16/12/17 20:36:16.30 CAP_USER9.net
宴もたけなわ、という表現はおかしいか。
1年のシーズンを締めくくるかのように、全国各地にプロ野球選手が散らばり、野球教室イベントに参加している。年内最後の仕事とばかりに、日米を問わずプロ野球選手たちが野球少年に手ほどきをみせる姿に、彼らのプロフェッショナリズムを感じる季節だ。
中でも、一風変わった少年野球のためのイベントを先日取材する機会に恵まれた。
その名も「Hello! WASEDA“プレイボールプロジェクト”~野球を始めよう、楽しもう、学ぼう~」。早大硬式野球部OBの有志たちが集まる、新しい形の野球教室だ。
参加したのは、アストロズの青木宣親やソフトバンクの和田毅、DeNAの須田幸太、日本ハムの斎藤佑樹、有原航平、ロッテの中村奨吾ら。
あまりに豪華な大学OBの登場に驚くが、参加した彼らですら「野球の楽しさを再確認した」と口を揃えた新機軸の野球観を広めることこそがこのイベントの狙いだ。
イベント発起人は日本ハムのスカウトディレクター。
発起人である同大学野球部・OBの大渕隆はいう。
「一般にいわれる野球教室というものではなくて、社会的に意義のあるものにしようと去年くらいから計画してきました」
大渕は、日本ハムのスカウトディレクターを務める人物でもある。
IBM社員、新潟県の高校教員を経て、'06年にプロ野球のスカウトに転身。パワーポイントを駆使して球団の魅力を伝えるスカウト活動を展開し、'08年にスカウトディレクターに就任すると、2012年には、メジャーを強く志望していた大谷翔平の獲得に尽力するなど、スカウト界の風雲児といえる人物だ。
では、いち球団のスカウトが、なぜこのようなイベントを企画したか。彼には、野球界への深い危機感があった。
野球人口が減り続けている原因は「勝利至上主義」。
プロ野球に足を踏み入れる以前から、大渕は日本の野球界に疑問を持っていた。個人的にアメリカやキューバに渡り、世界の野球文化を学ぶ活動を続けてきた。彼の根底には、その時の経験がある。
「現在、野球人口が減っている傾向にあるんですけど、やっぱりいろんな問題があって、その背景として勝利至上主義がある。子どもの野球なのに、大人が勝ちたがってしまう。例えばいい投手がいると、勝つために監督と保護者がその選手を使い続ける。そのリスクについての知識が全くなく、子どものケガを増加させている。昔は、小学生時代の野球は遊ぶことが主だったはずが、勝たせなきゃいけないという風潮が出来すぎてしまっている。それを、本来の遊びに戻したいというのが今回の趣旨です」
大渕が指摘しているように、日本の野球人口は減少の一途をたどっている。笹川スポーツ財団が発表している「この1年に10代の子どもが実施したスポーツ統計」において、野球は昨年の2位からバスケットボールに抜かれて3位に転落している。サッカーとは20%以上も差を空けられるなど子どもにとって「やりたいスポーツ」としての存在感が小さくなってきている。
プロ野球は盛況、夏の甲子園は連日満員だが……。
確かにプロ野球ビジネスは成功し、スタジアムは盛況。夏の甲子園も連日満員を記録している。しかし、その中にあっても野球人口が減少しているという事実は、その原因が単に少子化だけに留まらないことを表しているといえるだろう。
その理由については、様々な指摘がある。
野球は道具などに費用が掛かりすぎること、スポーツの多様化、プロ野球選手のパブリックイメージの低下、そして指導者の問題だ。いまだに怒号・罵声を響かせ、勝利を一途に目指し続けるアマチュア野球は、スポーツの“本質”から遠いところにある。また、いまだに撤廃されないプロアマ規定など、野球界の発展を阻害している要素は多々あるのだ。