16/11/05 07:18:38.13 CAP_USER9.net
連日繰り広げられている、東京五輪の競技会場の見直しに関しての議論。一番の仰天は、やっぱりボート会場ですよねえ。
当初の69億円は東京五輪を招致するために、鉛筆なめなめした数字だから、そこを根拠にするのはムリ、というのは分からなくもない。
五輪、欲しかったですからね、みんな。ただ、ほどなくして見積もりが1000億超に膨らみ、世間が「エッ」と驚いたら、いきなり半額以下の490億円。
さらに、新都知事の再調査を経て、埼玉や宮城との競合が浮かび上がるや、300億円というから、日を追うごとに怪しさが増します。
おまけに、ボート競技の3禁は「波」「風」「潮」だそう。
私は、与えられた環境で全力を尽くすのが真のアスリートであり、“アスリートファースト”なんていうヒトに、まともなアスリートはいないと考えていますが、
そんなモットーの私でも、風力発電の風車が立ち並んでいる海辺はさすがにマズイのではないかと思う。
ここは素直に、「将来予測はやっぱり難しいですなあ」と頭を下げて、イチからやり直せばいいじゃないのと思うのですが、
やっぱり当事者とすれば、振り上げた拳をおろすのは簡単ではないのでしょう。誇り高きスポーツマンだし。
しかしながら、IOCや競技団体の会長が次々に現れ、当初の約束を守るべし、と力めば力むほど、
ヨノナカの反応はむしろ冷えている感じで、逆効果に思える。
私が危惧するのは、こういうことが続くと、スポーツの発展がまた遅れるのではないかと。
五輪招致が決まってから、ある程度、良い流れで来ました。
まず昨年、スポーツ庁が発足しました。文化庁はあってもスポーツ庁がなく、スポーツの予算も文化の予算と一桁違うことは、
日本が欧米に比べてスポーツの地位が低いことを物語るエピソードのひとつとして、スポーツ界が嘆息してきたことですが、そのパラダイムが変化したのです。
そして今年、政府はスポーツを欧米のように産業として成長させることを成長戦略の柱の1つとして、閣議決定もしました。
具体的には、現在5・5兆円のスポーツ市場を、今後10年間で15兆円にする。
コストからプロフィットへ、体育から興行へ変貌を遂げるために、
スタジアム・アリーナ、大学スポーツ、プロスポーツなど、聖域なき構造改革を推進し投資を呼び込むのだと。
今回の競技場の整備費用の問題は、この未来志向の線に沿ったものとはとても思いにくい。
築100年超の、コンクリートむき出し、デコボコのリグレーフィールドで行われているワールドシリーズをTV観戦していると、
いっそのこと税金でハコモノを新設する前提そのものを見直すことから始めてはどうかと思うのですが、「それを言っちゃあ…」かな。
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■小林至(こばやし・いたる) 1968年1月30日生まれ。東大から1991年ドラフト8位で千葉ロッテに指名され入団。
史上3人目の東大卒プロ野球選手となったが、1軍登板なく93年退団。その後、米コロンビア大で経営学修士号取得。
02年から江戸川大学助教授。05年から14年までソフトバンク球団取締役を兼任。現在、江戸川大学教授、専門はスポーツ経営学。
2016.11.04
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