのは「若者へのアピールが足りない」という理由が大きかった。さて野球は、というと、17年秋のワシントン・ポスト紙の米国民に対する調査によると、「観戦する最も好きなスポーツ」ランキングでは18-29歳の8%が支持するだけで、競技としては4位。本場の割には高いとはいえない。
さらに五輪運営を左右するテレビマネーの点でも、野球は意外と弱い。現在、野球の国際大会として随一の存在といえるのはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だが、直近の第4回大会(17年)ではロサンゼルスでの決勝戦で米国がプエルトリコを破って初優勝したにもかかわらず、同時期にある全米大学体育協会(NCAA)男子バスケットボール選手権の陰に隠れ、主要局では放送すらなかった。メジャーリーグでも全般に視聴率は低下傾向にあるが、野球の国際大会はそれ以上にテレビでは見られていない状況だ。
2019.3.7 12:00産経WEST
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