17/02/10 22:42:41.63 CAP_USER9.net
私は「野球の記録で話したい」というブログを足かけ9年にわたって執筆している。このサイトでは古今東西の記録にまつわる話を書いてきた。おかげさまで、良い読者に恵まれ、談論風発を楽しんでいるが、原点に戻って「記録を楽しむ」趣向で書こうと思う。
昨今、野球記録の整備は目覚ましい。セイバーメトリクスの発達もあって、いろいろなデータが出てきた。
野球選手のプレーは極めて高い精度で数値化されている。それ自体は素晴らしいことだが、そういう数字はおしなべて「勝つため」、「相手チームを研究するため」、「選手を評価するため」のものとして機能している。
指導者や球団にはありがたいデータかもしれないが、野球ファンにとっては「〇〇投手のスライダーは、××投手のより3cm曲がりが大きい」と言われても「そんなもんですか」と、なんとなく実感が湧きづらいのではないか。
「野球の記録」と言っても、もっと下世話で「へー!」「ほー!」と叫びたくなるような記録ネタはないのか? ありていに言えば、飲み屋のカウンターで酒の肴になるような「記録噺」があってしかるべきだ!
……との話を持ちかけたところ、NumberWebでそのような記録の話をご披露することになりました。お付き合いのほど。
オリックスの園部は、体重増で二軍行きを命じられた。
最初のテーマとして「『太っちょは野球に向かない』は、今や昔話。『おかわり君』に続く高BMIスラッガーは出てくるか?」を取り上げる。
2月1日、キャンプ初日早々に指揮官からお目玉を食らって二軍行きを告げられた若手選手がいる。
オリックス・バファローズの4年目、園部聡だ。
「キャンプで動いて絞ればいい」が通用しない。
園部は、福島の聖光学院高校からドラフト4位で入団した内野手。恵まれた体から繰り出す猛打が売りだが、この日、宮崎キャンプに姿を現した園部の体格は「恵まれ過ぎ」ていた。公称では184cm/94kgだが、4~5kgは多そうだった。そのため福良淳一監督は、その場で二軍行きを命じた。
仮に園部聡のその日の体重を100kgとすると、肥満度を示すBMI(ボディマス指数)は、29.54になる。25~30は肥満度1となり、鍛えた筋肉でこの体重になったのならともかく、贅肉でこの体重ではアスリートとして失格だ。
昭和の時代、プロ野球選手の健康管理は今よりも緩かったから、キャンプイン初日にだぶついた体でやってくる選手もいるにはいた。言い換えれば「キャンプで動いて絞ればいいわ」が通用したのだ。しかし今は、2月1日から「試合に出られる体型」であることが求められる。オフの不摂生は厳しく叱責されるのだ。
歴代の名選手の身長、体重はどうだったのか?
では、プロ野球史を飾る大選手は、どんな体型だったのか? 歴代の名選手のBMIを計ってみた。身長、体重は現役時代のものである。
<安打数10傑のBMI>
URLリンク(number.ismcdn.jp)
基本的には標準体型か“固太り”のタイプ。
全員が標準体重か、肥満度1に収まっている。肥満度2以上の選手は一人もいない。肥満度1の選手も体型を見れば筋肉質で、贅肉は少ない“固太り”といえる。その中で投手にスリムな選手が多いのは、予想通りである。
やはり“肥満度2なんてけしからん!”と言いたいところだが、歴史を紐解いてみると、実はお相撲さんのような体型の野球選手も結構いるのだ。
<NPBの1軍でプレーした6500人余の選手のBMI上位20傑とその生涯成績>
URLリンク(number.ismcdn.jp)
太めの選手はDH起用を見越したパ・リーグに多い。
野球ファンが「太っちょの野球選手」を思い浮かべるとき、出てくる顔がほぼそろっているのではないか。
NPB史上1位の「太っちょ」は、中田亮二。2009年、亜細亜大からドラフト3位で中日に入り、体に似合わない俊足と広角打法で期待されたが、2014年オフに戦力外になった。中田は日本出身選手としては最重量でもある。
昨年入団した楽天のジャフェット・アマダーは、これまで李大浩が保持していたNPB選手の最重量記録130kgを更新する、日本プロ野球史上最も重い選手だ。故障が多く34安打しかしていないが、今季も首がつながった。
ロッテの井上晴哉は、新人の2014年、開幕4番に抜擢され、大いに話題を呼んだが、やや伸び悩みか。この3人はBMIが35以上。「肥満度3」だ。
以下も「太っちょ」がずらっと並ぶが、パ・リーグの選手が多い。これは明らかにDHがあるからだ。やはりこの体型では守備は期待できない。DHでの起用が基本になるだろう。