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6月、国頭村内を徘徊する野犬の群れ(読者提供)
【国頭】国頭村楚洲と安田周辺で野犬が数十匹群れをなして集落周辺を徘徊(はいかい)しており、両区長は役場に対策を求めている。集落では飼い犬がかみ殺されたり、住民や観光客が襲われそうになったりする被害のほか、やんばるにのみ生息するヤンバルクイナなどの希少生物がかみ殺される事例が報告されている。
野生動物を保護し、治療する活動を続けているNPO法人どうぶつたちの病院沖縄の長嶺隆理事長は「野犬による被害は犬を捨てに来る県民がつくっている。非常に危険な状況で、至急対策をすべきだ」と警鐘を鳴らしている。
6月ごろから両地区の住民から村に苦情が寄せられていた。
関係者によると、集落で2歳の子どもと20代の母親が数匹の野犬に襲われそうになったり、屋外にいた飼い犬がかまれて後遺症が残ったりする被害が相次いだ。
被害に遭いかけた女性は「怖くて外も歩けない。山奥だから野犬がいることが知られていないことが余計に怖い。対策を早く取ってほしい」と顔をこわばらせた。
国頭村楚洲の前川尚之区長は村と議会に対策を要望しており「問題が解決するよう、とにかく一日も早く対応してほしい」と求めている。
長嶺理事長によると、ヤンバルクイナやケナガネズミなどの希少生物が実際にかみ殺されるケースも確認された。
かみ殺されたクイナやケナガネズミの死骸を調べると、犬のかみ痕やDNAが検出された。
長嶺理事長は「これまでクイナが密集していた生息地域に姿が確認できない場所がある。極めて危険な状況だ。人の被害が発生する可能性もあり、狂犬病予防の観点からも至急対策をすべきだ」と危機感を示した。
関係者によると「ほえられた」「追い掛けられた」などの苦情は絶えない。村は捕獲を試みているが、野犬は足が速く捕まえるのは容易ではないとみられる。
村の担当職員は「わなを仕掛けても、現段階でかからない」と対応に頭を悩ませている。
対応が急がれる一方で、元の飼い主の責任の問題もある。行政に捕獲された犬は殺処分される。沖縄は犬や猫の殺処分数が多く、2013年度の犬の殺処分数は全国ワースト3位。国頭村に住む女性は「もともと野犬はいなかった。山奥だと思って捨てに来る人がいるからこんな状況になっている」と憤った。
(阪口彩子)
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