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デマ、ヘイト、不寛容……日本は「世界の酷さ」を先取りしていた? 第1回(全3回)<新春対談2> - 津田 大介/安田 菜津紀
幻冬舎plus
2017年01月13日 06:00
ジャーナリストでありメディア・アクティビストの津田大介さんと、フォト・ジャーナリストの安田菜津紀さんは、今年、世界と日本のどんな動きに注目しているのか?
津田さんは昨年11月の大統領選ではアメリカを取材、安田さんは年末年始にイラクを取材。フットワーク軽く「現場」を見続けるお2人の対談を3回にわたってお届けします。
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(構成:岡田仁志 写真:岡村大輔)
■「デマ」は政治目的がなくても世界を動かしてしまう
安田 去年を振り返りながら2017年を語るというお題ですが、私は、中東情勢や震災からの復興の問題、世界に広がる不寛容さ、過労自殺に象徴される若い世代の生きづらさなどが気になっています。
津田 僕にとっても気になる話ばかりですね。とくに過労自殺のような問題は、今年も引き続き日本社会の大きなテーマになるでしょう。もうひとつは、米国大統領選に端を発した虚偽ニュースの問題。マケドニアの17歳の若者が虚偽ニュースを無料で載せるサイトを140も作って、ヒラリーを攻撃し、トランプ支持の世論づくりに貢献したと言われています。この問題は今後もメディア全体で抱え込むことになりますよ。
安田 では、その話からしましょうか。あれはメチャクチャでしたよね。「ローマ教皇がトランプを支持」とか「ヒラリーのメール疑惑を捜査していたFBI捜査官が自殺した」とか。嘘だと思っていても、ついみんなクリックしてしまう。もちろん、本当だと信じた人もいたかもしれません。
津田 アクセス数さえ増えれば広告料が入りますからね。あれで彼らは700万円ぐらい稼いだそうです。で、本人は「俺のフェイクニュースで誰か死んだか? タバコ業者はいっぱい殺してるのに認められてるだろ」と開き直っている。なかなか難しい問題です。政治的な目的は一切なしで、単に金儲けだけのために、ああいうことが国境を越えてできてしまう。
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