17/01/28 17:36:22.60 CAP_USER9.net
先週の16日、画期的な発表があった。
野球とソフトボールで使うグラブやバット、スパイク、ボール、ユニフォームにベース、バッティングマシンなどの用具を扱うメーカー、販売会社21社が一致協力して一般社団法人「野球・ソフトボール活性化委員会」(略称・球活委員会)を設立したというのだ。
参加した21社は50音順で、アシックスジャパン、アディダスジャパン、イソノ運動具店、イモト、エスエスケー、久保田運動具店、ザナックス、三共スポーツ、シウラスポーツ用品、ゼット、ダイワマルエス、デサント、内外ゴム、ナガセケンコー、ハイゴールド、ヒロウン、フラッグ、ベンゼネラル、ミズノ、レワード、ローリングスジャパン。
スポーツ好きなら誰もが知る、ミズノ、アシックス、アディダス、デサントといったメジャーブランドから、知名度は低いもののグラブやボール、ベースなどしっかりとした品質の用具を職人気質で作ってきたメーカーが名を連ねている。
こうした会社同士が手を組むことは通常では考えられない。言うまでもなくシェアを争うライバル同士だからだ。が、その恩讐を超えて団結をし、野球・ソフトボールの振興活動を行なおうというわけだ。
こうした異例ともいえる動きが起こった背景には、子どもたちの野球離れがある。
高校球児は減っているわけではない。高野連の統計による全国の高校硬式野球部員数を見ると、野球が日本で最も人気があるスポーツだった1980年代は12万人から14万人を推移。それが2002年には15万人を超え、以降も増え続けた。そして3年前の2014年には史上最多となる17万312人を記録。この年を境に減少に転じたが、昨年も16万7000人超の高校球児がいた。1980年代前半と比べると、4万人近くも多いのだ。
これはやはり甲子園という目標があるからだろう。もちろん甲子園に出場できるのは、ひと握りの野球エリートであり、大多数の高校球児もそれはわかっているだろうが、青春の1ページに「甲子園を目指して頑張った」という思い出を刻みたいに違いない。というわけで当面は高校の野球部員数が大きく減ることはなさそうだ。
ただし、その下の年代、小学生と中学生の野球離れは深刻だ。少子化の影響で、どの競技でも若年層の競技人口が減っているが、とくに野球はその傾向が顕著なのだ
まず小学生。全日本軟式野球連盟には小学生を対象とした学童チームというカテゴリーがあるが、1970年代には全国に2万を超える登録チームがあったが、現在は1万2000あまりに減っている。次に中学生。中学校の部活を統轄する日本中学校体育連盟(中体連)の統計によれば、2001年度には全国に32万人を超える中学軟式野球部員がいたが、昨年度は18万5000人ほど。15年間で13万人以上も減っているのだ。
ちなみに中学のサッカー部員は2001年が約22万2000人だったのが、昨年は約22万8000人。少子化にもかかわらず増えている。野球よりもサッカーを選ぶ中学生が増えたといえる(グラフ参照)。
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小中学生は言うまでもなく次代を担う層だ。この部分の野球離れが進めば、やがては高校球児の減少につながる。それが続けば、甲子園に対する信奉も薄れるかもしれないし、そこから先の大学、社会人、プロと続く野球界全体の人気低迷にもつながりかねない。
とくに、そのマーケットを頼りにする業者は売上などから、そうした流れを感じ取る。だからこそ業界横断型の組織が生まれ、野球・ソフトボール活性化のために知恵を出し合い、ともに行動するという思い切った決断がなされたに違いない。
参加企業を見ると、それが画期的なことだとわかる。たとえばナガセケンコー、内外ゴム、ダイワマルエスの3社はいずれも軟式ボールとソフトボールのメーカーだ。同業者としてのつながりはあるだろうが、営業現場では商売敵であり、連携することなど考えられなかったはずだ。グラブやバット、スパイクなどの用品メーカーも同様だろう。それを乗り越えさせたのだから、現状への危機感がうかがえる。