16/11/16 02:54:09.03 CAP_USER9.net
また五輪か、といささかうんざりする。札幌市が２０２６年冬季五輪・パラリンピックの開催提案書を先日、ＪＯＣに提出した。
北海道とタッグを組んで札幌市が冬季五輪を開催しようという構想は、２０１４年１１月に前市長から発表された。同年に市が実施したアンケートで６６・７％の市民が賛成したことで勢いをつけたという。
しかし、翌１５年には２２年大会の北京開催が決まり、１８年平昌（韓国）から２大会アジアが続く。さらに札幌と、３大会連続アジアはさすがにないだろうと考えるのがふつうだ。市長も代わったことでてっきり立ち消えになったのか、と思っていた。
しかも、コンパクト五輪を売り物にしていた２０年東京五輪は会場変更が相次ぎ、開催費も３兆円を超すと見込まれ、さすがに五輪好きな国民からも批判の声が高まる一方だ。
夏季大会に比べ、自然条件に大きく左右される冬季大会は金がかかる。前回のソチ大会がいい例だ。もともと雪のない保養地で競技施設や交通インフラなど一から開発したとはいえ、５兆円という夏季も合わせて五輪史上最高の費用がかかった。人工降雪機のフル回転など、予想以上の出費があった。
「札幌市の経済状態は冷え込んでいて、繁華街のススキノも夜の人通りも一時に比べて寂しいもの」との声も聞かれる。市は１９７２年の札幌五輪で使われた既存施設をフルに利用し、再開発によって街を活性化しようとの思いがあるらしい。
開催費は４５００億円程度に抑え、「ムダな金を使わずに」と市は強調する。はじめはみんなそう言うが、いざ走り出せばあれも欲しい、これも新しくしたい、と結局は湯水の如く血税が投入されることは目に見えている。
市民にアンケートした１４年当時は、東京五輪の金の問題はまだ表面化していなかった。いま、同じようなアンケートを実施したら、どんな数字が出るだろう。五輪を見る目はかなり厳しくなっているのではないか。
２２年大会はミュンヘン、サンモリッツ（スイス）、ストックホルムなど欧州の都市が次々に立候補をあきらめた。財政問題、環境破壊などで、いずれも市民が「ノー」を突きつけた。
提案書を受け取ったＪＯＣは「１９７５年に札幌で冬季五輪を開催して約５０年。また開催したいと考えている」としたが、２６年の開催都市を決めるＩＯＣ総会が開かれる１９年は東京五輪の前年。「とても札幌招致どころではない、というのがＪＯＣの本音ではないか」と悲観的な声も上がっている。
それでも立候補しようというのなら、市民や国民が納得するよほどしっかりした理念を示す必要がある。 （作家・神谷光男）
2016.11.15
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